表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/129

過信は禁物



「じゃあ、今日は次で最後にしよう」

「ん、そろそろ、夕ご飯」

「あははっロジーさんのご飯、楽しみだね!」

「ん!」



 休憩中にそんな会話をしていた二人。私はまたずぶ濡れなので、セージ君に乾かしてもらっている。

 水もしたたるいい女とかそんなことはない。



「うおー、せーじくーん、あーりーがーとー」

「ユイ姉はお風呂で暖まってから、ご飯ね」

「うっす」



 最近セージ君がおかんに見える。



「そろそろいい?」

「はい!」

「がんばろ!」

「うん!」

「よーい、始め」



 最初は様子見で距離を取る。今回は珍しく凜さん達も、最初から仕掛けては来ない。

 距離を取りながらも、二人から目を離さない。

 セージ君が先に動く。水の玉を投げてくる。玉はピンポン球よりは少し大きくなっていた。

 だけど、これくらいなら少し横にずれるだけで――――――



「―っ!」

「おー」

「・・・」



 ――――躱せる。


 動きは最小限、なるべく体力を使わないように。1日に何回も鬼ごっこすると、さすがに疲れる。だからこそ終盤当たりは、すぐに集中力が切れて負けてしまっていた。

 でも、それはあっちも同じ。今日の凜さんは、なぜかいつもより大技を多く使ってくる。何日かやって分かったけど、終盤になるにつれて凜さんも自然と手数が少なくなる。疲れてる証拠だと思う。


 私の体力と集中力が5分持てば勝ちだ。



「ふむ、避けるね~」

「どうする、凜ちゃん」

「う~ん、ちょっと待ってね」



 水魔法が一旦やんで、凜さんが何か腕輪をいじっていた。




 ――――凜視点――――



 うんうん、相手をよく観察し、策を講じる。基本だけど一番大事なことだね。

 成長してくれて嬉しいよ。


 だけどね、油断しちゃ駄目だよ。

 腕輪のダイヤルをEASYからNORMALに回す。因みに低い順からEASY、NORMAL、HARD、EXとなっている。

 なんでゲームの難易度設定みたいなのかは、精霊王の趣味だそうなので気にしない。


 なんか魔力が戻ってきた気がする。これはちゃんと込める魔力量を考えなければいけないな。



「じゃあ、行くよ」



 あたしの魔力を感じたのか、優維が結界を張って防御態勢になる。

 いいね、そうこなくっちゃ。



「”水鉄砲(ウォーターガン)”!」


 ゴウッ!!!



「「え?」」

「ありゃ?」

「あ・・・」



 今までの比じゃないくらい大きな水の玉。それこそ鯨くらいあるんじゃないかってくらいの大きさ。 



「ええええええええええええ!!」

「凜ちゃんナニコレ!?」

「ゴメン!魔力の量見誤った!!」

「謝罪、後!ユイ、危ない!」

「そっそうだね!とりあえず優維に結界をッ!」



 だめだ!さっきの魔法の影になって、優維の姿が捉えられない!

 これじゃあ、上手く結界を張れない!

 魔法が当たる前になんとか優維の所に!



「クッソ!」

「凜ちゃん!?」

「セージ君はありったけの火魔法ぶつけて!ヒミちゃんは地魔法!」

「分かった!」

「ん!」



 自分に身体強化を掛けて、優維に向かって全力で走る。

 間に合え、間に合え!


 優維ッ!



 ―――――優維視点――――――



 さすがにこれは無理だって、こんなの防ぎきれないよ。

 逃げようにも、腰が抜けてしまって立ち上がれない。



「・・・あははっ・・・」



 死ぬのかな。



「・・・ははっ・・・」



 いやだなぁ。



「・・・っ・・・」



 セージ君とヒミちゃんが魔法の威力を削ごうとしてしているのか、水の塊に向かって火と土を撃っている。

 凜さんが必死の形相でこちらに向かってくる。

 ああ、この威力は予想外だったんだ。必死になって助けに来ようとしてる。


 でも、間に合わないよ。



 いやだ。



「・・・ゃ・・・!」



 まだ、死にたくない。


 もう、死にたくない。


 また、家族を、友達を、悲しませるの?



「優維ッ!!!」



 そんなの――――――



「ヤダァアアアァァアアァアアア!!!!」




 ドバシャアァァアアアアンッ!!!!!



  

 場内に爆音が響いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ