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アンタを信用できない



 ゆっくりおティータイムをした後は、皆で片付けをした。と言ってもほとんどディグ君とクロさんがやってしまったので、私は食器を運んだだけだ。




「戻ったであります」

『ブルル』


「戻りやした」



 片付けが終わったころ、外に出ていたエドガーさん達が、そのちょっと後にシューマさんが戻ってきた。エクロクさんは一言もしゃべらなかったけど、先ほどより表情が柔らかくなっていた。過度な緊張はなくなったみたいだ。



「ちょ~っと遅くなっちゃったかしら~?」

「いいや、ぴったりじゃ。忙しいのにすまんのぅ」

「いいんですよ~。私も気になってたことだから~」



 少し急いだ様子でスルク先生が入ってきた。

 どうやら次の議題からはスルク先生も参加していくみたいだ。




「皆そろったようじゃし、次の話し合いをしようかの」



 今は先ほどのように皆立っておらず、各々椅子に座ったり地べたに座ったりしている。私は何故かリコちゃんと楔梛様に挟まれて3人掛けのソファーに座っている。本当になんで?



「皆、昨今ウパシ周辺で誘拐事件が起きていることは知っているな」



 皆頷いたり、まっすぐココ爺を見たりと反応は様々だけど肯定の意を示す。

 ここには被害者も加害者もいるしね。私も当事者だし。



「今回の件以外にも年数件、多いときは月に数件同様の事件が起こっておる。そして、その元凶は王国の貴族によるものと調べがついた。ダイモンとピリカが長期でここを離れていたのは、その調査のためじゃ」



 その言葉にピリカさんは目を伏せ、ダイモンさんは大きく頷く。



「今まで攫われたものの大半が、まだカミアシ家におって奴隷のような環境で働かせれているようじゃ。その救出をエクロクの協力のもと、行おうと思っておる」



 え?エクロクさんが協力して?

 驚いてエクロクさんを見ると、彼は力強く頷いていた。



「無論、協力者がみすみす殺されるような状況は作らぬよう護衛はつける。また、怪しまれぬように誘拐される役としてスルク先生が馬車に乗る」

「すまねぇ」

「いいのよ~、私が自分で行くって言ったんだもの~。逃げるにしても怪我や病気してる人を診て、優先順位をつけておかないと危険でしょ~?それに私が先にいっておけば、軽い怪我や病気はその場で治せるわ~」



 なるほど、スルク先生が誘拐される役だからここから参加したのか。

 確かに医者のスルク先生であれば、トリアージも応急処置もできる。だけど一人で大丈夫なんだろうか?



「………………ココ爺、アタシもスルク先生と一緒に行ってもいい?」

「リコ!?何言ってやがんでぃ!」

「ふむ、理由は?」

「長!!」

「シューマ、まずは理由を聞け」



 ココ爺に強く言われて、シューマさん渋々は口をつぐんだ。

 リコちゃんは年齢の割にとても聡い。考えなしで、こんなことを言う子じゃない。



「スルク先生一人だけじゃ人数が多かったとき診るのに時間がかかるんじゃなくて?」

「捉えられている人数は正確には分からなかったが、概算でも50は超えるだろうな」

「だったら、一人より二人がいい」

「それならあっしでも「パパは医療知識ないでしょ?」う………」

「理由はそれだけじゃないの。アタシはまだこの人が信用できない。協力するというのもこの場だけで言った嘘かもしれないわ」

「———————ッ!」



 エクロクさんは一瞬苦い顔をしていたが、すぐに疑われて当然だという自分を嘲笑したような顔をした。



「この人が本当に悪い人なのか、アタシがこの目で見極めたいの」



 リコちゃんは真っ直ぐ強い目で、ココ爺を、エクロクさんを見つめる。



「ここまで言われて、否定するのも野暮じゃろう」

「……………………護衛はあっしがやりやす」

「もとよりそのつもりじゃ。あとはヒミとディグもよいか?」

「ん/はい」

「ありがとうございます!」

「ホッホ、頼んじゃぞ」






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