序章
昔々、あるところに獣人の王と人間の姫がいました。その国では獣人や人間たちが共存していて、お互い助け合って暮らしていました。その国は代替わりしつつも平和な日々は変わりませんでした。しかし、ある日その関係は1人の人間によって崩れてしまいました。
「この獣が嘗て俺の祖先を脅し、この国を奪った!ならば、奪い返さなければ!この化け物どもから、我ら人間だけの国を!」
その人間は嘗てここの王だったものの子孫でした。人間の王は追放されたあと、新たに国を作り軍を率いて攻め入ってきたのです。もちろん国の住人たちは抵抗しました。しかし、圧倒的な物量と最新武器の前に国の兵士たちはもちろん、普通の住人たちまでも次々と蹂躙されていき、辺りは倒れた動物でいっぱいになりました。
国にとって王が最後の頼みの綱でした。王は侵略者を次々打ち倒していきましたが、どんどん疲弊していき、ついには捉えられてしまいました。
「お前が普通では死なないのは知っている。だから、封印することにした。そのために長い時間を要したがな。ようやくこの国が戻ってくる!この時を何年待ち侘びたか!」
歓喜と狂気に満ちた顔でそう告げ、王を無力化し白い辺境の地へと封印してしまいました。
そして、多くの人間が住む国が誕生し何年にも渡り栄華を極めました。獣人たちは追放され、その後を知るものはほとんどいません。
~とある白い辺境の地~
「また村の者が行方不明になりました。今回は2人もいなくなりました。神隠しはないことはないが、今年は数が多すぎます。」
「雪崩などでいなくなる者はいたが、これは明らかにおかしい。現に村の者が、よそ者に連れさられていくのを見たと言っておった。おそらくは売るためだろうな、人間と同じようなものだというのに嘆かわしい。」
「なぜ……なぜ、このようなことを見過ごすのですか!!なぜ戦わないのですか!?」
「我らは争いがしたいわけではない。争えば今以上に同胞が亡くなる。今度こそ皆殺しにされるかもしれない。私には、それが耐えられない。」
「っ!?…………っそれでも!それでもっ……」
「……ああ、こんな時に王がいたならばどれほどよかったか」
誰かがそう願った、誰もがそう願った。
その願いが叶わぬものだとしても、願わずにはいられなかった。王の復活を……
時同じくして、村の外れに一人の女の子が倒れていました。
「え、何!?ここどこ!?視界白っ!」
このお話は、私が夢で見た大まかな内容をいろいろこねくりまして書いたものです。
それでも面白かったよという方は、続けてみていただければ幸いです。