真理は友の空言に
素晴らしい事を思いついた。
そう言いたげな友人の顔ではあるが、浅い付き合いのクラスの誰もがその顔をみても、特に何の感想をいだきやしないだろう。
帰宅部と言うなのいわば学生でなければ自宅警備員とやらと何が違うのか全くもって区別がつかない輩、それに加えテスト期間が終わった学生ほど気の抜け具合が酷い存在はない。
大した話でもない。
だが、友達という付き合いだしテストが終わった事でもあるし聞いてみよう。
適当に促すように首を上下に揺らすと、それに釣られる鯉のように、口をパクっと開いた。
「いやぁ真理だよコレは、今迄のお前の常識が覆るかもなぁ」
「おう」
「漫画が実写化みたいな話になると否定的な意見がでる」
「出るなぁ」
それは最早宿命の様なもので、炎上商法に似た話題の一環の様なものだろう。
だが、もしこれだけなら常識が覆るという誇大妄想にも似た発言は、いかにもこいつらしいと言えるだろう。
鼻で笑おうとしたその時を狙った訳でもないだろうが、そこからまだ発言があった。
「お前らそもそもアメリカンコミックの映画に文句いってんの?」
確かにそんな声を聞かない。
「それと今時オリジナル日本の映画そもそも見に行かないだろ?海外映画かドラマの続編ぐらいじゃね?」
確かに、映画は日本の映画よりは海外映画のほうを選びがちだ。
「どうよ」
「いや、真理何処にいった」
「結局漫画やアニメの実写化を否定するならまずお前の映画ファンとして在り方を否定しろよ」
「そいつら映画ファンじゃなくて漫画のファンだから」
「あぁなるほど、それもそうか」
適当に納得したけれど、素晴らしい真理なんて言うはずもないという信頼があり友達をやっている。
それでも今の様な真理めいたものがあるから友達をやっているのかもしれない。