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かまくらの中で火鉢ってロマンだよね



「ついたよ!」

「これ、かまくら?」

「そうよ、かまくら。冬の時期だけ、広場に作られるの」



 ついたのは町にある広場。そこにかまくらが数個並んでいた。まだ、雪を積み上げて固めている途中のものもあった。

 この広場は商業ギルドが管理しているそうで、この町のギルド長に許可をもらえればだれでも使えるらしい。



「おや、かまくら使うかい?」

「使いまーす!」

「はい、小銀貨」

「まいど。あそこの使いな。火鉢はついたばかりだから結構もつよ」

「ありがとうございます」



 指を指されたのは、他のより少し小さめのかまくら。中には火鉢があって、炭が赤々と燃えていた。   

 かまくらの中は意外と広い。3人で入っても、十分すぎる広さだ。



「スゴっ」

「いいでしょ、ココ!ぼくたちは毎年来てるけど、ユイ姉は初めてでしょ?」

「うん!こんなの初めて!」



 私は寒いけどあまり雪が降る地域じゃなかったから、こういうのにはなかなか縁がなかった。

 雪は少ないのに、氷はよく張るから道路がスケートリンクになってしまうことがあった。おかげで滑らないように歩く術を会得したよ。寒い日の都会のニュースが映ると、凍ってるところ歩くの下手くそって思いながら見ていたな。



「あ、リコちゃん。場所代、半分出すよ」

「え?いいわよ」

「いやいや、それは悪いって」

「別にいいわよ。パパがお弁当と一緒にお小遣いも入れててくれたみたい。しかもいつもより多めに。多分三人で使えってことだと思うから、気にしなくていいわよ」

「じゃあ、お言葉に甘えて。でも、ありがとう」



 それでも払ってくれたことに変わりはないのでお礼を言うと、少し照れたのかそっぽを向いてしまった。横を向いたから、尻尾が機嫌良く揺れているのが丸見え。本当に可愛いなぁ。



「ユイ姉、顔顔。気持ちは分かるけど」

「はっ!」



 いかんいかん。つい可愛くてだらけた顔になってしまった。凜さんのを見てから気をつけようと思った矢先にこれだよ。



「・・・お弁当食べるわよ」

「うん」

「あーい」



 あ、リコちゃんが一瞬チベットスナギツネに見えた。 


 気を取り直してお弁当だ。

 私たちのはスープジャーに入れたスープとホットサンド、リコちゃんはスープと・・・・・・・い、いなり寿司!?



「いなり寿司!?」

「わっ!な、なによ、いきなり」

「リコちゃん、それ何!?」

「いや、あんたが言った通りいなりだけど?」

「中身は?」

「お餅よ」

「へ、お餅?」

「そう、餅」



 お餅のいなり、おいしそうだな~。

 てか油揚げもあるんだ。ほんと何でもあるな、おかげで日本食もあって食に関してはそこまで元の世界とそこまで変わっていない。昔の異世界人たちに感謝感謝だよ。

 


「ねえ、いなり1個とこのホットサンド交換しない?」

「2個あげるわ」

「え、いいよ」

「大きさ的には相応よ」

「ん~」

「じゃあ、ぼくとユイ姉の半分ずつで二人で1個ずつもらうのは?」

「いいの?」

「うん、ぼくもリコちゃん家のいなり食べたい」

「いいわよ。アタシも2種類食べられるし」

「じゃあ、交換」



 ほいっといなりとホットサンドを交換した。

 ん!甘辛く煮た油揚げと、もちもちのお餅があう!そりゃお餅の原料って米だからね。合わないわけがない。



「やっぱりロジーのおばさんの料理、おいしいわね」

「だよね~。でも、リコちゃんとこのいなりも負けてないよ?」

「そう?うちのパパは器用だからね」



 ムフーという感じにリコちゃんが言った。

 シューマさんのこと大好きだね~。

 本当においしい。今度、作り方教えてもらおうかな?

 

 





「「「ごちそうさまでした」」」



 とても充実したお弁当だった。

 あ、そういえばリンゴをもらっていたことすっかり忘れてた。

 ポーチからナイフを出してっと、ショリショリショリ。



「はい、デザート」

「ありがとう」

「どうも。あんた意外とできるのね」

「皮むくのくらいどうってことないよ」



 元の世界では一人暮らししてたからね。あんまり自炊はしてなかったけど、野菜切るくらいならやってたから。

 都会は野菜が高いだろうって、実家からたくさん送らさってきたからね。野菜切る技術だけは高くなったよ。



「この後何する?」

「そうだね~。リコちゃん、何かやりたいことある?」

「・・・・・・あんたがこの1週間何してたかとその理由を聞く」

「む・・・」



 まだ諦めてなかったか~。

 セージ君は分かってたのか、のほほんとお茶飲んでるし。

 話さなくちゃ駄目という視線を二人に送ってみると、リコちゃんは話せって感じ、セージ君は話した方がいいよっていう感じ。

 味方がいない!



「・・・・・・・」

「・・・わかったよ。でも、私も話すからリコちゃんも医学書読んでる理由教えて?」

「う・・・はー、話すわよ」



 無言の圧には耐えられなかったよ。

 ただ、私だけというのもフェアじゃない気がしたので交換条件をだしたら、渋々了承してくれた。


 さあ、暴露大会の始まりだ!


 この前お餅の稲荷を初めて食べたんですが、すごくおいしかったです。私はお店で買いましたが、通販でも買えるので気になる方は是非お試しを。

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