無言が気まずい時とそうじゃないときの違いって何だろうね
「お主が亡くなったのは、本当に偶然だった。神も珍しく焦っておったわ」
『あれこの子死んじゃった!?マジ?え、ここで死ぬ運命じゃないんだけど!?
ん~、じゃあ転生………だめ?でも、体ないし。え、体つくってくれって?
…………………………そんなに頼まれちゃあな~。わかった、でも成長はさせないよ。さすがにそれ以上は、僕がやっちゃいけないし。つくるのも今回が最初で最後』
神様、フランクすぎない?
じゃあ、私が死んだのって本当に偶然なんだ。なんというタイミングの悪さ。
「落ち着いたか?」
「はい、グズッ」
「はい、凜さんチーンしてください」
鼻水がまだ出ていたので、鼻紙をあげた。
ぶーっと思いっきり鼻をかむ凜さん。豪快ですね。
「しかし、力が強くなっているのは事実。ここから出ても制御できるか?」
「それは、難しい、かも………」
「ふむ………」
精霊王も凜さんも考え込んでしまった。
そもそも、称号って制御できるものなのかな?
私の逃げ姫は逃げるとき、主に効果が出るらしい。今のところは。
姫や王がつく称号はかなり稀で、固有のものが多いから発動条件や能力が不明だからだそうだ。だけど、能力には必ず魔力や精神力が関わっていることに例外はないそうだ。
うーん、なんとかできそうな気がしないでもないけど、わからない。
「凜さん、我が儘姫は言葉にすれば、効果が出るんですよね?」
「そうよ。あとは、周りに誰かがいることが前提ね」
「周りに誰かがいる?」
「誰かに願いをきいてもらう。今は精霊も対象になっているけどね。自分で叶えるなら、わがままにならないでしょ?」
凜さんはちょっと悪戯っぽく笑ってそういった。
むう、精霊も対象か。精霊は自然そのものなので、どこにでもいる存在。それ以外の発動条件ってないのかな?
「もう一つは、言葉に魔力を込めることだ」
「え?」
「なんだ、お主知らなかったのか?お主が願いを言うとき、その言葉には魔力が込められておるぞ」
「そんなの、初耳なんですけど………」
凜さんでもまだ知らないことがあった。
なんかゲームで開発者も知らない裏技が、何十年後かに見つかったみたいな感覚。
ホント何なんだ、この称号、チートかバグか。
「ふーむ…………あい、わかった!ちょっと待っておれ」
精霊王はそう言うと、扉の外に出て行ってしまった。
「…………………」
「…………………」
き、気まずい!沈黙がいたい!
さっき煽るような発言したり、泣いたの見た後だからさらに!
どんな話すればいいかわからないぃ!
「………ごめんね。(ボソッ)」
「ふえ?」
「八つ当たりしちゃって、ごめん」
「ああ、気にしないでください。私も、さっきクロさんに同じようなことやっちゃいましたし」
あれは完璧ただの八つ当たりだったし。だから、凜さんの気持ちもなんとなくわかる。
あ、クロさんに後で謝っておこう。同じようなこと言いそうだけど、私の気持ちの問題だからね。
「そっか」
「はい」
「…………………」
「…………………」
また無言になっちゃった。
精霊王様、早く帰ってきてください!切実に!