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楔梛様を励まそう:解呪組


 さて、リコちゃん達も行ってしまったのでこちらも出発間近です。



「楔梛様と優維、カロさんは先に行ってくれ」

「クロさん達は?」

「己達は街で顔がよく知られているので、別ルートで行く」

「ボクはそんなに街に行かないし、行くとしても獣人形態で行くからね。人間形態になっても雰囲気で気が付く人もいるけど、結構変わるから意外と気づかれないんだ~」



 そんなもんなのか。

 確かに今のカルヴァロさんは、雰囲気は同じだけど顔が全く違う。髪は白黒のメッシュで、目はちょっと釣り目で色は黒、顔全体としては青年って感じで年が近いリーンヴォックさんより幼く見える。因みにリーンヴォックさんも人間形態になっていて、黒髪短髪オールバック、目の色は琥珀色、眉間にしわが寄っていて険しい顔をしているのは獣人形態の時と変わらない、いかにも武人って感じの顔立ちだ。



「俺もなった方がいいか?」

「ん~、今はどっちでもいいよ。人間だと毛がない分寒いしね~。ボクも王都近くの森を出る手前までは獣人形態で行くよ」

「そうか」



 むむむ、楔梛様の人間形態も気になるけど、今は防寒優先だ。

 話が終わってカルヴァロさん達が魔馬の状態確認や、自分の装備の最終確認を各々し始めた。

 

 私も出発前に装備の最終確認だ。

 シューマさんからもらった七つ道具ヨシ!リコちゃんからもらったポーションヨシ!ついでにスルク先生からもらったポーションもヨシ!ロジーさんの手作りおにぎりヨシ!飲み物ヨシ!セージ君からもらったお守りヨシ!万事ヨシ!

 確認が終わったので全部熊のウエストポーチに突っ込む。こんなにいろいろ入っているのに重さはポーチ自身の重さしか感じない、さすがだね。ウエストポーチだけど、私にはまだ少し大きいので背中にまわして斜め掛けにしている。これならずり落ちる心配もないしね。





「ルラとニンパの調子もいいね。二人とも準備はいい?」

「「ああ/はい」」



 カルヴァロさんは御者の所に座って二頭分の手綱を握る。楔梛様はひらりとワゴン部分に飛び乗った。私はクロさんに脇を抱えてもらって乗った。子供にはこのワゴンの位置は高いんだよ。



「くれぐれも無理はするな。すぐ逃げろ、命優先だ」

「分かっています」

「俺は………」

「楔梛様も、です」

「ぐっ分かった」

「うむ」



 あ、リーンヴォックさんの圧に楔梛様が負けた。

 エドガーさんから聞いた話だけど、リーンヴォックさんはどんな時でも【いのちをだいじに】だからね。そういえば、エドガーさんが無茶して帰って来た時に、くっそ怒られたしくっそ心配されたって話をちょっと照れながらしてたな。『団長はもう誰にも死んでほしくないのであります』って。

 


「優維、本当に気をつけろよ?」

「それはクロさんも一緒ですよ。ロジーさんとセージ君が待ってますから」

「おう」



 私がワゴンに乗った状態でクロさんと軽くハグをする。

 私から離れた後、クロさんは楔梛様に向き直って声をかける。



「楔梛様、奴に何を言われても自分を見失わないでください」

「……………」

「楔梛様が自分を信じられなくても、オレ達が信じます」



 楔梛様が皆の顔を順々に見つめる。クロさんはニカっと笑い、ココ爺は「ホッホッホッ」といつものように笑い、リーンヴォックさんとカルヴァロさんは大きく頷く。

 最後に楔梛様は私を見る。



「楔梛様が自分を否定しても、私たちが肯定します。何度だって」

「…………」

「楔梛様は自分のやらなきゃいけないことだけに集中してください」



 まっすぐ、私が貰った言葉を、私が楔梛様にしてほしいことを伝える。

 だって楔梛様が、あの時の私(クロさんに八つ当たり)と少し似た顔をしてたから。



 



 馬車を引いてくれる魔馬の名前がルラとニンパです。因みにルラが雌、ニンパが雄です。


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