夢の中に出てくる人は重要人物って相場が決まっている。
「じゃあ、おれはそろそろ戻ります。優維、セージ、またな」
「じゃあね~」
「またね」
和やかなティータイムが終わり、ディグ君は帰って行った。
さて、本は探したしおうちでゆっくり読もうかな。
「本をお借りしていってもいいですか?」
「ホッホ、なんぞいい本は見つかったかの?」
「とりあえずこの本借りてこうと思います。他は難しすぎて・・・」
「ボクはこの本借りてく!」
「ゆっくり読むとええ。魔法は奥が深いからの」
「「ありがとうございます」」
今日借りていく本を鞄に詰めて、家を出ようとしたとき後ろからココ爺から声をかけられた。
「優維ちゃん」
「はい?」
「あの中に何を感じた?」
「え?」
あの中、とは?もしかして封印の結界の中?でも、中に入ったことはいっていないぞ。そもそも、通れたのはその一瞬だったし。
一瞬感じたあのことを話してもいいのだろうか?
いや、あの感覚は・・・思い返すだけでも寒気がする。
「・・・・・・いや、変なことを聞いたのぅ。今のは忘れてけろ」
「いえ、あ、はい」
「お姉ちゃんとココ爺、どうしたの?」
「外は寒かったの~という話をしておったのじゃよ」
「?ふ~ん」
「う、うん、そうなんだ」
話をそらされてよかった。
なんで、ココ爺はあんなことを聞いたのだろう。そんなことを考えながら、家に帰った。
「「ただいま!」」
「お帰り。いい本は見つかったかい?」
「はい、今から読もうと思います!」
「よかったね。でも、帰ったらまず手洗いうがいしてきな」
「「は~い」」
手洗いうがいは大事!
さて、借りてきた本を読んでみよう。
なになに、まず無属性魔法について。
基本属性5つ、またはその複合に属さない魔法の総称。
身体強化、空間、時間操作、重力操作、障壁などが該当する。近年では結界もそれに含まれる。だが、まだまだ未知の魔法は多いためこれからも増えていくだろう。
なるほど、基本属性どれにも該当しないか。なんだこの魔法、全然わからんからとりあえず無属性って分類を作って、全部ひとくくりにしたろって感じかな。
次は結界の章でも読んでみようかな。
結界はハルニレ王国の初代王妃が作った魔法であり、その効果は物理攻撃はもちろん、魔法攻撃にも耐える障壁の上位互換のようなものである。また、特定のものの移動しか認めない、または一切の干渉を受けないなどの様々な効果を付与することも可能。
一説では攻撃を吸収することも可能など、まだまだ不確定要素が多い魔法の一種である。
発動方法は、まず障壁をイメージし魔力を込める。次に、防ぎたい事象を思い浮かべる。目の前に薄い膜や、鏡のようなものができていれば成功である。
イメージだけでできるんか!さすが初代王妃の考えた魔法、アバウトすぎる!
魔法ってそんなもんなんかな。結局、全部はわかってないことがわかったよ。
「晩ご飯できたよ~」
「あ、はーい。」
今日の晩ご飯もおいしかった~。毎日ご飯がおいしいって最高だね!
今日もいろいろあって疲れたな。お風呂に入って、早めに寝てしまおう。
お休みなさい。
「なんだ、ここ」
目を開けると、なぜか私は白い空間にいた。
寝ているはずなのに、目を開けるって表現があっているのかはわからない。
しかも、今の私は10歳のころではなく、元の世界の大人の姿だ。
「夢、にしては意識がはっきりしている気がする」
こういうのは何かしないと目が覚めないって相場が決まっている!
とりあえず何かないか探してみよう。
・・・・・・・目の前に意味深な白い扉があったよ。
とりあえず、開けてみよう。
ガチャッ
「お邪魔しま・・・した~」
パタンッ
開けたら目の前に、ファ~って感じの白いワンピース着て、空に浮かんでる少女がいた。
そんなん見たら一旦閉めるでしょ。部屋間違えましたって感じで。
このままだとお話が進みません?わかったよ、じゃあ開けるよ、しょうがないな~。
ガチャッ
「なんで1回閉めたの~!!!」
「いや、変な人がいたら閉めるでしょ?」
「変な人?!(ガガントスッ)頑張って神々しい感じだしたのに~!」
「あと、関わると面倒だな~って」
「それは!・・・否定しない、かも・・・」
「否定しないんですね。じゃあ、帰ってもいいですか?」
「待って!話だけでも聞いて!あたし何か機嫌損ねることしましたか?!!」
「そうですね。人の睡眠時間を削る人は、万死に値すると思っているので」
私の睡眠時間は、何者にも代え難い尊いものなのだよ。
「ごめんって!それにここ夢の中だから!疲れないから!」
「それなら、いいですよ」
「・・・こんな面倒くさい感じだったの?(ボソッ)」
「・・・・・・やっぱり帰ろうかな」
「あ゛あ゛あ゛!ごめんなさい、帰らないで、ちゃんと話すから!」
リアクションよくて面白いな、この人。誰か知らんけど。