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迫真!京聖演劇部  作者: 松茸 たこす
2/10

第一幕 結局小林は興味の無い数学の話を延々と話し続けた

桜が舞っている。新しい制服の匂いーそれは鼻を通ってそれは口から吐き出てくるかのような爽やかさーが彼を包む。

「今日から俺は、この学校の演劇部で芝居をすることだけにアオハルを注ぎ込んでやるんだッ」

ー京聖学園。それは、日本のどこかに存在する中高一貫校。

今どきの高校としては珍しく幼稚園〜高等学校まで校舎が存在し幼稚園とか初等部→中等部高等部の出入りは基本的にはできない(逆も然り)が、初等部の子らは中等部高等部の将来的に彼ら(初等部)の先輩になる者達に無垢な笑顔を振り撒くのであるー

「えっと、俺の名前は...Aは無くて...Bも無くて...

浅原、岩手、江口、岡崎...あった!」

上履きを叩きつけ、彼は踏んづけたかかとを上履きの中にしまい込んで階段を登り、自分のクラスに行く。

そういえば、誰も廊下に居ないなぁ。もしかして一番乗りなのかな?ーそう思いながら。

C組のドアを開けると、全員が座っていた。

「重屋演二郎君、遅刻っと。」

担任がボソッと呟く。彼はそうそう遅刻した。

ー彼のあだ名は、遅刻屋演二郎となった。高一のあだ名の付け方とは、そういうもんである。ー


入学式が終わり、一人の男が声をかけて来た。

「よっ!遅刻屋!」

「うわっびっくりしたぞ。いきなりどうしたんだあんた...」

不意打ちにはヒヨって、こんな反応をするものだ。

「えっと、名前なんだっけ...」

野々原 蓮太郎(ののはら れんたろう)。"のっち"でいいよ。」

「俺は言っておくけど、遅刻屋じゃあ無いからな?重屋だよ!重屋!重屋 演二郎!」

「あー、重屋だったっけお前。まぁいいや"えんちゃん"でいい?」

「好きに呼んでくれ」

野々原と彼は直ぐに意気投合した。色々趣味が合ったのだ。

野々原は呟く

「ところでお前、どの部活に入るんだよ?帰宅部ダメらしいじゃん。」

「俺は演劇部に入るよ。中学の時からずっとやってんだ。高校でも継続するよ。」

「え?」

「え?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カァーッ カァーッ

「俺も...演劇部に入るんだよな。初めてだけどさ。」

コッ コッ コッ チーン

野々原と彼はほとんど同じタイミングでこう答える。

「一緒じゃんよ......」

もはや友達通り越して運命共同体である。私であればこの状況、脳内BGMで某両津○吉のテーマが流れるだろう。彼らは分からないが。

著作権的に回避しないといけないので、「片大津勘三郎のテーマ」が流れてることにしよう。

そんなこんなで一日が過ぎた。

次の日はレクリエーションである。新しい友人が出来て重屋も次の日の学校が楽しみで楽しみでもうどうしようも無いのである。


次の日。彼は新品の制服(爽やかのくだりは以後省略する。)に身を包み、カバンを持ち、学校へ行く。

「行ってきますっ」

まだ桜は舞う時期で、春風がそよそよと吹いていて気持ちがいい。

春うららと言った方が良いだろうか。

物凄く穏やかで、春っぽい。

でもその穏やかさと同時に夏なのか?ってほどの陽射しが射し込んでいる。

それはまるで羽(ろう製)をもらって空を飛べるようになったから調子乗って太陽に近づき、羽が熔けたイカロスを照らした陽射しのようなー

そんな陽射しがジリジリと彼を照らす。(イカロスのくだりが分からない人は、 「イカロス 空飛ぶ 羽 ろう」とかで検索かけてみてください。多分出ます)

キーンコーンカーンコーン

「おはよう」「おはよー」「おっす」

チャイコフスキー作曲「春の挨さt」

おはようの挨拶が辺り構わず飛んでくる空間。もちろんそれは、重屋に対しても変わることは無かった。

「よっ!遅刻屋!」

「重屋だ。」

「えんち、流石に俺とお前だけじゃあ寂しいわ。ちょっと色々話しかけようぜ」

「いいよ。」

重屋と野々原はクラスで話しやすそうな男に声をかける。

「お前名前なんて言うの?」

江口 哲弘(えぐち てつひろ)。」

「俺は野々原 蓮太郎。んで、こっちが重屋演二r」

「あーあー知ってる。遅刻屋だろ?」

「重屋だよ。」

「わーってるよ(笑)重屋?ったっけ?あと野々原?よろしくな」

重屋と野々原は江口と仲良くなった。

すると江口はこんな質問をする。

「ところでよ、重屋。」

「どうしたんです?江口さん」

「江口でいいよ。あと敬語やめてくれ」

「あーうん。どうしたの?江口」

「(敬語やめろったけど早いな切り替えが。ただもんじゃあねぇなこいつぁ)あそこの女子の溜まってるとこあるだろ?」

「あーうん。あるね。女子(今どきのJK)がいるところね?」

「あそこのさ、女子の中でさ、誰が一番可愛いと思う?」

「は?」

「可愛いと思う女子だよっ誰が一番可愛いと思う?」

「え、えっと俺は分からんよ...女子をそんな目で見たことないし...」

「ハハハハ!うぶいなぁお前は!」

江口は背中を叩く。江口の言葉を遮るかのように野々原は言う

「あそこの茶髪の背が高いやつかな」

「あー、髪綺麗よな。なぁ?重屋。」

「うん」

江口も答える。

「俺はなぁ、あそこのちっちゃい女子かな。」

「なるほど。お前はロリコンか。」

「違うわ」

「重屋は!?重屋は!?」

「だからいないっt」

「いないとか無しだよっ(笑)早くこたえろ(笑)」

「あ、あそこの黒髪の...清楚っぽい感じの...」

「お前、女子の見る目あるんじゃあねぇか?」

「いや、無いって無いって。俺は女子をそんな目で(以下略)」

江口が重屋と肩を組んでそう言う。

江口は言う。

「あの子よ、絶対恋愛興味無さそうだよな。とりあえず話してくるわ。あの三人によ。」

「江口...」

江口は女好きだった。でも、悪いヤツじゃない。

女好きだけど。

「お、江口戻ってきたぞ」

「どうだった?江口」

「名前だけは聞けたけどよぉ、相手にされなかったぜぇ...」

「茶髪の子が桐生 一花(きりゅう いちか)、ちっちゃいのが渡邉 凛(わたなべ りん)、そして清楚っぽい子が鈴本 礼(すずもと れい)だってよ。」

「ふーん。」

「な"ん"か"い"っ"て"く"れ"よ"ぉ"!!!」

...まぁ、江口はご愁傷さまである。ところで、演劇部としての物語が始まるのはもう少し後である。


「えー、はい。では、自己紹介をします。私の名前は、小林 豪洲(こばやし ごうしゅう)と言います。コバシューと呼ばれています。はい、えー私の担当科目は数学でぇー大学時代は複素方程式とガロア理論の研究をー」

長い話だ。小林の自己紹介の長ったらしさに、この空間の全ての学生は

「この人、話面白くねぇわー」

と心の中で思った。

「はい、じゃあ浅原くんからどうぞ」

浅原 京(あさはら けい)です...特技はー」

岩手 舞(いわて まい)です、趣味はー」

「江口 哲弘!好きなことは女子をm」

岡崎 佳奈子(おかざき かなこ)です...趣味はー」

僕の番。

「重屋 演二郎です。特技は迫真の演技です。演劇部に入りたいですー」

彼の特技を聞いて、一部がザワついた。

「ヌゥン!ヘッ!ヘッ!」

なんか汚い声が聞こえたが、それで白けてしまった。

重屋も可哀想である。

全員分の自己紹介が終わり、部活の説明に入った。

長いので省略する。


野々原と重屋が話している時、江口が入り込んできた。

「重屋!...は演劇部か。野々原は?」

「俺も演劇部だよ。」

「カーッ!俺は家庭科部!」

「(いやお前家庭科部かよ...ガッチリしてるしスポーツやれよ...持ち腐れだよ宝のよ...)」

少なくとも野々原はこう感じている。

「重屋!野々原!なんかあそこで一人で座ってる奴に話しかけてみるか?俺は一人でいる奴作りたか無いんだよ」

「好きにしてくれ」

江口は一人で座っている男子に声をかけた。江口は良い奴だと野々原も重屋も思った。

「名前何?」

江口は尋ねた。

津山 七瀬(つやま ななせ)。男だよ」

「知ってるよ。」

「僕なんかと話したって面白くないよ?」

「いいんだよ!そんな事気にすんなって。お前何部に入るの?」

「僕は、サッカー部。」

「ほぉ?」

江口が津山と話していてニヤニヤしてこちらを向いているのでもう居てもたってもいられなくて野々原を連れて江口の所まで来た。

「ほら、自己紹介しろや(笑)」

「野々原 蓮太郎。」

「重屋 演二郎。」

「んで、俺が江口哲弘。」

「重屋、野々原、さっき話してたこいつが

津山七瀬ってやつ。」

「津山七瀬です...よろ...しく...ね?」

津山はボソボソしている。俗に言う陰キャって奴だと思うが、江口はそんなこと関係なく話しかける。

「ほら、津山。二人とも良い奴だからよ、ふつーに話したっていいんだぜ?俺はお前のことは友達だって思ってるからよ。もし重屋とか野々原が悪いこと言ってたらよぉ、俺がぶん殴ったるから安心しな」

「う...うん...」

というか野々原も重屋も人の悪口は言わないタイプであるため、杞憂に過ぎないのだが。

そんなこんなで、二人とも仲良くなった。

一日が過ぎて、帰る時間だ。

重屋は津山に話しかける

「津山君...だっけ?どこの部活に入るの?俺は演劇部だけど...」

「僕は...サッカー部に入るよ。」

「野々原君は?あと江口君もどこの部活に入るか聞いてなかった...」

「俺も重屋と同じで演劇部に入るよ。」

「俺は家庭科部!もし部活が両立できるなら運動部にも入りてぇなぁ!」

「それ聞かなかったぞ江口」

四人の笑い声が聞こえる。

「じゃあな、重屋、野々原、津山。俺はあっちだ。」

「また明日ね」

重屋は外部で、京聖に入る同級生が一人もいなかった。だから一人かと知れないと不安だったが野々原、江口、津山という一生涯の友達(暫定的)が出来て彼は内心嬉しく思った。

なんかいい話風に終わりそうだが、この話は学園コメディではなくてあくまで演劇部メインの小説であるということは忘れないで頂きたい。

何度も言うようだが、この小説は演劇部メインだ。

ーーーーーー

演劇部メインだッ!!!

重屋君の名前の由来は主役を「おもやく」と読んだものです。

クラスメイトの8割はただのエクストラとしての登場ですが、名前は決めてます。

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