2 森の中で
読んでくださりありがとうございます。引き継ぎ早期投稿を頑張りますのでよろしくお願いします。
気持ちいい。身体が温まる。いつまでも寝ていたい。だがそれを音が妨げる。高音で定期的になり続いている。そしてついにシンヤは覚醒する。
シンヤは目を開くとまず音の発生源を探す。音は船内のスピーカーから出ていた。どうやら故障して警告音が出ているようだ。シンヤは少しの間動かずにいた。そしてだんだん思い出してくる。
「…生きてたのか。管制室。聞こえますか。聞こえたら返事をしてくれ。」
しかし依然として警告音が鳴り響くだけだった。シンヤは身体を起こそうする。そして驚いた。あんな事があったのにも関わらず一切身体に異常はなく。むしろ驚くほど元気だったからだ。
シンヤはとりあえず今の状況を知ることにした。
体調は良好。場所は船内。船は破損が激しく動きそうにない。
そして外を見ようと小窓に目を向ける。するとそこには緑が生茂る森が広がっていた。
「ここは地球か。とりあえず今の居場所を管制室に知らせなきゃ。」
シンヤは通信機器を持って外に出た。宇宙服は脱ぎ、ジャージを着ていた。
外は人がまだ入ったことのないような森で見たこともない植物が生えていた。周りのものに視線を奪われながらも通信をするために森を抜けようと少し歩く。するとどこからか水の音がした。シンヤは少し小走りで向かう。
「え…」
思わず声が漏れる。何故なら尋常じゃない速さで移動していたからだ。もしかしたら本気で走った時よりも速いかもしれない。そして気がつくと開けた河川についた。地面は大きな石が敷き詰められていた。
シンヤは通信機器を置き、通信を試みる。しかし繋がらない。おそらく何処か遠い山に墜落したのだろうと思い。川沿いを下って行こうと思った時。通信機器が何かに反応した。どうやら山の頂上に何かがあるらしい。
シンヤは電波塔か何かがあるかもしれないと山を登り始める。上に行くにつれて段々反応が大きくなった。また何か身体に違和感を覚えるようになった。頭が少し痛い。そしてついには激痛を感じるようになった。
シンヤは頭を押さえながら一歩一歩前に進む。すると突如、古びた建物に着いた。それは草木に覆われていて遺跡のように見えた。
「くそ。はずれかよ…」
シンヤは力なくその場に倒れる。
くそ。せっかく生き残れたのにこのままじゃ死んじまう。ここはどこなんだ。あのブラックホールはどうなった。
その時、シンヤの腹が警告音を鳴らす。
はぁ〜。こんな時でも腹は空くのか。何か食べれる物は…できれば肉が欲しい。ん。そういえば動物の姿を見ないぞ。こんな大自然の中なのに。とりあえず襲われるかもしれないからここで休むのはよそう。
シンヤは立ち上がり、遺跡で休めないか確かめることにした。
遺跡は腐敗していて建物の素材が分からないほど植物に覆われている。高い壁はビル4階分ほどあった。そして何箇所か大きな穴が空いている。
「よく壊れないな。大丈夫か。」
シンヤは不安になりながらも探究心に駆られ穴の一つから中に足を踏み込む。すると突然、機械の電源が入ったような音が響いた。
「お帰りなさいませ。ご主人様。」
どこからか女性のような声が聞こえてきた。シンヤはその場に立ったまま中を見て驚く。そこにはホログラムで写し出された女がいたからだ。
「…真莉。」
その女はシンヤの死んだ妻だった。
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