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身分不相応

作者: chatran

○.商店街 近未来

NA

経済の活性化により町には明と暗に分かれた。この物語は暗に属す。

ジャンパーの両ポケットに両手を入れ、背を丸めて歩く一人の青年がいる。つまらなそうな表情をしている。客引きが声をかける。

客引き

「あら、タクシードライバーのトラビスに似たお兄ちゃん。食べ放題だよ。寄って来なさいよ」

青年はちらっと客引きを見るが客引きを無視して歩き去る。

身なりの上等な老人が青年に声をかける。

老人

「もしもし、哲也 グラハムさんですか?」

哲也

「え!そうです。」

老人

「君を探していたんだよ。少し立ち話をしよう。構わんかね?」

哲也

「ええ。」

老人

「私はアブラハム リーという者です。君はカプラン国の王の血を八分の一受け継いでいる。」

青年

「何ですって!」

老人

「そう驚かんでくれ。まあ、私の話を聞いてくれ。実はカブラン様がお亡くなりになって遺言で君を見つけるように言い残された。」

哲也

「(不審そうにアブラハムをじっと見詰める)」

アブラハム

「君は読書、カントを読む事が唯一の趣味、御両親は無くなり、君は奨学金で学費を賄っているが登校しない。そうだね?」

哲也

「(眼を大きく見開き驚いた表情でアブラハムを見つめながら)」

「なんでそれを?」

アブラハム

「まあ、続きを聞きなさい。実は、もう地球が危ないんだ。それで君をNASAの一員にしてスペースシャトルに乗せたい。」

哲也

「・・・・・・・」

アブラハム

「ここからは大事な話になるので喫茶店に入ろう。」

○.喫茶店

アブラハムの注文したコーヒーとアップルパイを持って店員が二人のテーブルにそれを置く。

アブラハム

「君が王の血を汚さずにいるかどうかテストしたい。つまり、宇宙ステーションと同様な完全な密室で生活し与えられた課題を解くことがで きるかどうかだ。」

哲也はコーヒーを飲みながら上目ずかいにアブラハムを見る。

表情が活き活きとしてくる。

アブラハム

「課題はこうだ。私達が君に音とテレビ、新聞を使い、攻撃をする。君がその原因を突き止めて密室から出ることがどうかだ。」

哲也

「鍵はどうするんです?」

アブラハム

「君の行動はモニターで一日中監視する。君が課題を解いたと判断されれば君を自由にする。」

哲也

「いいでしょう。カントも道徳、理性、判断力も実践してこそ意味があると述べてますから。」

アブラハム

「かなりきついぞ。」

哲也

「大丈夫です。」

アブラハム

「よし、成立だ。早速、君をマンションに連れて行く。」

二人は喫茶店をでる。

○.アブラハムが運転する車

アブラハムがハンドルを握り後部座席には哲也がいる。

アブラハム

「まだ言い忘れた事がある。食料は宅配のみだ。その費用は私たちが払う。好きなように注文してくれ。また、成功したあかつきには君はす ばらしい女性と結婚できる。」

哲也は興奮し、喜びの表情を浮かべる。

アブラハム

「そして、君は限られた物資で生活しなければならない。」

哲也

「なんですか?」

アブラハム

「冷蔵庫、テレビ、ベット、新聞だけだ。」

車がマンションに着く。

○.マンション

アブラハムが部屋の鍵を掛けて階段を下りてゆく。足音が聞こえる。

○.マンションの最上階

アブラハムとニ人の男女が部屋中にオーディオ機材が並べてある場所で哲也が映ってるモニターを見ている。モニターには哲也の 姿のほかに字幕文字が現れている。

男は中年男性、女は老婆

老婆

「ひひひ、またひっかかたね。」

中年男性

「マギー母さん、ただの馬鹿を騙すのは簡単ですよ。」

マギー

「ひひひ、そうありたいね。パット。」

アブラハム

「キャシーは何時帰ってくる?」

パット

「ニ、三日には。」

アブラハム

「哲也のテストにちょうど間に合うな。」

三人はモニターに寄り添って注視する。

○.哲也の部屋

部屋にはベッド、テレビに前にソファー、テーブルの上には電話がある。

全ての窓にカーテンがひかれている。

哲也はソファーに座ってテレビや新聞を観ている。ニュース番組、毎朝新聞を見ている。

哲也の思考

「攻撃ってなんだろう。お、今日の女性アナウンサーの服の色は黒か、スタイリッシュだな。おや、新聞の広告欄の写真に載っている人たちの服装も黒塗りだ。そうだ、ピザを頼まなきゃ。」

哲也は電話をかける。

哲也

「もしもし、黄色いアップルピザを頼む。そう、引っ越したんだ。」

哲也は電話を切り、再びソファーに座る。同時に上の階の住民の足音と窓を開ける音がする。それと同時に哲也の耳に言葉が聞こ える。

謎の言葉

「帰れ、帰れ、哲也、帰れ、帰れ」

冷蔵庫からも同じ言葉が聞こえる。

哲也はぎょっとする。部屋のチャイムが鳴る。哲也が出てドアを開ける

宅配人

「ピザをお届けにまいりました。」

哲也

「あれ、いつもの人は?」

宅配人

「辞めました。」

哲也はピザを受け取る。宅配人が去り階段を下りていく足音が聞こえる。哲也はピザを冷蔵庫にしまおうとする。そして新聞の広告欄を見る。広告欄の人物達は黒塗りである。

冷蔵庫の音

「黒、黒、哲也、黒、黒、哲也」

二階の住人の足音が激しくなり、窓を開ける音が激しくなる。哲也は冷蔵庫の音に困惑しながらもピザを冷蔵庫にしまい、またソ ファーに座る。二階の足音もソファーの部屋に移動し、窓を開ける音がする。続けて哲也の耳に奇妙な音が聞こえる。

奇妙な音

「哲也、ポロポロ、哲也、ポロポロ」

哲也は混乱し、窓のカーテンを開こうとする。足音も移動する。布製と思ったカーテンは鉄製で開かない。哲也は立ったまま考え る。

哲也の思考

「これは思考が読まれているんだ。よし、この原因を突き止めるぞ。カントも理性は人間に備わっている不変のもの。原因を追究するもの。 ただ人は感情が邪魔してそれを発起できないと書いてあったな。」

窓の外ではパトカー、救急車のサイレン、子供主婦の立ち話etc日常の音が聞こえる。哲也の耳に隣の住人の部屋からも声が聞こえ る。

隣の住人の声

「哲也、がんばれ、がんばれ、がんばれ」

哲也はテレビを消し、ベッドで横になり眠ろうとする。二階の足音も寝室へ移動し哲也の頭上で窓を開ける音がする。哲也の 右耳にハウリングする音、左耳にパトカーのサイレンが鳴り響く。哲也は眠れなくなり幾度も寝返りをうつ。哲也は一睡もできずに朝を迎える。玄関から新聞を抜き取り広げて広告欄を見る。やはり黒塗りである。表情は疲れきっている。

哲也の思考

「こんな事は毎朝新聞を読んでる間続くんだろうか。二階の住民は誰だろう。こんなひどい事をするなんて。」

哲也はテレビを観るために居間に移動する。足音も移動し、窓を開く音がする。テレビを点けようとするが映らない。コンセントの電 源が入ってなくバッテリーで見たのに気付く。耳元には右耳ハウリング左耳

左耳

「テレビ、テレビ、テレビ、新聞、新聞」

哲也の思考

「何だろう。テレビって。もう俺はテレビに夢中になる歳でもないのに。」

哲也はテレビの電源を入れる。テレビではニュース番組を放送している。ニュースは機能と代わらない内容。哲也ははっと気付 く。

哲也の思考

「まてよ。居間に移動したら音は一回消えたな。」

チャイムが鳴る。哲也は玄関のドアを開ける。小柄な人柄のよさそうな女性が立っている。

小柄な女性

「おはようございます。私、上に住むハンプトンです。引っ越されてきたので挨拶に来ました。これは御挨拶のお品です。」

ハンプトンは哲也にお菓子を渡す。哲也はそれを受け取る。

ハンプトンが去り、足音が聞こえる。

哲也の思考

「ハンプトンさんか。とても悪い人にはみえないな。足音はアブラハムかな。」

○.最上階

居間には哲也の部屋の間取りに対応したオーディオセットがある。

居間用、寝室用、足音、戸外等。マギーが年甲斐もく変声用マイクに向かって声を入れている。

マギー

「テレビ、テレビ、テレビ、黒、黒、新聞、新聞」

パットがモニターを見て哲也の位置と字幕文字を確認している。アブラハムは哲也の脳波を測定している。若い白衣を着た女医が 入ってく る。

マギー

「キャシー先生、お待ちしておりました。私の心臓はどうでしょう。まだ心筋梗塞で死にたくはありません。」

キャシー

「大丈夫ですよ。パット、被験者はどう?」

パット

「しぶとい奴ですな。彼の思考の文字を見ていますが今までの被験者とは少し違いますな。上の階の住人に危害を加えない。」

キャシー

「分かりました。もし、バレそうになったらいつもの方法で亡き者にして頂戴。」

アブラハム

「分かりました」

キャシーは部屋を出る。マギーは寝室に眠りに行く。

○.哲也の部屋

哲也がピザを冷蔵庫に入れるため居間からキュチンに移動する。今度は足音と窓を開く音はしないが戸外から声が聞こえる。冷蔵庫も 今度は声がせず、代わりに何かを吸収するようなジーという音がする。

哲也の思考

「やっぱりそうだ。部屋を変えると声が止まる。」

戸外の声

「それ、それ、それ、哲也」

哲也は再び居間戻り、テレビを点ける。

哲也の思考

「それにしても何でテレビなんだろう。これは、きっとテレビに関係する事なんだな。よし、カントが書いたようにテレビの特殊性を見つけ よう。」

哲也はテレビをじっくり観る。

哲也の思考

「テレビといえば電波、電源コードがいらないバッテリ機能、ニュース。そうだ、さっきはテレビをバッテリで視たんだっけ。」

哲也は暫くテレビを観続ける。

○.マンションの最上階

マギーが寝室に引っ込みパットとアブラハムが哲也をモニターしている。

パット

「アブラハム、暫く哲也は動きそうも無いな。おや、お前酒飲んでいるのか。」

アブラハム

「退屈だからな」

パット

「オーディオ部品が壊れたのでネットで注文してくれ。」

アブラハムが酔いながらパソコンをいじる。

パット

「それにマギーがいないから音は言葉ではなく音響のみの全自動でやろう。」

アブラハム

「了解」

二人は哲也を監視続ける。

○.哲也の部屋

哲也は何時間もテレビを観続けている。テレビでは省エネの広告として電源コンセントを抜く画面が大きく出る。

哲也の思考

「電源コンセントか。そうだパソコンを持ってたな。」

哲也は寝室へ移動する。足音もそれに合わせて移動する。哲也は寝室にある引越し荷物からパソコンを取りだし起動させる。無線 LANでインターネットにアクセスする。

メールボックス

「オーディオセットVD 御注文確認メール。」

哲也の思考

「なんだこれ。俺はこんな物注文した覚えワトソン無いぞ。そうか、電源か、もしかしたら。」

哲也は無線LANをやめてパソコンを電源コードでおそるおそる接続する。その瞬間、戸外でものすごいハウリングが聞こえる。

哲也の思考

「そうか、電源が押さえられてるんだ。それで電源コンセントを使わせるためにテレビ、テレビ、テレビと言うんだ。よし、解けたぞ。窓を 開けれ音はアブラハムの部屋のオーディオセットの音を聞かせるためなんだ。」

哲也は歓喜のあまり笑いこける。しかし、直ぐに冷静になる。

哲也の思考

「まてよ、まだ謎があるぞ。新聞はなんなんだろう。アブラハムはどうやって俺の考えたことが分かるんだろう。まあ、いい、この考えたことも分かるんだから何か 言ってくるだろう。」

哲也はベッドで横になる。

○.マンションの最上階

アブラハムが酔いがさめて表情がひきつる。パットに話しかける。

アブラハム

「しまった。バレたぞ。」

パット

「どうしてバレた?」

アブラハム

「オーディセットを哲也のパソコンで買ってしまったんだ。メールボックスにオーディオセットの注文の返信メールが入ってしまったん だ。」

パット

「また、バラさなきゃいけないな。お前が酒なんか飲むからだ。責任は取れよ。」

アブラハム

「分かった」

アブラハムは礼装に着替える。表情は切羽詰っている。

パット

「そんな顔するな。めでたい話なんだから笑顔をつくれ。」

アブラハムは表情を変え部屋を出る。

○.哲也の部屋

アブラハムが部屋の鍵を開けて中に入る。

アブラハム

「おめでとう。君はテストに合格した。」

哲也

「(得意そうに)

ありがとうございます。しかしこれはとんでもない事ですよね。脅迫、傷害、窃盗罪に問われるんじゃないですか。」

哲也

「まあ、そう言うな。これを君以外の誰かに使おうというわけではない。話を変えてもう君には攻撃しない。ゆっくり休んでくれたまえ。 じゃあ。」

アブラハムは部屋を出る。哲也は嬉しそうに着ている物を脱いで浴室に行く。

○.マンションの最上階

マギーが起きて来て部屋に戻ったアブラハムに言う。

マギー

「ひひひ、また凍死体を拝めるね。」

アブラハム

「パット、あいつの聴力は電話で測ってあるな超音波を流せ。」

パットがモニターでシャワーを浴びている哲也を見ながら機器のボタンを押す。

○.哲也の部屋

哲也が嬉しそうに鼻歌を歌いながらシャワーを浴びている。哲也の右耳にピーと音が聞こえてくる。音は止まず哲也は驚く。

哲也の思考

「変だ。もうやらないと言ったのに。」

哲也は浴室から出て寝室のベッドに横たわる。上の階で足音がして窓を開ける音がする。哲也はぎょっとする。

哲也の思考

「どういうことだ。」

哲也の右耳の音は続く。

哲也の思考

「何だ。冷えてきたぞ。」

哲也は寒さのあまり毛布に包まる。

哲也の思考

「う、心臓がどきどきする。」

哲也は慌てて起き上がると急いで台所に行き水を何倍も飲む。哲也はふーと溜息をつき落ち着く。

哲也の思考

「心不全になるところだった。シャワーで冷えたかな。」

哲也は湯を沸かしてコーヒーを入れ居間に行く。

○.マンションの最上階

パット、アブラハムの目つきに冷酷さが表れる。

アブラハム

「電磁波をくらえ!」

パットが怒りの表情で機器のボタンを再び押す。

○.哲也の部屋 居間

居間にある金属、プラスティク品また居間のあちこちでミシミシ音がする。

哲也の思考

「何だ!体が熱い。また心臓が...それにしても変だからだの表面は冷えているのに芯だけが暑い。まるで電子レンジの中にいるようだ。 そうか、電子か。これは電子に関係しているんだ。」

哲也の顔に汗が滲み出る。哲也は再び台所に行き水を何倍も飲む。立ったまま考える。

哲也の思考

「分かった!こういうことなんだ。耳に音が入るのは電話の受話器に耳を当てる、電子を含んだ電流が声として耳から入る。鉄製の品から音 がするのは電子に反応しているからなんだ。鉄といえば髪の毛。うーん、こうだ髪に脳内電子が滞留し電子を含んだ双方向デジタルテレビ電波に跳ね返って運ばれる。それをアブ ラハムが拾う。それでアブラハムは俺の考えた事、つまりテレビ、新聞を見て考えた事が分かるんだ。テレビ、テレビ、新聞、新聞もそのためか。テレビは液晶画面から超音波をだす。新聞は毎朝だから太陽が昇るごとに超音波を出す。太陽からも超音波が出るからな。超音波は水で伝わる。水は脳の90パーセン ト、それで脳内電子が髪の毛まで伝わる。どうだ!アブラハム!」


○.マンションの最上階

マギーの顔が真剣になる。

マギー

「さっさっと殺せ!」

パット

「アブラハム、実力行使だ!」

アブラハムは懐から銃を取り出し血相を変えて部屋を出る。





○.哲也の部屋 居間

哲也がリラックスしてコーヒーを飲みながらテレビを観ている。表情は歓喜に溢れている。

哲也の思考

「NASAにすばらしい女性か。宇宙で結婚式でも挙げるんだろうか。」

テレビニュース

「けさの10時頃、イタリアで国際的な秘密結社が摘発されました。この組織はNASAを餌にして人間を実験台にする医者グループからな り、その目的はノーベル医学賞を受賞することです。」

哲也は思わず立ち上がり顔から血の気が引く。

哲也の思考

「これは俺の事じゃないか。大変だ殺されるぞ。どうにかしなきゃ。そういえばピザの宅配人が代わっていたっけ。こうなったら殺される前 に先手を打とう。」

部屋のチャイムが鳴る。哲也は台所のぺティナイフを取ると、背後に隠し持ったまま玄関を開ける。ピザの宅配人が笑顔で哲也に 話しかける。

宅配人

「こんばんは。哲也さん。日ごろの御愛顧に感謝してスペシャルクーポン券を差し上げにきました。つきましては・・・」

哲也がいきなり宅配人を部屋に引きずり込む。哲也と宅配人がもみあいとなる。そこにアブラハムが来て哲也に銃口を定め る。訳の分からない宅配人がアブラハムの腕に飛びつく。そのはずみで部屋の電気スイッチが切られ、部屋は真っ暗闇になる。三人がもみあいとなり暗闇の中で銃口が音をたて閃 光が光る。宅配人は部屋を出て助けを呼ぶ。

宅配人

「誰か来てくれ!」

近所の人が集まり部屋の電気を点ける。アブラハムが撃たれて死んでいる。

○.マンションの最上階

マギーが一部始終をモニターで見ている。ショックのあまり苦しそうに心臓の辺りを押さえる。

マギー

「パット、先生を呼んで!」

パット

「母さん!」

マギーはその場に倒れる。キャシーが来て老婆の脈を取る。

キャシー

「パット!マギーは死んだわ。アジトに遺体を運んで私たちも逃げるのよ!」

パットがマギーの死体を背負い、二人は部屋を出て一室を放棄する。

○,マンションの前

野次馬、パトカー、救急車などが集まり騒然とする。

○.商店街

哲也が前と同じように両手をジャンパーのポケットに両手を入れ背中を丸めてとぼとぼ歩いている。商店街の一角ではロバートレッドフォード監督作品 普通の人々を上映し ているミニシアターがある。

哲也の思考

「普通の人々か。」

哲也は溜息をつきミニシアターを横目に、またとぼとぼと歩き出す。その後姿。

NA

「一団は警察に摘発され、彼らのアジトも壊滅した。毎朝新聞の配達人も一味の一人で逮捕された。アジトには老婆の死体があった。哲也は罪を受けずに済んだ。宅配人も正当防衛と いうことで罪を免れた。金銭的に見れば大きな チャンスなど、日々の仕事で、程度の差こそあれ、大きな仕事をした者でないと女神は微笑まない。小さな楽しみを日々の仕事の糧として享受しながら生きる。そしてアリストテレスの言う貧富に係わらずに高等遊民として観照生活を享受しながら生きること、これこそ幸福というものである。哲也は金銭に惑わされたのである。この物語は経済的に暗を描いた物語りである。」




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