かもしれない運転って心配性な人には逆効果だと思う
さて、ちょっと羞恥プレイを指摘されて顔の赤みが治まるまで数分かかりました。
「ごちそうさん。じゃあ、森に行ってくらぁ」
「「いってらっしゃい!」」
「いってらっしゃい、気をつけて」
「おうよ」
さて、午後からは何をしたもんか。
う~ん、何か対策を考えた方がいいのかな。結局結界の中のあの正体は仮説でしかないしね。
「優維、午後は魔法のお勉強をしようか」
「魔法の?」
「そう、五大属性のことはやったよね?」
「まあ、一通りはやりましたけど・・・」
「?なんか含みがある言い方だね」
「あ~、ユイ姉ね、一通りやってみたんだけど全然、その、あれで・・・」
セージ君が凄く言葉を選んでくれている!他人から見てもそれくらいヒドイらしい。
暇なときに練習はしていたが、全然上達しなかった。
火はマッチくらい、風もそよ風、水はビー玉くらいの水しか出せないし、地なんで土ボコができるくらい。光はマシな方で、照明くらいにはなるかなレベルだ。
「ん~、無属性は試してみた?」
「いや、それはまだ」
まず、無属性は教えてくれる人もいなかったし、詳しいことを知ったのも最近だ。
「じゃあ、あたしが教えてあげる。っていっても、そんなに教えることないんだけどね」
「どういうことですか?」
「ま、論より証拠、やってみよう!」
「ええ~」
中庭に移動して、まずは見せてもらうことになった。
因みにセージ君も一緒、なんかいつもよりワクワクしてる気がするのは気のせいかな。
「んじゃ、まずは結界ね」
そういうと、凜さんの周りに薄いベールのようなものが現われた。
「セージ君、ちょっと適当な魔法をあたしにぶつけてみて」
「え!?大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫」
「じゃあ、ちょっとだけ。えい!」
ボフォッ!
セージ君が炎の玉を凜さんに向かって投げた。凜さんに当たって、煙が辺りに立ちこめる。
け、けっこう勢いよくやったね。
煙が晴れると、凜さんはさっきと同じ格好で無傷。毛皮に煤も何もついていない。
「これが初歩的な結界だよ。軽い魔法なら完全に防ぐことができる」
「すっごい・・・」
「これに応用を利かせると、人や物の侵入を制御したり、雪崩とかの自然災害をある程度防いだり様々なことができる。まあ、そこまでいくと術者の力量次第だけどね」
「ほえ~」
「じゃあ、やってみようか!」
「え、いやいやいや!」
いきなり、やってみようか!じゃないよ!?
普通の魔法もろくにできないのに、こんな高度そうなのできるわけないじゃん!
「大丈夫、できるできる。無属性の入門編は読んだ?」
「読みましたけど、イメージするだけでできるわけないじゃないですか!」
「できるよ。料理番組もびっくりの速度でできるよ」
「そんな3分クッキングみたいなノリで言われても!」
え~と、あの時の本には、
『発動方法は、まず障壁をイメージし魔力を込める。次に、防ぎたい事象を思い浮かべる。目の前に薄い膜や、鏡のようなものができていれば成功である。』
だっけ?
これだけでできるのは天才だけだと思います!
「あのね~、結界を何も障害もなくくぐれる。それは適性がないとできないこと・・・」
「そう、なんですか?」
「かもしれない」
「かもしれない魔法は不安しかないんですが!?」
「だって分かんないもん。さあ、レッツトライ!
結界を出せるか出せないかじゃない、出すんだ。出していこう。(ズズイッ)」
「わかりました!わかりましたから!」
凜さんの圧がすごい!圧に負けたよ。
目を閉じて、魔力を感じる。
えっとまずは、障壁をイメージ?盾みたいなのでいいのかな?あ、蜂の巣みたいな方が強いかな。
んで、次に防ぎたい事象を思い浮かべる。さっきの炎とかでいいかな。
これだけで本当にできてるのかな?
「おお、できたじゃん」
「ふえ?」
凜さんの感心したような声がして、目を開けた。
目の前に、いや自分を囲むように六角形が並んだ膜ができていた。
「で、できた」
「あとは強度だね。ほいっと!」
ゴウッ!
「ふおおおお!?」
「凜ちゃん!?」
「おお~、強度も申し分ないね」
さっきのセージ君が出した炎以上の火球が目の前に迫ってきて、私の結界に当たって消えた。
いきなり何してくれんだ、この人!心臓バックバクだよ!
「いきなり何しやがるんですか!?」
「ゴメンゴメン。丁寧に乱暴な口調になってるよ」
「そりゃなりますよ!今も心臓バックバクですからね!」
「ユイ姉、大丈夫!?」
「はぁ、ありがとね」
さりげなく背中も撫でてくれる。セージ君は優しいな~。