第七幕 四バカ、カフェに行く。
結構カオスです。
「なぁ!なんかおカフェのチケット貰ったんだよ。行かね!?」
江口がワクワクテカテカ(おでこも)しながら、ポルナ○フみたいな髪を揺らし4枚のチケットを振り回す。
「いいね。ちょうど部活で疲れてたんだ」
「いやお前部活行ってないだろ...」
「(俺もだけど...)」
「よし、のっちとえんちは行くと。ななちーはどーするんだ!?」
目をキラキラさせて津山に聞く江口。幼児退行したというか彼の目には純潔さしかない。まるでいつも女子を口説こうと狙ってる人間には思えない。
「じ...じゃあ僕も行こっかな...」
「よぅし!じゃあ放課後行くか!」
「っ!てかここのカフェ、行ったことあるのかよ。」
「ないんだなぁそれが。」
「えぇ...なんで?」
「駅でチケット配っててよ。それで、登校中に本当は1枚だけ貰えるんだけどな...?友達サービスってことで...」
「何やってんだお前は」
とりあえず江口が脳死で4枚チケットを貰ったということが分かった。どんなカフェなのか全く分からないなんて怖すぎる。切り裂きジャックに対面したレベルの恐怖だ。
「まぁ、行かなくてもいいけどな?」
「そう言われると行きたくなる」
結局、4人で行くことになった。最初は、出来心だったんだ。おされなカフェだと思ってたんだ。まさか...あんなカフェだっただなんて思いもしなかった
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「ハーッ!結構歩いたんじゃあないか?」
「歩いたのはお前がココアシガレットを十字路に着く度に放り投げて倒れた方向に行って戻ってを繰り返したからだろうが。」
「行動までポルナレ○になってどうするんだ」
「だってお前が○ルナレフだって言うからよぉ...」
「えぇ...俺が悪ぃの...?萎える...どこぞのOさん以来だよ萎えるのぉ」
バカのノリである。すると、目的のカフェが見えてくる。
「おい、江口...お前これが目的のカフェってよぉ」
「あぁ、そうらしいな...初めて来たぜぇ俺はぁ」
彼の目に映ったのは、ピンクっぽいkawaii外見、申し訳程度のおされな筆記体で書かれた看板、行き来するJK。看板がやけにかわいくて、今どきのJKは「Winstalite」用の写真だろうか。
スマホを片手に友達と自撮りをしている。
男は見当たらない。なんならカップルが居ないのだ。
野々原は思った。「ここ、めっちゃ入りづらいッ!」と。江口も思った。重屋も津山も思った。しかし、わざわざ来た故、勇気を持って入るしかない。
「あーもう入るしかねぇんだ?」
「入るか...」
とりあえず入る。ここまで、会話をしているのは江口と野々原である。
「いらっしゃいませ〜」
若い店員さんが高い声で店に入ったことを伝える。
バイトだろうか。
「何名様ですか?」
「4名。あ、チケットってどうすればいいんですか?」
「チケットはこちらで回収致しま〜す」
サザエでございmエレベーターガールのようなビブラートだ。
「こちらのお席にどうぞ〜♪」
ここまで来ると店員さんの語尾に音符が見える。
綺麗な8分音符だ。
「なんかよぉ、メニューもそう、外装もそうだけどよぉ」
「内装もかわいすぎじゃあないか!?」
「どうやら俺らは全く場違いな所に来てしまったようだな...」
「そうだな...メニューを開こうか。重屋。ちょっとメニュー見してくれ」
「うん。」
「皆で見ようぜ」
「ブラックコーヒー♡ 300円 S M A L Lから選べます♡全て均一♡」
「パフェ♡ 500円 ブラックコーヒーに同上♡」
均一な訳だ。サイズ設定、並べたらSMALLだもん。
というかこれはたけしとみきおがすぎる。床にメニューが貼り付けてあったらコントを疑うかもしれない。
「全てにおいてハートがついているじゃあないか。」
野々原もドン引きである。
「とりあえず俺はブラックコーヒーとスコーンを頼むぜぇ」
江口はブラックコーヒー(Mサイズ)とスコーンを頼んだ。野々原はカフェオレを、重屋はアイスコーヒーを、津山はスコーンだけを頼み、一応皆で食べるようにパフェ(Lサイズ)を頼んだ。
「お待たせ致しました〜♪ごゆっくり〜」
カフェって言うくらいなんだから、結構オシャレな洋楽が流れてるって思ったんだ。(JAZZ系のね。)内装が内装だし、洋楽じゃあなくてもサブカル系が流れるかと思ってたんだ。(埴輪とか苺王子とかね。)
なんでメタルとかロックが流れているんだろう。
「Queen」の「ボヘミアン・ラプソディ」とかが流れてるのはまだ分かる。なにも「King Crimson」とか「Bring me The Horizon」とか「Slipknot」とかを流す必要無いだろ。内装と音楽のギャップが凄い。あ、今「METALLICA」流れた...
「おいおいおい...なんでMETALLICA流れてんだよ...こんなかわいいのによぉ」
「待て!江口。ここまで行くとツッコミ過多で俺が死ぬッ!しばらく黙っててくれ!」
とにかくギャップが凄い。今どきのJKはメタルを聴くのか。(聴きません)
いや...「君はロックを聴かない」のか?
「あいみょんの曲で読者に問いかけるなぁ!作者ぁ!」
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「お待たせしました〜こちらブラックコーヒーでございま〜す。」
「お前ら。俺は先に頂くぜぇ。」
(ゴクリ
<ブフォフォフォフォ〜イ!!!!
「カァァァッ!!日本のコーヒーは(自主規制)」
「どしたどした江口!いきなりジョセ○みたいになりやがって!」
「ブラックコーヒーがよぉ...バチッくそに甘っいんだよぉ...」
「え!?は、はぁ!?」
「のっち。飲んでみろよ...」
「あ、あぁ。」
野々原も飲んだ。同じ反応だった。
「歯が...歯が溶けるゥ!!ひでぇ甘さだっ!!」
ここまでほぼ黙秘を貫いた重屋が、とうとう話す。
「のっち、江口...まさか...俺もさっきブラックでアイスコーヒー頼んだけど...」
「あぁ、覚悟しな。ここのコーヒーはやっべぇぞ」
ナダ○が見えた。
「アイスコーヒーで〜ございま〜す♪」
(ゴクリ
「」
ーところで、重屋が何も言わなかったときというのは広瀬の家に強制的に連れてこられた時にこの反応を示したことがある。
彼は迫真の演技でこれをしてるのでは無い。
演技ではなく、素のままが出てしまったのだッ!ー
「甘すぎるんだけど...吹き出すほどじゃあ無いけどさ」
「お、おいええヱ江口...もしかして、俺...カフェオレ頼んだんだけどよぉ...」
「お待たせしました〜♪カフェオレでございまーす♪」
飲む前に甘い匂いがする。プ〜ンって。何を入れたらそんな匂いになるんだ。
ブラックコーヒー然りカフェオレ然り、コーヒーの苦味という苦味を全て消去したようなそんな匂いだ。
「の、飲むぜぇ...俺はよォ...」
「あ、ああああああ...」
「甘"ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァァァァァい"っ"!!!」
「お、男には甘いのかよ?女には甘くないとか言わねぇだろうなぁ!?」
「そういえばよぉ、この店の名前よぉなんだったか覚えてるか?」
「筆記体で書かれたアレだよな...?」
「見てくる」
「逃げるなよ」
戻ってきた
「どうだった!江口!」
「店の名前よぉ、Cat Faceだったぜぇ...」
4人は固まった。
野々原は考察する。「猫って心開いたやつにはゴロゴロしてかわいい顔を見せるが、気に入らないやつには目が細くなって口をあんぐりと開いてシャーッてする。つまり「猫かぶり」って事なのかもしれねぇ。」
野々原はさらに続けて言う。
「人間もそうだ...男にはいい子ぶりっ子をしているが、女だけになった途端に本性を表す、そんな女を表したような店なんだここはッ!!!」
「だから...!ブラックコーヒーは「甘かった」!」
「江口、そういえばよぉ、「アレ」頼んでたよなぁ?」
もはや不気味な笑顔で近づく店員さん。
「お待たせしましたぁ〜♪こちら、パフェとスコーンで、ございま〜す♪」
「(一同、声にならない号哭)」
彼らは燃え尽きた。頑張ってただただ甘いだけのものを食べ、飲み、店を出た。
最後まで甘いものを飲まなかった津山もパフェを食べて彼らと同じようになった。パフェの甘味は、コーヒーのそれでは無かった。
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ちなみに、スコーンは美味しかった。
ー「入る性別次第でメニューが変わる、Cat Face。
是非、お越しくださいませ♪」
私は甘いものは好きですが、甘ったるいものは口に入れたくないです。