表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

魔物との遭遇

「ここまででよかろう。後はこの道を真っ直ぐに歩いていけば、街に着く。」


俺を乗せていた竜は、俺を下ろして、そう話した。


「ありがとう!エルデガランにも感謝しています、とお伝えしてください!」


俺がそう言うと、竜は首を縦に振り、再び空へと羽ばたいていった。


さてと…。

今の俺は、この世界でいうと初心者の装備にすぎない。


《布の服》


以上。


まずは、装備品も集めなきゃいけないな…。


とりあえず、俺は街へと向かうべく、一本道を歩き始めた。


周りには森があるが、ちょうど開けた土地が続き、馬車やらが通った車輪の跡が続く。


んっ…?


今森の方で草が揺れたような…。


茂みの方を注意深く見ていると、やはり揺れている。まるで何かが近づいてきているようだ。


この世界では魔王がいるし、恐らく魔物も存在しているだろう。


どうしよう…。逃げるか?それとも…。


考えているうちに茂みから黒い影が飛び出してきた!


ポテン!


「うわっ!」


目の前に現れたのは1匹のスライム。

体は青い液体のようなものでできている。


RPGの世界では最弱モンスターとしてよく知られる。


なんだ、スライムなら安心だな。


そういえば竜とは言葉が通じたけど、スライムとは言葉が通じるのかな。通じるなら、いろいろと話を聞きたい。


「こんにち…っわ!!」


いきなり襲いかかってきたスライムは、俺を目がけて体当たりをかましてきた。


胸に直撃を受けた俺は、後ろへと飛ばされる。


かなり痛い。胸の辺りを思いっきり張り手されたような感覚だ。これはまずい!最弱だと侮っていたら、転生初日にゲームオーバーだ…!!


「こいつは、言葉が通じないか。竜には知性があり、言葉が通じたということなのか…。これはやるしかないか!」


再び距離をとり、体当たりの姿勢に入るスライム。


見た目はプニプニしていて可愛らしいのに、なんて凶暴なんだ。


俺はすぐに作戦を思いついた。

スライムの行動パターンはいろいろなゲームで見たことがある。丸い体での攻撃手段は…体当たりのみ!それも直線的な軌道しか描かない。それならば…。


「かかってこい!」


俺は少し場所を移動して、スライムを待ち構える。


スライムはプニプニ動きながり間合いを確認し…。

次の瞬間、


デュンッ!!!


スライムが体当たりをしてきた。それと同時に俺はスライムをかわす。


かわした先には森の木がある。

スライムは避けることができず、そのままの勢いで木に激突した。


木にぶつかり、落ちるスライム。


少しダメージを受けて、すぐには動けないようだ。


勝負ありだな。この手の作戦を使うときは、自分に十分な装備がないときに行うのが吉だといえよう。相手のパワーを利用し、ダメージを与える。これが一番理にかなっている。


よしっ、今の内に…!


俺は近くにあった尖った骨を拾い、そのまま動けなくなっているスライムの体に突き刺した。


「どうだ!?」


すると、スライムは一瞬体が硬直した。

数秒後には体は溶けていき、辺りには青い水溜りができた。


んっ!倒すとスライムは水になるのか…!


青いスライムだったから青い水なのかな。さっきまで攻撃してきたスライムが、今は水溜りになっているのが不思議だ。


俺はその場にしゃがみこんだ。


そして、そっとその水に手を触れた。



するとっ、次の瞬間。



➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

スキル:《トランス》条件成立。

個体種:《ブルースライム》を手に入れました。


スキル:《テイクチャージ》発動。

個体種:《ブルースライム》のステータスの一部を吸収しました。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖



頭の中に伝わる情報。


これはっ…俺はもしかしてスキルを発動したのか!?


それにしても、スライムを倒したことで2つとも発動したな。これは一体…!


すると、手で触れたスライムの体が光って消えた。


次の瞬間、手に持っていた骨も光って消える。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

スキル:《トランス》の条件成立。

個体種:《ナイトウルフ》を手に入れました。


スキル:《テイクチャージ》発動。

個体種:《ナイトウルフ》のステータスの一部を吸収しました。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖



これは一体…!



➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

スキル:《トランス》で手に入れた個体種は現在2体です。《トランス》を発動しますか?発動条件は《トランス》と詠唱後、手に入れた個体種の名を宣言します。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


トランス…えっ、もしかして変身…??そんなことが可能なのか!!?


なんかよくわからないが、是非使ってみよう!


「トランス!!」


俺の体が光に包まれる。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

個体種:《ブルースライム》《ナイトウルフ》のどちらを選択しますか?

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


「じゃあ…ナイトウルフで!!」


俺の体はさらに光に包まれる。



➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

トランス完了。

個体種:《ナイトウルフ》

熟練度:0

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


俺の体は漆黒の毛に覆われていた。

体長は約2メートル。

4本足であり、それぞれには鋭い爪がついている。

先ほどのスライムであれば、この爪で瞬殺できてしまいそうだ…。

そして、何よりもこの大きな牙。

二本の強靭な牙が、どんな硬い体であっても貫いてしまいそうだ。


これは…、やはりそうゆうことなのか!!


俺のユニークスキルは、生命が尽きた生物(死骸?)に触れることで、その生物を取り込んで変身する、つまり《トランス》できるというものなのなのか!


これは、魔物だけが対象なのだろうか?


もしかしたら、人間も…??


今は深く考えたくない。とりあえず、さっきの情報を確認すると、ナイトウルフは熟練度が0と書いてあったな。これは、恐らくナイトウルフにトランスしたことが一度もなかったからであろう。熟練度を上げていくと、何かいいことはあるのだろうか…?


それに、もう1つのスキル:《テイクチャージ》というのも気になる。発動したときに、「ステータスの一部を吸収しました」とあったことから、恐らくトランスした相手のステータスの一部を自分のものにできるスキル…。


これって…、まさか…チートなのでは!!?


だって、戦わなくても死んだものに触れるだけでステータスが上がるんだよ?


しかも、その生物にトランスすることもできる!!


俺は自分自身のスキルの凄さに驚いた。

これは、凄い。

こらならば、もしかしたら冒険者としてやっていけるかもしれない。

この世界にギルドというものがあるならば、それに所属するのもありだろう。


「進むべき道は決まった」


俺は街へと再び足を向けた。


そして、全力で走る!!


ナイトウルフは、元々足が速いらしい。風を切るように走ることができる!時速何キロだこれ?前世で時速100キロを車で走っていたときよりも速い気がする。


一本道をどんどん進んでいくと、街が見えてきた。


しかし、その途中に武装した集団が…!!


「…!!前方より魔物が接近!!!個体種は…なっ…ナイトウルフ!!!?」


10人ほどの兵士と見られる者たちが驚き、混乱している様子が見てとれる。


先頭のリーダー格の男が、いち早く冷静さを取り戻し、他の兵士たちに指示を出す。


「総員、戦闘態勢!!目標はナイトウルフ!至急、街の冒険者たちにも伝えろ!!非常事態だ!俺たちは街を守るためにも、時間を稼いで耐えるんだ!!」


兵士たちが散開し、後ろにいた1人の兵士が街へと走っていく。


俺は今すぐに誤解を解かなければならないと思い、足を止めた。


まずは挨拶だ。元気よく…。


「グルアァァァァ!!!」


えっ…!?

何でこんな猛々しい雄叫びをあげてるの、おれ。


まさかこの魔物の姿になったらしゃべれないのか!!


俺の雄叫びに腰を抜かす兵士たち。


「総員、心を強くもて!街の人々のことを思う気持ちを忘れるな!!」


リーダー格の男は、周りの兵士を鼓舞する。


さて…、これはどうしたものか。

トランスってどうやったら解けるの…!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ