梟の叫びというレアなものを聞いた日
「「「いただきます」」」
「たんと食べな」
今日の朝ご飯は、サツマイモが練り込まれたパン、ソーセージが入った野菜スープ、オムレツだった。パンはサツマイモの自然な甘さがして、手のひらサイズなのでパクパクといけてしまう。オムレツはとろとろで、野菜スープは野菜とソーセージのうまみが溶け出していてとても優しい味だ。
「凜、食べないのかい?」
「ん~、精霊は特に食べて栄養補給の必要はないんだよね。嗜好として食べることはできるけど」
「じゃあ、食べな」
「凜ちゃん、これおいしいよ!」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
凜さんはおずおずといった感じに食べ始めた。パンを一口食べると目がキラキラした感じがして、味わうように少しずつ食べていた。
因みに3人には全部話したから、凜さんが初代王妃だと言うことも知っている。皆様付けで呼ぼうとしたら、「様付けは好きじゃないから、呼び捨てでいいよ。あと、敬語もできればなしで。」と言われてしまった。言い方は軽いのに、なんか圧を感じたよ。
結果的にセージ君はちゃん付け、ロジーさんは呼び捨て、クロさんはかなり渋ったがさん付けに落ち着いた。
「「「「ごちそうさまでした」」」」
「お粗末さま」
「ロジーさん、すっごくおいしかった!(キラキラ)」
「あっはっは!口に合ったようで何よりだよ」
ロジーさんの料理はおいしいからね。ご近所さんにもドヤれるくらいだよ。
「さて、長にはどこまで話そうか?」
「ん~、全部話してもいいよ」
「ふむ、そうですね。凜さんも一緒に着いてきてくれませんか?」
「いいよ。てか、敬語じゃなくてもいいのに」
「いや、そういうわけには………」
「凜さん、無理強いはよくないよ?」
「むう~、しょうがないな~」
「は~、ありがとうございます」
クロさんが滅茶苦茶困ってたので、助け船を出してあげた。そこら辺にしといてあげてください。
クロさんはチキサニ国出身で、凜さんはその初代王妃。そんな偉人も偉人に、敬語使うなって言われても無理な話だ。
「ああ、長のところには優維も着いてきてくれないか?」
「私が話すの?」
「いや、大まかな報告はオレと凜さんがするから、優維にはその補足をしてほしい」
「わかった」
そこで何も話さなくてもいいって言わないのが、クロさんの優しさだよね。
「じゃあ、もうちょっとしたら行くか」
「いきなり行っても大丈夫なの?」
「大丈夫だろ。昼にほとんど家から出ないからな」
「そうなんだ」
「じゃあ、すぐ行こ」
「……もうちょっと休ませてください」
凜さんのせいで疲れたんですね、わかります。
ロジーさんのお茶を飲んで一服してから、長の家に向かうことになった。
まだ雪深いところがあるからと、凜さんはクロさんの肩に乗って行くことになった。乗るというかしがみついてるけど。
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コンコン
「長、クロです。おはようございます」
「開いておるぞ」
「何度でもいいますが、不用心です」
「お邪魔します」
「ホホ、これはこれは、可愛いお客さんも一緒じゃな・・・そのヒグマは?」
「ああ、この方は「精霊の凜ちゃんです!」……です」
「………………………………ヴォオオオオォォォオオゥッ!?!?」
バターンッ!
「「長ぁぁぁああぁあ(ココ爺ぃぃぃぃいぃ)ッ!?」」
ココ爺倒れちゃった!?
梟の叫びなんて初めて聞いたよ!血管切れないか心配になるくらいだよ!
まあ、普通はそんな反応になるんだよね。私は知らなかったから、最初から失礼ムーブかましちゃったけどね!
動画で聞くと、シマフクロウは結構低めの声で「ボー、ボー」という感じに鳴いてました。自然界で叫ぶようなことはないと思いますが、まあ獣人なので。