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死にたいなんて言った覚えない!  作者: ねずさぶろう
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始まりは突然になんていうけど、突然は困るよ

※この小説はフィクションです。


全て現実とは一切関係ありません。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


西暦20✕✕年現在、自殺志願者は後を絶たない。


朝のニュースでは連日似たような内容が、ネットニュースやテレビを埋め尽くしている。


政府からは自殺志願者を更生させる為のプロジェクトや施設が作られ、選挙などでは横一列同じ内容がスピーカーから演説され続けている。


そんな中今日も俺は昨日と同じ一日を過ごすために、うだるような暑さの中を額の汗を拭いながら最寄り駅の電車に乗った。


”いつもと変わらない一日を過ごすために”

そう、この時まではそんなことを考えていたのだ。


これから起こることなど予想もせずに。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…んっ?」


俺はフッと目を覚ます。

寝ぼけながらも目を細めつつ、薄暗い辺りを見渡すが見覚えのない場所。


(電車の車庫に入ってしまっただろうか?

いや、その前に車掌さんが起こしてくれるはずか。)


そんなことを働かない頭で考えながら、俺は立ち上がろうとすると――。


「痛っ!な、なんだ!?」


立ち上がろうとした俺の足には足枷がついていた。

それだけではなく、手にはドラマなどでしか見たことのない銀色の手錠もついている。


「えっ!?ど、どういうことだ!?

俺は捕まっちまったのか!?」


(自分の状況からして、これは捕まってしまった他にない。

いや、しかし、どうしてだ?

捕まるようなことはしたことがない。

この間たまたま拾った100円玉のことか?

いや、でも、あれは実家の中で拾ったものだ…。)


訳の分からない状況に置かれると人は、パニックになる。

これは至って当たり前のことかもしれない。


しかし、この時の俺は二徹夜後の久しぶりの睡眠を取ってしまったため、普段以上に頭が回らない状態だった。

もちろん、寝ていなかったとしてもこの状況は訳がわからなかっただろう。


ワタワタとしている俺の横からケラケラ笑い声が聞こえた。


「おっさん、うるさいんだけどぉ〜、超うけるぅ〜」


語尾が変に伸ばされ、まだ26歳の俺に対し”おっさん”と言い放ったそいつは

何世紀もの時を掛けたとしか言いようのない茶黒い肌に、真っ白に縁取られた目元

今にも飛べそうなバサバサと動くまつ毛が特徴的な制服を着た女だった。


「あぁ〜、あたしぃここ来るの楽しみにしてたのにぃ〜

まさかこんなおっさんとだなんてぇ〜、超ショックなんですけどぉ〜」


女はクリクリと巻かれた金髪の毛を指に巻き付けながら、スマホをいじっている。


「えっと…、君は…っ!」


俺は言いかけれ言葉を止めた。

女に対して気になることが多すぎて、何から聞けばいいのか分からなかったのだ。


まず、何故女は手錠などの拘束具をされていないのか。

俺は両手両足に拘束具がしっかりされており、スマホは愚か体を自由に動かせない。

この差はなんなんだ!?


そして、その服装と身なりについての謎だ。

見た感じ2000年代初期に流行っていたであろう服装とメイク…。

昔、社会の日本史で習ったような習わなかったような…何処に売ってるんだ?!


それ以上に、さっき女が言った

”ここに来るのを楽しみにしていた”という言葉についてだ…。

こんな殺風景で薄暗い場所に楽しみだと!?

どういうメンタルだよ!この女!!


そんなことを悶々と考えながら、何を聞くか悩んでいると――。


ピーンポーンパーンポーン


『あ〜、あ〜。

テステス、わんわん、つー!

えぇ〜、皆さまご機嫌はいかがでしょうか〜?』


「な、なんだ?!」


スーツのポケットに入っているスマホから突如、そんな声が流れ始めた。

目の前にいる女は、自分のスマホを見ながらルンルンと笑顔になる。


『この度は、弊社の”デスですゲーム”にご参加いただきまして

誠にありがとうございま〜す♪

ここからはモニターにて動画での説明をさせていただきますね☆』


そう声の主は言い始め、淡々と説明が進んでいく…。


女は嬉しそうにスマホで動画を見ている。

しかし、俺は拘束具が付いているのでスマホの画面を見ることだけでなく

スマホをポケットから出すことすらできない。


しかし、スマホからの音に耳を傾けながら

その内容に俺はかなり焦っていた。


(”デスですゲーム”ってなんだそれ!?

しかも、この動画の内容からしてどう考えても漫画によくある生死をかけたデスゲームだ…。

一体、どういうことなんだ?!)


そんなことを考えていると突然にスマホからの音が終わり、

部屋の明かりがパッと付いたと同時にガタガタと部屋が揺れ始めた。


「な、今度はなんだってんだよ!」


「わぁ〜!遂に始まるんだぁ〜!」


動揺する俺に反して、遊園地にやってきた子供のように喜ぶ声を出す女。


俺はこの時、走馬灯のように今朝見たテレビの占いを思い出していた。


『12位の魚座の方は、身の回りに危険が多くなる一日なので気をつけてくださいね!』


(めちゃくちゃあの占い当たるやん…。)


俺はこれから起こるであろうことから逃避するように、そんなことを考えていた。




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