表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/129

ワタシダケユウレイ?

 考えれば考えるほど、気分が沈んでくる。

 凜さんと話をしてから、何をしててもずっと上の空だ。

 セージ君とクロさんと魔法の練習をしていても、ロジーさんのご飯を食べていても、リコちゃんと買い物しててもぼーっとするときがある。

 しまいには、リコちゃんに「あんた頭大丈夫?」って言われる始末。リコちゃん辛辣!

 それくらい上の空の時が多い。




「お姉ちゃん、最近元気ないね。大丈夫?」

「そうよ。あんたがそんなんだと、こっちまで調子狂うんだけど?」

「あ、うん。大したことじゃないから、大丈夫」


 セージ君とリコちゃんが困った顔を見合わせた。


「………はあ、今日はうち帰ってゆっくりしようかしら?」

「うん、そうしよっか。お姉ちゃんもそうしよ?」

「ごめんね」

「別に。じゃあ、またね」



 2人に滅茶苦茶気を遣われてしまった。

 家に帰ってからも、「ボク、お母さんのお手伝いしてくるから、お姉ちゃんはゆっくりしてて」と言われてしまった。

 うう~、なんてできた子達なんだ!後でお礼をしないと。



 1人になって考えてみた。

 まず、自分がなぜここに来たのかはわかった。そして、自分がもう元の世界には戻れないことも。

 理解はしても、納得はできなかった。まあ、転生ものではよくあるし、かくいう私も好きでよく読んでいた。なんであんなにすぐに死んだことを受け入れられるのか、そこはお話だからってことで納得していた。

 実際に同じ立場になって、そう思えるかは別だった。

 だって、もう家族にも友達にも会えないんだよ?すぐに納得できるわけないじゃん。お別れもちゃんと済ませられないなんて。

 本当に生きているのか、死んでいるのかもわからない。



 自分が元の世界で死んだことは一旦おいておこう。またドツボにはまって抜け出せなくなってしまう。

 凜さんは、楔梛様を助けてほしいからここに呼んだといっていた。

 私にそんなたいそうなことができるのか?

 この称号があればできるみたいなことを言ってたけど、本当に?


 逃げるだけに特価していそうな、こんな称号が役に立つとは思えなかった。

 だけど、誘拐犯から逃げることができたのはこの称号があったから。


 でなければきっと、また………。


 そう思ったら、なんかできる気はしてきた。うん、なんかできそうな気がしてきた。根拠はないけど、ただの勘だ。

 すこしだけ気持ちは軽くなったが、まだ気分は晴れない。




 コンコンッ



「お姉ちゃん、ご飯だよ?」

「うん、今行くね」



 控えめなノックと共に、セージ君が控えめに顔をのぞかせた。

 相変わらず、熊耳がキュートですね。最近はお顔もふもふの状態が通常化しているので、大変癒やされます。

 因みにリコちゃんはあんまりもふもふ状態になってくれない。ちくしょうめ。

 え、見る目が変質者っぽいからだって?失礼な、ただ可愛いものを愛でたいだけだ。




「おう、きたな。じゃあ、食べるか。いただきます」

「「「いただきます」」」



 今日の晩ご飯は、野菜たっぷりのスープに魔ウサギの甘辛煮、ホウレンソウのパン、デザートにリンゴだった。

 そういえば、ここに来て皆で最初の晩ご飯のメニューに似てるな。

 ここに来て、もう2ヶ月くらいにはなるのか。毎日色んなことがあって、長いような短いような。



「「「ごちそうさまでした」」」

「お粗末様。今日は優維もよく食べたね」

「え?」

「最近、食べる量が少なかったから心配してたんだよ。だから、今日は優維と一緒に、初めて食べた晩の献立と同じものにしたんだよ」

「そう、だったんですね………」

「ちょっとは元気になったかい?」

「はい」



 まだ気持ちの整理はついてないけど、話さなきゃ、だよね。

 理解はできても、納得できないことってありますよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ