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のろいとまじないは同じ漢字だけど意味が真逆

 最初に投稿した方にセージ君が出ていましたが、このとき本人いません。完全にミスです、申し訳ない。修正しました。

 



「ホッホッホ、びっくりし過ぎて川が見えたわ」

「絶対その川渡らないでくださいよ!?」

「長が言うと洒落にならんのでやめてください」



 長が倒れてから落ち着くまで、5分かかりました。 

 こっちにも三途の川みたいな概念あるんだ。



「ココロさん、ごめんね」

「ホッホッ、ちょっと驚いただけじゃよ。それとココ爺でええぞ」

「わかった、ココ爺」

「して、今日は何用じゃ?」

「はい、実は――――――」



 斯く斯く云々、かくかくカッコウは托卵を企むっと。



「――――っと言うことなんです」

「ボー、大変なことになっておるのう」

「優維なら結界の中に入ることができるはずなの」

「ホウホウ、優維ちゃんどうなんじゃ?」

「……………はい。実はあの時、結界の中に手だけ入っていたんです」

「やはりのぅ」



 やっぱり、ココ爺にはバレていた。

 あの時は、とっさに入れなかったと嘘をついてしまった。嘘をついたのは、面倒だから秘密にしておきたかったわけじゃない。いや、その考えが全くなかったとは言えないけど、一番はあの嫌な感覚をなかったものにしたかったから。



「して、あの時何を感じた」

「結界の中には、手を少し入れただけだったんです。その一瞬だけだったけど………」

「けど?」

「刃物みたいな悪意を感じました。あの時、咄嗟に手を引っ込めたのはそのせいです」

「フム…………」



 結局あれがなんなのかはわからないけど、楔梛様を助けるためにはあれにも向き合わなきゃいけないのか。



「もしかしたら、それはウェンカ王の呪い、かもしれない」

「呪い?」

「呪い、もしくは黒魔術ね」

「黒魔術か、厄介だな」

 


 今、呪いやら黒魔術やら不穏な単語が聞こえたぞ。

 あれ?基本属性の中に、闇とか黒とかつくものはなかったはず。それとも派生?



「黒魔術はね、人族が魔族の能力を模倣して作ったものなの。だから一般的には魔法ではないと言われているわ」

「魔族の能力……」

「魔族は種類によって、魅了や心を読んだりなどの精神操作、(のろ)いや予言などの(まじな)いをかける力を元々持っていることが多いんだ。獣人にも少数だけど、そういった類いの力を元々持った人がいる。

 けどね、人族には一切そういう力はなかったんだ。人間はもちろん、ドワーフやエルフもそういった力を持った人はいなかった。まあ、ドワーフは職人が多いから気にしなかったし、エルフも寿命が長いし魔法の研究の方が面白いからいらないって」



 ドワーフとかエルフも人族なんだ。

 ドワーフはイメージ通りだけど、エルフは何というか自由だな。魔法の研究の方が面白いって、ずっとどっか籠もって研究ばっかりやってたんだろうな。うん、すごく想像できる。



「人間はそうじゃなかった。心を読んでみたい、未来を見てみたいって好奇心の方が勝っちゃった。最初は魔族から話を聞いたり、実際に見せてもらったりして研究をしてたんだ。でも、研究は半ばで終わっちゃったんだ。

 魔族との戦争が始まったから。今まで小競り合いは各地であったけど、それが全面的に起こってしまった」

「その火種は、何だったのかはっきりはしておらん。まあ、起きるべくして起こったものとしか今では言いようがない、哀しいことにの」


「…………話を戻すね。戦争が激化すると、魔族側も相手を呪ったり精神を操ったり色んな手段を使うようになった。そうなると、人間もそれを使おうと考えるようになる。

 もちろん魔族の固有のものだったから、人間が使えるわけないよね。まず、圧倒的な魔力不足、そしてそもそも原理がわからない。さて、ここで人間はどうしたと思う?」

「え、うーん………諦めた?」

「そうだったら、よかったんだけどね~」



 そりゃそうだ、現に黒魔術があるんだ。

 魔族の力、魔力不足、原理不明、戦争中…………捕虜、生け贄。

 いやな想像しか浮かんでこない。



「なんとなく分かったみたいだね」

「………当たっていてほしくないですけどね」

「原理は捕らえた魔族から教えてもらえばいい。足りない魔力は、人で補えばいい」

「…………………」

「言葉を濁さないで言うと、魔族を解剖して原理を奪い、魔力は人から限界まで奪えばいい」



 私は相当苦い顔をしていたんだろう。

 つまり、魔族を殺して原理を調べ、魔力は生け贄を用意して補った。



「そうして、黒魔術は生まれた。生まれてしまった。さすがの魔王も、そのやり方に引いたって言ってた。そこまで、人間はなりふり構っていられなかったんだろうね」

「黒魔術は魔族に効果はあったが、強いものには効果がなかった。それに代償が大きく、大々的に使われた記録は残っておらん」

「凜さんは、なんでこんなこと知ってるんですか?」

「ウェンカ王がまだ王だったときに、ある宮廷魔道士に聞いたんだよ。当時は黒魔術がどういうものか知らなかったしね。後は、暇だったから精霊王に聞いた。精霊王も、何してんだ人間って呆れてたよ」



 その宮廷魔道士怪しくね?なんで黒魔術なんて知ってたんだろう。

 てか精霊王も呆れて、魔王も引くほどって。追い詰められると人間って何するか本当に分からないね。

 ん?今サラッと魔王出てきたけど、言ってた?凜さん実際に話したことあるの?



「話したことあるし、魔王とは友達だよ?」

「もうこの際心読まないでとはいいませんが、えっ友達なの!?」

「うん、一応同盟結んでたしね。今、魔族と争ってるのは西の一部の国だけだよ。実際、こっちから何もしなければあっちも何もしてこないし。まあ、話が通じないやつもいるけどそれは人族も同じだし、種族の違いは個性ってことで和解しているとこが大半よ」



 よかった~、今は大分平和なんだな。戦争中の時に来なくてよかった。



「また、話がそれたね。ここからが本題。

 ウェンカ王の呪い、黒魔術だって言ったことね。どこで知ったのかは分からないけど、自分の意識を移す魔術を使ったのかもしれない」

「転移、かの?」

「そうだと思う。でも、黒魔術は不完全でデメリットがあった。転移も例に漏れず、繰り返すと、死ぬときに思った感情だけが残るんだ。

 追放された後すぐに黒魔術を使ったのだとしたら今は、怨み、しか残っていないかもって」



 残った感情が怨みだとしたら、それを呪いといったのも納得だ。

 確かに、あの時感じたのは明確な悪意だった。怨みというのはしっくりくる。



「あくまで仮説だけどね。実際は違うかもしれないし」

「だが、危険なことには変わりないだろう。オレ達も結界の中に入ることはできないんですか?」

「難しいだろうね。まあ、あたしが一緒に入れると思うから心配ご無用!」

「根拠は?」

「ない!」

「ないんかい!」

「結界作った張本人だし、いけるっしょ!(グッ)」

「いや、ぐっじゃないですよ!?」


 不安しかない!


 

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