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異世界人は見た!あらやだ

「結構採れたね。」

「う~ん、この前はもっと採れたんだけどな~」

「そうなの?」

「うん、小さい山ができるくらい」

「そんなに!?」

「そうだな、まあこれだけあれば十分だろう。じゃあこの袋に入れてくれ」

「うん!」


 クロさんが出してきたのは巾着袋くらいの小さい袋。明らかに小さいそれに、次々とさっき採った薬草が入るわ、入るわ。すご!


「この袋には空間魔法がかけてあって、大きいリュック2個分の荷物なら楽に入るくらいの容量はあるぞ。ただ、これは安物だから重さは入ってる分だけ重くなるのが難点だな。もうちょっと高いものなら、何を入れても重さは変わらないんだがな」

「へえ~」


 よくあるアイテムボックスみたいなものか。でも、重さは変わらないのか~、ちょっと不便だね。重量まで操作するってなると技術が必要なのかな?


「ちなみにこの袋にかかっている魔法は半永久的で、かけ直す必要はない。空間魔法が苦手な人でも、多くの物を持ち運べるからかなり重宝されているな」

「お父さん入れ終わったよ」

「おう、ありがとな」

「あ、セージ君1人でやらせちゃってごめんね?」

「ううん、これくらいどうってことないよ!それよりお父さん、お姉ちゃんにあれ渡した?」

「お?おお!すっかり忘れてた!」

「あれ?」


 セージ君に言われて何か思い出したのか、クロさんがリュックをごそごそし始めた。そうして出てきたのは頑丈そうな皮のウエストポーチ。熊の刺繍がしてあってちょっと可愛い。


「プレゼントだ。これはさっきの袋と同じで空間魔法がかけてある。それにプラスして重量操作の魔法もかけてあるから、いくら重い物を入れてもポーチ自体の重さは変わらない。ロジーと何か渡そうと思っていたんだが、なかなか決まらなくてな。さっき刺繍が出来上がったからって、行く前に渡されたんだ」

「そんないいものを、いいんですか?」

「おう、オレたちが優維ちゃんにあげたいと思ったからあげるんだ。遠慮せず受け取ってくれ」

「ありがとうございます!」

「ぼくもちょっとだけ刺繍手伝ったんだよ!」

「ふふっセージ君もありがとうね」

「中身は採集道具が入れてある。はさみとか小さいナイフ、ロープとかいろいろ入っているから後で見てみてくれ」

「はーい」


 その後、クロさんが作ったかまくらでお昼ご飯を食べた。私たちが採集している間に作ったんだそうだ。ちなみにお昼ご飯はホットサンドだった。ロジーさんが作ったサンドイッチを、クロさんがその場で焼いていてくれたから熱々のカリカリだった。さすがクロさん、火加減バッチリ。


「午後はちょっと散策して早めに帰ろう。夕方近くから天気が荒れるみたいだしな」

「「はーい」」




 いや~、どうしてこうなった?周りを見渡しても木と草しか見えないよ、ここどこだ?夢中になりすぎた。雪降ってきたし、気がついたらセージ君とクロさんが居なくなってたし。いや、確実に私がはぐれたんですけどね!真新しいものばかりでふらふら~ってしちゃった自分が悪いんですけどね!クロさんの忠告ガン無視だったよ!マジでどうしよう!!


「——は――こっち―――っ!」

「――い―ッ!はな―――ッ!」


 なんか話し声が聞こえるけど、雪のせいかよく聞こえない。ただならぬ雰囲気を感じるけど、ここでじっとしてても仕方ないし声のする方に行ってみるか。

 近づくと馬車が見えてきた。反射的に木に隠れてしまった。そーっと顔をのぞかせてみると、男の人がリコちゃんを馬車に無理矢理乗せているところだった。あらやだ、誘拐?…………あらやだ!気分は家政婦は見た的な感じだよ!どうしよう、私じゃ捕まるのがオチだし、クロさんにってはぐれたんだったー!!!



「……おい、何してんだ?」

「いや、今誘拐現場を見てしまったのでどうしようって――」

「見られちゃ仕方ねえ、勘弁な、嬢ちゃん」

「!?」


 そこで、私の意識は途切れた。


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