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死にたいなんて言った覚えない!  作者: ねずさぶろう
2/2

人の名前を勝手に調べるのは犯罪じゃないかな

※この小説はフィクションです。




全て現実とは一切関係ありません。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー


部屋の明かりがついた途端にガタガタと揺れ始め、

しばらくするとガコンッ!と大きな音を立てて揺れが止まった。


「な…なんだったんだよ、今の…。」


縛られた手足のせいで上手くバランスを取れなかった俺は、その場で座り込んでいた。

そんな俺の様子を見ながら、金髪の女は楽しそうにケラケラ笑う。


「おっさんやばすぎぃ〜!

さっきの説明ちゃんと聞いてなかったのぉ〜?

てゆぅ〜かぁ〜…。」


女は少し目を細めながら言葉をため、辺りを見渡しながら話を続ける。


「ここでゲーム始めるのぉ〜?

悪趣味すぎなんですけどぉ〜。まじムカつくぅ〜。」


さっきまでの楽しそうに話していた声色とは違う、

少し苛立ちを感じているような話し方と貧乏ゆすりをする女。


そんな女のことを疑問に思いながら周りを見ると、至って普通な教室のような部屋。


(一体、この女は何に苛立っているんだ?

この部屋が悪趣味ってどういうことなんだ?

いや、そんなことより俺の両手両足の拘束具はどうやって外せばいいんだ!?)


心の中で悶々していると、女がこっちを見ながら何かを投げる。


チャリンッ!

俺の目の前の床に落ちたものは、金属のような音を立てる。


「なっ?!これ鍵じゃないか!

おいっ!!お前がなんで持っているんだよ!?」


俺は拘束具がついた状態で女に向かって声を上げる。


しかし、女はそんな俺の言葉や怒りなどを何も気にしていない様子で、

先程の苛立った様子もなくケラケラ笑いながら話し始める。


「えぇ〜?あたしがこの部屋に来た時におっさんの足元にあったのぉ〜

さっき揺れた時にぃ〜あたしの方に転がってきたから拾っておいただけぇ〜」


投げた鍵を女は拾って、俺の腕の拘束具を外す。


「別にぃ〜?落としておいてなくなってもあたしは良かったんだけどぉ〜?

おっさん、なんとなく可愛そうだったからさぁ〜」


俺が起きた時の様子やさっきまでの様子を思い出しているようで

肩で笑うようにぷぷぷ〜っと笑っている。


「はぁ〜い!取れたよぉ〜」


女は手際よく両手両足の拘束具を外すと、

俺の顔を覗き込みながら大丈夫?というように首を傾げている。


「えっ!あ…そうだったのか…。

あ、ありがとうな…。」


俺はしどろもどろに言いながら、

今まで拘束具がついていた両手両足首を手で擦り、立ち上がる。


そこで改めて部屋を見渡してみる。


(小学生が使うには高すぎる椅子や机の位置、中学生が使うには立派なロッカー

大学生や専門学校にしては部屋の規模が小さすぎる…高校の教室をイメージしているのか?)


そんなことを考えながらフラフラ部屋を歩き回っていると

フッと黒板に目がいった…


「え…俺の名前が…なんで?」


その黒板には俺の名前”阿波路あはじ 遊真ゆうま”の名前が書かれていた。


(ど、どういうことだ?!

俺の名前がなんでここに書かれているんだ?!

俺はここに来るのは初めてなはず…え、じゃあ、なんで書かれてんだよ!!)


俺が黒板を睨みつけながらは百面相をしていると


「えぇ〜!?おっさん遊真っていうのぉ〜!?

似合わなすぎっしょぉ〜」


ケタケタ笑いながら隣で俺を指差す女。


失礼すぎるだろ!なんなんだ!って言ってやろうと思って女の方を向くと

女の後ろにはスラッと縦に長い男が立っていた。


「わっ!!お、お前誰だよ!!?」


俺は女の腕を引き、自分の方に勢いよく引き寄せながら

ノッポ男に威嚇するように問いかける。


シルクハットの下からニヤリと薄気味悪く笑う口元に

ごくりと生唾を飲み、女の体をギュッと抱き寄せる。


(あぁ…、この後痴漢とかで捕まったりしないだろうか…。)


そんな不安を抱えながら、ドクドクと今までの人生で聞いたことのないような

自分の心臓の音に耳を傾けるのだった。

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