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迫真!京聖演劇部  作者: 松茸 たこす
5/10

第四幕 演劇の基本は正しい発声方法なのは分かるが、古典ネイティブが演劇の基本とはこれ如何に。

ー結局、広瀬さんの家に行って現地で覚えるという訳ではなく、意訳だけど「刑部先生を説得させるんだったらこれを学校で使ってるやつと一緒に読んで覚えやがれ」みたいなことを言われて、例の古文で書かれた古典文法帳を借りてそのまま帰ってきた。

蓋を開けなければよくある参考書なんだけれど、

蓋を開けるとドグラ・マグラよりも酷い光景が俺の目をまるでアイスピックで刺すみたいに情報として認識させて脳内に脳くい虫みたいに、ほろ酔いに至るまでのアルコールの回るスピードで入り込んでくるのだ。

これを完璧にしたらもう二度と古典なんて学ばない。ーーーーーーー

古典ネイティブ1日目

重屋は、学校生活の傍ら革命の準備(古典ネイティブ化)に向けて日々精進していた。

もちろん、刑部先生が演劇部の顧問なんてやっていなければ、彼は古典文法をマスターしなくて良かったのだ。

刑部先生に聞こうにもあの先生と話しているとまるでアラビア語で一方的に話されている感じがして話した気にならない。かといって、刑部先生を研究している広瀬の兄(しいらさん)に聞こうと思ってもやっぱり研究を邪魔しちゃいけない。だから、彼は割と行き詰まっているのだ。

演技で日村先輩を説得させることなんて簡単なのに、それに到達するまでの弊害(刑部先生)のおかげで彼はもう迫真の演技を忘れそうになっていた。

そんな彼の心理の中の独白モノローグ・イン・サイコを私が書いているとき、偶然にも広瀬は重屋に目を合わせようとする。重屋は広瀬と目が合ったものなのでハンドサインで広瀬に会話してみる

スッスッスッ(広瀬さん、ここ教えてくれ)

スッ(何書いてあるか分からない。ごめんね。)

ダメだった。

彼はもう割と元気が無くなっていた。

形容するならばそれは、土から抜けそうな植物の根っこである。


ため息をついて文法帳を見る毎日。

重屋はいい友人を持ったもので、日に日にやつれていった重屋に津山は気づいていたのだ。

江口は脳筋だから気づかなかったし、野々原は岡崎にバカと言われたことを未だに引きづっていて逆に頼られたい程である。

「やっぱ持つべきものは七瀬だよぉ〜っ!!」

「え?僕...?」

「秀才津山くん!古典を一から教えてくれぇ!!」

「え...? 僕!?いや何で!?」

「それが津山ぁ、演劇の演劇がかくかくしかじかでぇ!」

A few times later

「なるほど?そのかくかくがしかじかで古典をやっていると。」

「そうなんだよぉ。津山は成績いいしさぁ、なんとなく刑部先生の言ってること分かってるだろうからさぁだから教えてくれぇぇぇ」

「し...しょ、しょうが無いなぁ...僕も分からないんだよあの人の言ってること。」

「えぇ...」

「いや、でもね。この参考書を見るんじゃなくて、まずは刑部先生の言ってることを分からなければ1からまともな文法帳で調べてみるといいんじゃあないかな?」

少なくとも重屋はその考えが無かったので、津山が言ったことに納得して早速古典で電子辞書を片手に分からない単語を調べることを試みた。


ーしかし、重屋は刑部先生がものぐさであることを忘れていた。

刑部先生は早く授業を終わらせたくて、物凄く早口で話すのだ。単純に分からない言葉なのに、早口となるとそれはもう自分の領域に引きずりこまれた感覚しか残らないー


結果、重屋撃沈。

結局、調べることは諦めて津山のノートを見ながら文法を覚えることにした。

ーそれを先にすればいいのにと筆者は思ったが、先生がものぐさであることの下りを入れないといつまた演劇のストーリーが始まるかわからなくてその時に既に先生がものぐさである事の設定を入れ忘れそうで怖かったからその下りを入れたという経緯があるー

ものぐさで早口な刑部先生と、古典が絶望的な重屋との需要のあるかよく分からない頭脳戦は、いや頭脳戦でもない。重屋が真面目に古典を取り組めば良いだけである。場面は変わって岡崎にバカと言われて萎えていた野々原は重屋が古典で萎える度に回復していった。彼は少なくともバカと言われてももう萎える人間じゃあ無くなった(ただしそれは岡崎だけ)。

〜〜〜

古典ネイティブ4日目。

野々原が復活した。

「俺、復活ッ!!!」

野々原いる所に岡崎はいるのだが。

「四バカ復活だね」

「うるせぇ」

そんな会話をしている。女好きの江口は、一足先に行かれたと嘆いているがお互いそんな目で全く見てないので、江口の嘆きは嘆き損に過ぎなかった。

野々原は、(岡崎が何か言うのをもろにガン無視して)重屋に尋ねる。

「えんち何見てるんだよ」

「古典文法帳。」

「ちょっと見して。」

「いいけどどうなっても知らないよ。」

野々原は重屋の読んでいた文法帳を横取りする形で取り、それを5秒ほどまじまじと眺める。

初見であれば、相当古典ネイティブじゃあ無い限り魂が抜けてほろ酔いレベルの酔いのスピードで情報が海馬に入り込んでくる。野々原は何も言わずに眺め続けている。

「のっちお前これが分かるの?」

「のっち〜?おーい聞いてんのか〜?」

「のっち〜?」

流石におかしいので重屋は野々原の読んでいた文法帳を取り上げる。彼は理解してるから黙って読んでるのではなく、気絶してただけだった。

「んハッ!えんち呼んだか?」

「凄く気絶してたぞ」

「あれはヤバいや。なんで読んでるんだよ。」

「いや、広瀬さんに言われてさ」

「広瀬さんって演劇部のクールな子だよな?」

「そうそう。その広瀬さん。(実はお兄さんの事をお兄ちゃんって言ってることは黙っとこう。)」

「お前いつ仲良くなったんだよォ!」

「いや、広瀬さんは意外と話しやすいよ。多分あの時はそういうキャラを作ってただけだよ。」

「そっか。んで、広瀬さんとこの古典文法帳何が関係あるんだ?」

「それがかくかくがしかのじかじかでさぁー」

A few times later

「なるほど?かくかくがしかじかでこういう事なんだ。」

このくだりは既に2回やってて飽き性には発狂するものだろうが、私の表現力はこれが限界ゆえやらせてもらう。

「そうだよ。」

「というか広瀬ったっけ?がその古典文法をえんちにあげたの面白いな」

「お前著者見てみなよ」

「え?どれどれ?刑部 彦摩呂...?」

「あの刑部先生本書いてるのかよォ!!」

著者に疑問を持って首を傾げる野々原の横で場違いな程に驚いてるのは江口(バカ)である。

「待って江口。普通に今のは白けるわぁ」

野々原はいう。

「江口はてつひーでいいや。津山はなーちゃんでいい?」

「凄く...場違いだよ。のっち。」

「ほんとうにお前は場違い」

津山と重屋はツッコんだ。


古典ネイティブn日目

彼は多くの挫折を経て、古典ネイティブとなっていた。

気づけば重屋は刑部先生の二の舞になっていて、広瀬さんのお兄さんが今度は重屋を研究し始めた。

古典ネイティブに休みは無い

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「うわぁぁぁぁぁ!」

「湯...夢か...」

という夢を見るくらい、彼は古典に毒されていた。

ちなみに、勉強して五日目だが、この頃になってくると重屋は、「なんで俺古典なんてやってるんだよ」という気持ちでいっぱいになって、自暴自棄になってリスカ...とまでは行かないが、寝る時間を確保できない程度に精神はやられていた。

「あぁ...このストーリー、早く完結してくれ。してくれれば俺はこんな事をしなくたっていいんだ。というかそもそもこの小説は演劇メインだろ」

重屋が第四の壁を突き破り、読者に問いかけた。

重屋は大丈夫だろうか。

「いい?重屋。7日間で古典ネイティブにならなきゃ、刑部先生なんて説得できないわ。」

そういう広瀬の言ったことを思い出した重屋は、古典を頑張らないといけないという一心で文法帳を片手に勉強机に向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ちなみに古典編は次で終わる。しかし、話のスジが決まっている以上、古典ネイティブになったところで重屋に休みはやってこない。

第四の壁をぶち破ったのだから、これくらいはさせてもらう。

この作品に山場があるとしたら、このストーリーは山場のやの字にもなりません。

しかし、古典編は本編で言っている通り次で完結です。刑部先生と重屋演二郎の古典語説得バトル、どちらが勝つでしょうね。

説得が終わったら、日村先輩に重屋の演技を見せる事になります。

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