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どっちもバカ

途中でリコ視点になります。



「じゃあ、私から言うね」

「ええ」

「まず、私はこの1週間魔法を使った鬼ごっこをしてました」

「修行かと思ったわ」

「まあ、当たってるね。かなりハードだもん」

「う、内容的にもそうです」



 結界を教えてもらったこと、そしてそれを自己防衛の手段としてちゃんと使えるようになるための鬼ごっこということを説明した。

 詳細を説明したら、リコちゃんから同情のような視線を感じた。ありがとう、このままだと私の感覚が狂ったままだったよ。



「それで、なんで急にそんなことをしなきゃいけなかったの?」

「・・・・・・詳しくは言えないけど、ある人を助けるために必要なんだ」

「それはあんたじゃなきゃできないこと?」

「うん、多分・・・」

「ある人はあんたの家族かなんか?」

「ううん。家族でも友達でもない」

「あんたはその赤の他人のために危険なことをするの?」



 知り合いですらない、全くの赤の他人だ。

 でも今は、凜さん経由ではあるけど知っている人、そして助けたいと思った人だ。



「うん」

「・・・バカなの?」

「バカ、なんだろうね。でもね、私が助けたいって思ったんだ」



 きっかけは他人からでも、今は自分の意思で助けたいと思ったんだ。それだけは揺るがない。



「・・・あんたって本当バカでお人好しよね。大馬鹿よ」

「そんなバカバカ言わないでよ。ちょっと傷つくじゃん」

「バカにバカって言って何が悪いのよ」

「うわーお」



 はいはい、バカでいいよ。

 でもね、一度やるって決めたことはなんと言われようとやるよ、あたしゃ。

 国民的アニメの小さい子みたいな言い方になったけど、ふざけてないよ?



「・・・はあ~」



 あ、なんかリコちゃんにクソデカため息はかれた。



「まあ、あんたがバカなのはアタシを助けたときから分かってたけどね」

「うわお、それまたヒドイ」

「あの状況でそのまま走って逃げるなんて、普通思わないわよ」

「そうかな~?」

「そうよ」




 ―――――リコ視点―――――――


 

 普通の人はあの状況なら、赤の他人の私を差し出して逃げたはずだ。それなのに、ユイは自分が怪我したのにアタシを抱えたまま逃げた。あまつさえ悪態をついて。バカ以外の何物でもないだろう。

 そしてこのバカは、また赤の他人のために危険を冒そうしている。


 だからこそ心配。



「やめろって言っても聞かないんでしょ?」

「リコちゃん、よく分かったね」

「あんたって謙虚な癖に、頑固よね」

「そうかも」



 そうやって困ったように笑う。

 他人のためにって、ホントヒーローみたい。



「セージ君は知ってたの?」

「うん。知ってて鬼ごっこも手伝った」

「そう」

「・・・ユイ姉が、何があっても必ずぼくたちの所に帰ってくるって、言ってくれたから。だったら、ぼくはちゃんと待ってて、応援しなきゃって思ってね。

 それに、今までユイ姉が約束破ったことなんてあった?」

 


 最後ちょっとだけ悪戯っぽく言ったセージ君は、私より年下なのにすごく大人に見えた。

 アタシが知る中でもないわよ。



「・・・アタシはね、あんたが心配」

「うん」



 そうやって他人のために全力で頑張れるあんたが。



「だから、アタシはスルク先生から学ぼうと思った。あんたが怪我しても、アタシが治せるように」

「へ?」

「あんた危なっかしいのよ」

「返す言葉もございません」

「今度怪我したらぶん殴るから」

「怪我をさらに増やさないでくれますか?」

「いいのよ、アタシが治すから」



 ユイはえーという顔をして抗議していたが、知ったことか。



「じゃあ、約束。必ず帰ってくるって」

「うん、守るよ」

「あと、怪我しないこと」

「・・・善処します」

「そこは嘘でもうんって言いなさいよ」

「だったら、うん」

「遅いのよ」



 全く困ったヒーローさんだ。



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