太っ腹っていい意味なのに太い腹にすると嫌だよね
ただのお散歩なので目的地がない。
とりあえず、商店街に行ってみることになった。
「なんか商店街をゆっくり見るの、久しぶりな気がする」
「あ~、最近はいつも素通りだったもんね」
「アタシも、最近は家で本ばかり読んでいたから、久しぶりかもしれないわ」
そういえば、シューマさんが最近は本ばかり読んでいるっていってたな。
何かの勉強でもしてるのかな?
「何の本読んでるの?」
「・・・別に何でもいいでしょ?」
「魔法の本?」
「・・・まあ、そんなところよ」
なんか歯切れが悪いな。あんまり知られたくないのか?
はっ!まさか、エッチな本?まさかね。
「・・・お年頃?」
「~っ!ちっがうわよ!スルク先生から借りた医学書よ!」
「え?」
「お?」
「あ」
ふざけて言ったらやっぱり違ったか。
でも、医学書?リコちゃん将来医者にでもなりたいのかな?
「リコちゃん医学書読んでるの?」
「は~、そうよ。辞書で調べながらだから、凄く時間がかかるの」
「将来お医者さんになるの?」
「そういうわけじゃないけど・・・」
最後のほうは、もにょもにょとなってよく聞こえなかった。
ありゃ?違うのか。
うーん、じゃあ何で?
「別に、何でもいいでしょ?」
「・・・ふ~ん」
「何よ?」
「何でもないよー。ね、ユイ姉?」
「え、何が?」
セージ君がなんかニヤニヤしてて、話を振られたけどいや、ホント何が?
私が?を浮かべていると、リコちゃんはほっとしたけど呆れてて、セージ君はなんか温かい目で見てきた。何なんだ、ホント。
でも、悪い感じはしないからいいや。
「おう!クロさんとこの坊ちゃん、嬢ちゃん!」
「あ、八百屋のおじさんこんにちは!」
「こんにちは」
「あい、こんにちは。おや、今日はシューマんとこの嬢ちゃんも一緒か」
「こんにちは、キヨのおじさん」
お使いでよく行く八百屋のおじさんが声を掛けてきた。
リコちゃんはシューマさんの友達なのか、親しそうにあいさつをしていた。
てか八百屋のおじさん、名前キヨっていうんだ。初めて知った。
「今日は3人でお出かけかい?」
「うん!ゆっくりお散歩するの!」
「ハハハッそうか!じゃあ、このリンゴ持ってけ!」
「じゃあ、お金・・・」
「あ?ブハハッいらねえよ!おれからのサービスだ、素直にもらっとけ!」
「キヨのおじさん、ありがとう」
「ありがとう!」
「おじさん、太っ腹!」
「おうよ!」
気前よくリンゴをくれたおじさんは、お腹をバンッと叩いて答えてくれた。
これはお弁当食べた後に3人で分けよう。
その後も商店街をぶらぶらしていたら、お昼の時間になった。
「そろそろどこかでお弁当食べよう」
「そうだね。ただ、やっぱりお昼でも寒いね~」
「そりゃそうよ。あ、今だったらあそこがやってるかもしれない」
「もしかしてアレ?」
「そうよ、アレ」
二人ともアレとはなんぞや。
リコちゃんは行けば分かるわと、セージ君は楽しみにしててねって、道中答えを教えてくれなかった。