我が儘姫の言い訳
この話は、前話「凜さんとこにカチコミじゃあ!」の凜視点です。
読まなくても本編に支障はないです。凜の心情を知りたい方は、ぜひスクロールを!
「失礼します」
ガチャッ
入ってきた優維はとてもすっきりした顔をしていた。
ちゃんと話せたみたいだね。うらやましいよ。
「それで、考えはまとまった?」
「はい。でも、その前に質問があります」
「あたしに答えられることなら」
「単刀直入に聞きます。凜さんは、楔梛様と話すつもりはないんですか?」
「ッ!・・・答えはノーだよ。あの子とは話すつもりも、姿を見せるつもりもないよ」
「どうして?」
「あたしはあの子と話す資格がないから。質問はそれだけ?」
何でそんなこと聞くの?
「本当に?」
「え?そうだよ。さあ、「本当に?」・・・何を言わせたいの?」
「楔梛様に話したいこと、本当はあるんじゃないですか?」
「・・・・・・あるよ。でも今更話したところで何も変わらないよ。
それに、あたしにそんな資格はない」
本当は話したいよ。でもそんな資格ないよ。
「資格があるとかないとかじゃなくて、本当は話したいんですよね?」
「――ッ!!だから、話す気はないっていってんの!!!」
思わず怒鳴ってしまった。ムカつく。
あたしはそんなこと望んでない!望んじゃいけない!
なのに、なんでそんな揺さぶってくるの!?こだわるの!?貴方には何も関係ないじゃん!!
「凜さん、」
「うるさいうるさい!!何も知らないくせに!」
「うん、知らないよ。だって凜さん、何も話してくれないもん」
「だからッ!貴方には関係ない!」
まるで子供の癇癪だ。
「関係あるよ!!!」
「――ッ!(ビクッ)」
突然の大声に、思わず怯んでしまった。
「私は、楔梛様も凜さんも助けたいから」
「は、はぁッ!?なんで、あたしも!?」
な、なんでそこであたしがでてくるの!?
それで、結界のこと聞いてくるし!全然関係なくない!?
いやだから、何でそこであたしを助けたいって所に繋がるかな!?
も~、訳わかんないし、なんか怒るの疲れた。
「建国時のことはクロから聞いた?」
「はい、一応。でも、あれ凜さん悪くなくないですか?」
「いいえ、きっかけを作ったのは変わらないよ。
あの時の国王、ウェンカ王を傷つけたのはあたしだから。でも、彼はやり過ぎた。国民が反旗を翻すのは、必然だった。国を制圧したことには、後悔はないよ。
まあ、ここまで怨まれるとは思ってなかったけどね」
元からウェンカ王はずっと先代と比べられていた。それだけでも、精神的に苦しかったろうに、あたしが来たことで彼はさらに追い込まれた。
あたしが国民にとってよかれと思ってやったことは、彼にとっては劣等感の材料でしかなかった。その材料からできたのが、圧政だった。国民にとっては、最悪の完成品。
その他にも、獣人差別とか色々あったけどね。
でも、そんな”わがまま”は許せなかった。
革命を起こしたことには、後悔していない。
それでも、自分の子孫がそのせいで現在進行形で苦しんでいる。
「そんな元凶のあたしが、今更どの面して話せって言うのよ・・・」
「凜さん・・・」
「これでも、まだちゃんと話せって言うの?」
「はい」
即答かよ。本当に頑固だね。
じゃあ、もう一つの理由を言おう。
「ここから出たら、あたしの我が儘姫の能力が制御できないから」
「ふえ?」
ねえ、優維はこれを聞いても、まだあたしを助けたいって言ってくれる?