ギルド勧誘
「あの…、先ほどから聞いていたのですが、勇者というのは、私のことですか?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
国王は、にっこりと顔を笑顔にし、
「もちろんですとも!勇者様!!」
国王は、前のめりに返答をした。
キラキラとした瞳で見つめてくる。
周りを見渡しても、大臣やその他の側近たちも「うんうん」と頷いている。
(まじか…!俺が勇者…!この展開は、もしかしたら魔王を倒してほしいとか言われる流れなのでは…?)
「勇者様には、是非ともギルドに入っていただきたいのです!!」
国王は、俺に向かってそう言った。
「ギルド!!?」
俺が驚き、不思議そうな顔をすると、国王は説明を続けた。
「この世界では、ギルドシステムが共通して構築されているのです。ランクがSSになった人たちが魔王討伐の任務を与えられることになっています。勇者様には、是非とも魔王を倒していただきたいのです!!」
(なるほど…。勇者だからといって魔王を倒すというわけではないのか…。それに、勇者というのは、称号のようなものであり、国を魔人から守るような活躍をしたから得たものなのか?)
「魔人を倒せるのは、魔王を倒す力をもった人に違いありません!是非、お願いします!」
俺は国王の強い思いを感じた。
恐らく、魔王は、この国にとっても災厄であるという認識で間違いないだろう。この前の魔人を思い返しても、人の敵を生み出しているに違いはない。
ギルドか…。つまり、冒険者になるということだ。
俺の能力は、恐らく冒険者向きだし、この世界で生活していく上で稼ぎは必要だ。
「わかりました!!魔王討伐を目指して、精一杯頑張ります!」
そう言うと、国王は顔を赤らめて…、
「勇者様、だいす…!…こほんっ!それはありがたいです!!よろしくお願いします!」
まだ子どもらしいところがあって、可愛らしい。
「ギルドには私から推薦状を出しておきましょう!困ったらいつでもこの私…って名前をまだ言ってませんでした!!」
国王はドジを踏んだというような様子で、少し慌てた後、冷静さを取り戻して話をした。
「私は、国王のハーバスト・ユアミです。困ったらいつでも頼ってくださいね!」
可愛らしい微笑みで、ユアミは俺に名前を告げた。
ユアミか…!この子のためにも、俺自身、さらに強くならないとな…!!!
「わかりました!ありがとうございます!!ハーバスト・ユアミ様!!」
俺は会釈をし、エリーに連れられ、城を後にした。