もふもふは心の充電
「「洗ったよ!」」
「はいよ。もうちょっとでお昼できるから、ゆっくりしてな」
「ユイ姉、凜ちゃん、こっちでまったりしよ?」
「うん」
「あいよ~」
セージ君に誘われて、大きなクッションがある方に向かった。
クッションに行くっと見せかけて、セージ君にダイブ!
「ふおお~」
「ガウウゥ!?ユユユユイ姉!!?」
「おお、さすがいいモフモフだぁ~」
「仲良しだね~」
セージ君は滅茶苦茶驚いてるけど、無理に振り払おうとしない。クロさんに似て、器が大きいよね。
は~、癒やされる~。最近いろいろありすぎて疲れてたから、もうちょっと充電したい。
ギュッ
「………ユイ姉」
「ん」
セージ君の毛皮に顔を押し当てたままの返事だったから、こもった返事になってしまった。
私が少し強くぎゅっとしただけなのに、それだけで何かを察したのか、無言で頭を撫でてくれた。
「………ありがとう」
「お安いご用だよ」
「ご飯できたよー!」
「はーい!行こ、ユイ姉、凜ちゃん」
「うん!」
「……うん」
さあ、心の充電はしたし次は身体の充電だ!
いただきます!
「「「ごちそうさまでした」」」
「まさか、こっちで焼きそばが食べられるとは思ってなかったよ」
「凜さんの時はなかったんですか?」
「まだなかったね」
「ソバやウードンは、ヒトウ地方から伝わってきたのさ。あっちでは昔から屋台の定番だったらしいけど、こっちに来たのは最近さね」
「そうだったんだ、あの頃あんまり東とは交流なかったからな~」
今日のご飯は焼きそば、普通のソース焼きそば。お祭りの定番のやつだ。
この際、調味料とかのことは何も言うまい。東のヒトウ地方の人達、ありがとう!
「交流してなかったのは、意外ですね」
「そう?まあ、国の復興とかそういうので忙しかったからね。毎日マイダーリン陽翠のもふもふで癒やされてたよ~。(デヘヘ~)」
「そ、そうですか」
凜さんのマイダーリンというと初代の王様だろう。
てかもふもふを思い出したとき、私もあんなだらしない顔しているのかな?以後気をつけよう。
「陽翠様って初代の?」
「そう、王様でマイダーリン。因みにライオン獣人だよ」
「それはさぞかしいいもふもふだったんでしょうね」
「それはもう!あたしが毎日ブラッシングしてたしね!極上の羽毛布団も目じゃないぜ!(キラン)」
「ふわ~いいないいな!」
「んっふっふ~。でも、他の獣人さん達も違ったもふもふでいいもんだよ」
「ん~、抱きつきたいけどなかなか………」
「ウッハッハ!テンションは上がってたみたいだけど、あの時もちゃんと許可取ってからだったもんな!」
「クロさんっ!?」
「あ、お父さんお帰り」
「おう、ただいま」
なんで皆音もなく背後に立つのかな!?
え?注意力が足りないって?サーセン!
「お帰り。頼み事は終わったのかい?」
「ただいま。いや、ちょっと時間がかかることだった。その間、狩りに行けないから今日と明日はちょっと多めに獲ってくる」
「そうかい、無理はすんじゃないよ」
「おう」
あ、クロさんがロジーさんの顔に鼻先をスリってした。ロジーさんもそれに答えてスリってしてた。
「いい夫婦だね」
「そうだよ、お父さんとお母さんは仲良しなんだよ」
「見てるこっちは少し恥ずかしい………」
「ん~、結構してるよ?仲いい証拠だし、そのうち慣れるよ」
「そ、そうなんだ」
「そうそう、あれは獣人にとっての信頼や愛情の表現の仕方だからね」
顔や身体をスリスリするのは、元の世界の動物でも信頼の証としてやっていることが多い。そこは獣人も同じなんだな。
でも、恥ずかしいと思うのは日本人の性かな。
「因みに、さっきセージ君に抱きついたときちょっとやってたよ」
「え!?」
「無意識だったか~」
「ぼくは嬉しかったよ?」
「う~」
恥ずかしい!けど、もふもふが気持ちよすぎるのが悪いんだ!
ワタシワルクナイ!すんません、私が悪いです!
もふもふするのは大事なことなんだ!心の栄養なんだ!