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春と賀美の放課後談話  作者: はなさき
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ギャグ世界なら空中にいることを気づきさえしなければ足場がなくても歩ける気がする

「ねえねえ、賀美ちゃん。わたし思ったんだけどさ、ギャグ世界ってたまに空中に投げ出されることあるじゃん」

「まあ、たまにあるね。で、それがなに?」


「いやー、私は思うんですよ。いつも落ちる直前に足をピクピク動かしてから落ちるでしょ、だから自分がどこにいるのかわからないで足もピクピク動かさなければ空中を歩けるんじゃないかなって」


「あんたバカでしょ? いいあれはそういう演出なの、それに気づかなくても重力で落ちていくの」

「えー、賀美ちゃんギャグ世界の話なんだからそんな現実的な話しない方がいいよ?」

「あ、あんた。いや、まあいっか」


「でさ、やっぱりギャグ世界なら空中を歩けると思うんだ」

「なんで振り出しに戻るんだよ」


「なんでって賀美ちゃんが面白いことを言ってくれなかったから」

「なに面白いことって」


「たとえば、『うん、そうだね。ギャグ世界なら空中は歩けると思う。例えばこんな感じで』って言って何か面白いことを賀美ちゃんが言うの」


「うん、そうだね。ギャグ世界なら空中は歩けると思う。例えばこんな感じで、旅行に行くために春は飛行機に乗って空を移動してました。すると突然春が座ってる席の窓が粉々に砕け散り春は飛行機の外、空中に投げ出されてしまった」


「っ……、早く、早く続きを言って私はどうなっちゃうの」


「すると春はバカだから空中に投げ出されたことすら知らずに空中に座ってるではないか! すると春はここでトイレに行きたくなった。席を立ち空中を歩いて機内のトイレがあった場所まで歩いた。そしてあるはずがないドアを開けて便座に座り春は踏ん張る、踏ん張る、そして、春はお腹の物を出してスッキリしてまた自分の席に戻る」


「え、でどうなるの?」

「? これで終わりだけど?」


「いやいや、この終わり方だと私ずっと空中に座ってることになっちゃうじゃん。空気椅子ってやったことある? あれ辛いんだよ」


「大丈夫だよ。春は自分が空中にいるって気づいてないんだから」

「それはそうだけどー、それじゃあ私目的地に着けないじゃん」


「そうだね。春はこれからずっと空中に座って時々トイレに行って通りかかった飛行機の乗客にスマホで動画を撮られてネットで拡散されてUMAとしてテレビデューだ」


「えー、UMAとして人気になるなんてやだー、どうせ人気になるならテレビのニュースで『速報、史上初の宙に浮かぶ人間見つかる』ってやってほしい。そして私見たさで飛行機に乗って見にきた人からお金を貰いたい!」

「貰いたい! って飛行機の窓は開かないんだよ。どうやってお金渡すの?」


「そんなの適当に腕を飛行機の窓から貫通させて直接渡してくれくれたらいいよ」

「そんな渡され方をしたら怖いわ」


「そんなことないよ。だってそれでお金を貰えたら、くれた人は人間じゃないってわかるでしょ。人間の姿になって紛れてる人外生物を炙り出せるんだよ。面白そうじゃん」


「いやいや、空中に座ってるあんたも人間じゃないわ」

「あー、賀美ちゃん酷い私は人間だもん」


「はいはい、わかったわかった、じゃあそろそろ暗くなり始めてきたから帰ろ」

「なにその面倒くさいから話を切り上げようとしてる感じ」


「よくわかったね。このまま話してたら夜になっちゃいそうだったからね」

「えー、もっと話そうよー」

「しょうがないなぁ、じゃあ帰り道でなら話の続きをしてもいいよ」

「おーじゃあ早く帰ろう」

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