子供3人でわちゃわちゃしてるの好き
—————————————リコ視点———————————————
「でも、それでアンタが傷ついた……」
「こんなんへっちゃらだよ。私とリコちゃんが生きて帰ってこれた。リコちゃんの”せい”じゃない、リコちゃんの”おかげ”なんだよ」
アタシの”せい”じゃなくて、”おかげ”?
それでアンタは納得できるの?
「アタシは納得できない」
「納得できなくてもいいよ。ただ、私がこう思ってるってリコちゃんに言いたかっただけだから」
「………これだけ否定されて、イラっとしない?」
「うーん、全然しないわけではないけど……」
どうしてアタシはこんなにひねくれているんだろう。
今の質問だって、煽っているように聞こえるだろう。それなのに優維は何も気にせずに、真面目に答えようとしてくれている。
「リコちゃんにはリコちゃんなりの言い分があるでしょ?それに私は、私の考えに納得はそもそも求めてないんだよ。理解してくれたらそれでいいって思ってるから」
「じゃあ、何のために自分の考えをしゃべっているの?」
「私はこんな人だよって、知ってほしいからだよ」
知ってほしい、理解してほしい、でも納得はしなくてもいい。言葉自体は矛盾していないのに、裏にみえる感情はとても矛盾しているように思えた。
「自分で言ってて矛盾してるってわかってる?」
「分かってるつもりだよ~。まあ、長々としゃべったけど私が今リコちゃんに伝えたいことは一つ、気にすんなってこと!」
ね?とちょっと年上っぽい笑顔で問いかけてくる。
相変わらず私のヒーローは困ったさんで、通常運行だ。
「全く、わかったわよ」
「お、やっと分かってくれたね。じゃあお説教終わり?」
「終わりよ、終わり。でも、最後に一つだけ」
「まだあるの~?」
さっきまでの年上っぽさはどこへやら。さっきまで真面目に話していた人とは思えないくらい、うへぇと年相応な反応を返された。
「アンタが怪我したら、アタシは何度でも怒るから。そりゃもうまた?って呆れるくらい」
「私だって怪我するのは不本意だよ!まあ、そうならないように頑張るよ」
心外だでもいう雰囲気で、頑張る宣言をする優維。
優維のことだから期待はしてないけど。
はあ、もっと医学の勉強頑張ろう。
—————————————優維視点———————————————
話が終わって湯船から出ると、少しふらっとした。あのまま入ってたらガチでのぼせてたよ。
体を拭きパジャマを着て、髪を軽く拭きつつリビングに向かう。
「のぼせるかと思った~」
「ったくアンタの話が長いからよ」
「私のせい?リコちゃんが話振ってきたからじゃん!」
「あーもう、うっさいわね!」
「うわっ」
リビングに着いて反論したら私のタオルをリコちゃんに取られて、わしゃわしゃと乱暴に髪を拭かれた。
荒い!動作が荒いよ、リコちゃん!
「やめへー」
「うっさい!大人しく拭かれなさい」
「ウッハッハ!セージ、リコちゃんとはいつもこんな感じなのか?」
「うん、大体こんな感じだよ」
「ウッハッハ!仲いいな!」
「そーだよー」
「ちがっ……そう、です」
おお、リコちゃんが認めた!因みにまだわしゃわしゃは進行中なので、リコちゃんの顔はみれないけど多分照れてるな。
「はい終わり!」
「うわっ雑!リコちゃん、雑だよ!」
最後に髪を拭いていたタオルを頭に投げつけられた。わざわざ振りかぶってたよ、あの子!
「照れ隠しにしてももうちょっと優しく「照れてないわ!」おやおや、だそうですよセージ君」
「ユイ姉、悪い顔してる。でもさリコちゃん、それは照れてるって言ってるみたいなもんだよ?」
「照れてないって言ってるじゃない!」
いやー、だってリコちゃん可愛いんだもん。あとからかうの楽しい。
「そういうセージ君もニヤニヤしてるよ」
「バレた?」
「バレバレ愉快だよ」
「バレバレ……なんて?」
「なんでもないよ」
年代がバレるね。流れで言いたくなったんだよ。
「リコ、楽しそうでやすね~」
「良かったな。うちの子達も楽しそうだぞ」
「セージ君はもちろんでやすけど、優維ちゃんもからかい方が旦那に似てやすね」
「お、そうか?」
「全く、変なとこが似たもんだね」
前半リコ視点、後半優維視点です。