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欧州の独狐
「あそこか」
「らしいな」
「さっさと済ませて帰るぞ」
欧州の独狐、それは風にのって各地へと広まっていった。魔術によって記憶を失い、狐となった者たちが、自分自身の存在を確かめるべく、記憶を追い求める旅。彼らはまるで何かに動かされているように、雪原を駆け、草にまみれ。記憶の断片の怪物を倒す。そんな彼らの物語――――
「私は何者なのだ?」
気が付けば毛布にくるまっていて、白い毛に包まれた自分の姿を見た。だが私はまるでそれが受け入れることができないような、そんな感慨にとらわれていた。他にも同様に赤毛、黒、茶色。
私は何やら、大切な何かを忘れてしまっているみたいだ。




