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チロル書庫

永遠

作者: 赤佐多奈

 男と女が寝床を共にしている。

 不意に女が静かな声で、私はここで永遠に過ごしますと言った。女は痩せ衰えて、肌は青白く、それゆえに黒檀のような黒髪と瞳が一層痛々しく冴えた。力なく蒲団に体を預ける女の様子に、男も、確かにこれは無理もないと思った。そこで、男は女の耳元に顔を寄せ、私も付き合おうと言った。すると女は、では、一緒に、過ごしましょうかと、にこりと笑った。

 二人はそれから長い時間を通り越した。赤い日が東から昇っては、西に落ちた。太陽光の暖かな魅惑も、いつからか蜃気楼のような儚さを湛えて部屋に染みた。月光は静謐さの象徴だった。課せられたのは永遠の退屈であり、しかし男はこの循環に一言の不平も唱えなかった。女の傍にいることが彼の至上の幸福だったのである。

 しばらくの後、女が言った。

「死んだら、私の傍に埋めてもらいなさい。またここで会えますから」

 男は黙ってうなずいた。


 男は目を覚ました。それから、夢の内容に思いを馳せ、小さく溜息をついた。

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