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年境の行事と発生 キャロル17歳

 凛とした冬の青空が、騒めきを吸い込んでいく。

 普段は陳情者しかいない広場は、服装のどこかに白を身につけた民で溢れている。マールブランシェ王国では、白は光の女神への敬意と王への敬愛を示す。

 

 城壁の待機場所から、私と同じ様に国政管理室の人達が広場を覗き込む。


「去年の年境より人が多いね!」


 変わらない昨日から特別な今日へ。この国の一年が昨日終わって、今日新しい一年が始まった。新しい最初の日を、民と王家が祝うのが年境の行事だ。

 

「ヴァイツが出てきた時は流石に焦ったけど、結果は大収穫になって良かったよ! ねぇ、僕ら天才じゃない? あっ、室長とギスランの手柄?」 


「いやいや。手柄は皆のものでしょ! これは国政管理室のお手柄ね!」


「だよねー」


 国政管理室の人たちがいつも以上に饒舌なのは、年境を祝う特別な日という高揚感だけじゃない。

 マールブランシェ王国とヴァイツ王国は、三日前に国境の街で不可侵条約の調印を終えた。ヴァイツとの人と人の争いの可能性が消えたのは勿論、好戦的な隣国との不可侵条約は歴史に残る価値がある。


「開戦したら、やはり厳しかったですか?」


 笑いながら聞いた意地悪な質問に、隣で見下ろしていた新人君が鷹揚な笑みを浮かべて答える。


「僕たちがいるこの国が、負ける事は絶対にないからね! でも、ヴァイツは乱暴で執拗だから、無傷では済まなかったとは思うけど」


 言葉を掻き消すように、中堅さんが私と新人君の間に割り込んでくる。


「無傷では済まない可能性が、無傷で終わったなら問題なし! 結果こそが、僕らの仕事の価値! 今日を前祝にして、全てが終わったら大宴会をしようね!」


 私と新人君の肩を抱いて、中堅さんが大きな声で笑う。ここが終わりじゃないと分かっていても、今日が特別な日だから皆浮かれていた。

 一緒に笑いながら見下ろした広場に、家族連れの姿を見つける。ここにはいない父上を思う。


「父上とギスランさんが間に合わなかったのは、やっぱり残念です……」


 ヴァイツでの厳しい状況を乗り切った父上とギスランは、宴や事後処理は副室長達に任せた。調印後すぐに帰路に着いたらしいが、今日の行事に二人の姿はない。


「ごめんね。あの二人でも、片道七日を三日には短縮できなかったみたいだね」


「今、どのあたりでしょうか?」


 伝達魔法は、相手の身を危険にさらす事もある。今回は帰るまで連絡を控えるように言われていた。伝達魔法を呼び出して消すを何度も繰り返して、一言も連絡をくれない事に腹が立つぐらい父上が心配だった。


 王都に近いセリルの街か? 中間の街であるグレッセルか?

 疲れてないか? 痩せてないか? 怪我なんてしてないか? 寂しがってないか?  

 西の空に思いを馳せる私の肩を、中堅さんが励ますように叩く。


「……絶対帰ってくるから、心配しない! さぁ、ノエル君。お手伝いを頼もうかな? 戦前準備部隊と殿下の所に定期確認に行ってもらおう! 新人君は式典院と広場警備。僕は他の所を回るからね」


「はい! 行ってきます!」


 背を伸ばして、元気に返事を返す。

 行事を取り仕切るのは式典院で、警備は騎士団が行う。国政管理室の唯一の仕事は、非常事態に備えて見守る事だ。少ない仕事に人員不足はない。私を手伝いに呼んだ本当の理由は、心配を紛らわせる為の優しさだ。



 張り切って城内に降りると、明るい声が私を呼ぶ。城壁に移動するラヴェル伯爵の楽団の中に、笑顔で手を振るドニを見つける。


「ノエル! 楽しみだね!」


「はい! 凄く楽しみです!」


「僕も歌うからね。ちゃんと見ててねー!」


 宮廷楽団は、調印式の宴の為にワンデリアに同行してしまっていた。今回の演奏には、ラヴェル伯爵が名乗りをあげた。

 ドニの天使の歌声と、世界でも有名なラヴェル伯爵の楽団。今日、年境の行事に立ち会う人は、本当に幸せだと思う。


「勿論です! ドニの歌も、凄く楽しみにしてます!」


「うん。ユーグも最後の花火は、殿下の為に新作を上げるって!張り切ってたよ」


「それも、凄く凄く楽しみにしてます!」


 笑い返して、大きく手を振りながらドニと分かれる。

 ユーグの花火に、ドニの歌。年境の日は誰にとっても特別な日だけど、私たちにとって掛け替えの無い特別だった。

 アレックス王子が王の代理として、城壁の上に立つ。たった一日の王の姿が、最初で最後と理解していた。



 騎士棟を抜け、研究棟の中庭に向かう。戦前準備部隊の王宮倉庫は、騎士棟とは関係ない場所にある。


「舞踏会の時も思ったのですが、なんで中途半端な場所に倉庫を作ったんでしょう?」


 私の質問に、元部隊にいたジルが困ったように笑う。


「場所がなかったそうです。後方の後方、更に後方の部隊ですからね。優先順位が低くて、空いた場所になったと聞いています」


 戦いに備えて平時に品物を管理するのが、戦前準備部隊の仕事とモーリスおじい様は言っていた。前世の「備えあれば憂いなし」という言葉を体現していると私は理解している。


 でも、周りはそう思っていない。

 戦前準備部隊の人たちの、騎士としての評価は低い。戦いが始まっても、他の騎士のように戦場に立つ事はない。本物の後方支援部隊の影で、倉庫で資材の数を数えたり、買い付けに走ったり、目立たない。

 だから、いてもいなくてもいい、役立たずの倉庫番と陰口をたたく人がたくさんいる。


「失礼いたします」


 ジルがそう言って、私の頬を指で軽く叩く。膨れた頬が押されると、音を立てて唇から空気が抜けた。その様子にジルが小さく噴き出す。


「酷いです!」


「頬を膨らませたのは、戦前準備部隊の悪い噂を思って下さったからですね。 大丈夫です。気にしている者は一人もおりません。皆、仕事の本質を理解して、誇りを持っております」


 オリーブ色の瞳を穏やかに緩ませて、ジルが研究棟の中庭に繋がる戸を開ける。私の視界に飛び込んできたのは、芝の上に敷物を広げてのんびり寛ぐ人たちの姿だった。

 呆気にとられる私を、モーリスおじい様の長男で隊長のマクシム伯父様が見つける。


「ノエル! よく来たね」


「マクシム伯父様……ここは、なんの作業中ですか?」


 戦前準備隊の人達はジルと同じで、騎士にしては細身の人が多い。冬の柔らかな日差しの中で、緩い姿で過ごす彼らは、ピクニックをしているようにしか見えない。

 疑う様に質問をすれば、マクシム叔父様が肩を竦めて笑う。


「我々は後片付けを仰せつかっているんだよ。今は活動前だから、各自で英気を養うのがお仕事かな?」


 一度、二度と首を捻って考える。間違っていないけど、腑に落ちない。

 陰口に憤った私が間違っていて、陰口が本当であったならあまりに残念だ。情けない表情のまま、マクシム伯父様を見上げる。


「国政管理室の定期確認なんです。何か気になる事はありますか?」


「見ての通り平和だよ」


 おじい様そっくりの笑顔で返された途端、体の中からもやもやが消える。

 おじい様は王都を仕事で離れる事も多く、いつも忙しく頑張っていた。仕事に誇りも持っていた。

 今は緩い彼らも、本気で仕事をする時はちゃんとしているのだろう。

  

 平和そうな光景の中で、何人かが楽し気にジルを見つめているのに気づく。ジルの袖をそっと引いて、声を潜める。


「ジル。例のお友達はどれですか?」


「ノエル様。また、頬が膨れておりますよ」


「もう、押さないで下さいね。ジルを巻き込んだ張本人を知っときたいのです。いつか、お礼をしなくてはいけません」


 私の言葉にジルが苦笑いを浮かべて、一人の男性を指す。一番寛いでいるその人物は、だらしない無精髭に頼りない風貌をしていた。


「うん。ジルの方が女性に好まれるのには、納得しました」


「適材適所でございましょう? ご理解くださいませ」


 私の視線に無精髭の人が、人懐っこい笑顔で手を振る。真似するように他の人も手を振るので、つられて振り返す。一段と笑みを深めた無精髭が、今度は両手で手招きながら誘う。


「可愛い主ちゃん、ジルと一緒に休憩していきません?」


 その言葉に他の人たちも、「おいで、おいで」と私たちを手招く。礼儀を失すると受け取る人もいる言動を、不思議と不快に思わなかった。その理由に気づいて、思わず手を叩く。


「ピロイエ伯爵家の親族が集まった時の空気に似てます。アングラード侯爵家みたいに足を引っ張ったり、張り合ったりしてない。気心が許せて、甘えられて、身内だからっていう安心感がある感じです」


「あぁ。ここは、面倒なぐらい隣と隣の距離が近いですね。下級貴族や庶民出が多くて、モーリス様が用意してくださった部屋で共同生活を営むせいでしょう」


「ジルも共同生活をしましたか?」


 私の言葉にジルが頷く。

 ここは他とは違うと、おじい様もジルも言った。型どおりじゃないけれど、上下が無くて穏やかで優しい空気は家族や身内に近いと思う。旅芸人の一座の空気もこんな感じなのだろうか? 


 全てを失って壊れそうだったジルを、この場所が救ってくれた事を思い出す。

 

「ジル、ゆっくりしても良いですよ?」


「いいえ。ノエル様のお側の方が、大事なんです」


 ジルの言葉に、残念そうに無精髭の男が口を尖らせる。いい年した大人の男の拗ねた表情に、思わず笑みが零れる。


「主ちゃんが一緒なら、大丈夫なんだよね? ねぇ、可愛い主ちゃん。ジルの最低な昔話を教えちゃう。ジルが小うるさい時の切り札になる。だから、おいでよ」


「カイ、うるさい! 余計な事を、ノエル様には言うな」


 ジルが酷く慌てて、カイと呼ばれた男を窘める。普段と違うジルの口調に胸が躍る。


「ジル! お友達が寂しがってます。どうしましょう? 私、切り札が欲しいです!」


 いつもと違うジルが、もっと見たくて煽ってみる。見た事ない嫌そうな表情をジルが浮かべた。少し悪いなと思うのに、知らない姿にまた心が躍る。


「ジル、どうです? ほら、――」


「ノエル様、ほんの一瞬だけお待ちくださいね」


 綺麗な笑顔を浮かべ直したジルが、私の煽りを遮る。ジルが近づいて行くと、カイが腕を広げて歓迎する。抱きしめるより先に、素早くカイの耳が抓り上げられた。


「いたっ! ちょっ、ジル! 恩のある先輩になんてことすんの!」


「『あんた』の存在は、恩以上に迷惑ばかりです! 余計な事しないで、仕事したらどうです?」


「だから、今は何もないし!」


「あぁ……そうですね。相変わらず、『うち』はこんな時は暇なんですね!」


 見た事のないジルは、『あんた』『うち』という言葉を使う。少し乱暴にカイを相手にする口調は、怒っているのに楽し気で、表情はよく親しんだ友達の空気を纏っていた。

 他の隊員とマクシム伯父様も、慣れたようにじゃれ合う光景に野次を飛ばす。

 

 ジルは『家族』は私だけと言う。でも、ここを『うち』と呼ぶ。

 

「お待たせしました。参りましょうね、ノエル様」


 従者服を『うち』の仲間達に引かれるのを振り払って、苦笑いを浮かべながらジルが私の隣に戻る。真似をして、私もジルの従者服を少しだけ引いてみる。

 

「ジルのここでの昔話は、いつか聞かせてくれますか?」


 揶揄うように尋ねれば、息を吐いてジルが笑う。それだけで、ここでの昔話が楽しい思い出なのだと分かった。


「絶対にお話する予定はございません」


 ジルの言葉に、カイたちが噴き出す。その笑い声は、中庭を後にするまで背中で聞こえ続けた。



 最後は、殿下達がいる中央棟の控室に向かう。

 正式な護衛騎士ではないものの、クロードとディエリはギデオン達と共に殿下の側に仕えている。今日もそばにいる筈だ。行事に王族として参加するカミュ様もきっといるだろう。

 楽団のドニ、花火を用意するユーグ。皆が一つの場所に集まるのは、とても久ぶりだった。


 一つ手前の廊下で、しわがれた声が一瞬だけ耳に届く。廊下を曲がると、控室の扉の前でベッケル宰相が伝達魔法を送り出した所だった。私に気づくと、柔和な顔の皺を深めて笑って見せる。


「今日の君は、アングラード侯爵代行と呼ぶべきかな? 国政管理室の手伝いは、どうだね?」


 立礼して笑顔を返す。陛下も父上もいない城の中では、ベッケル宰相が実務の最高責任者になる。

 老宰相はマナーや礼儀を良く知っていて、国王の教育係を一時は勤めていた。国政管理室の人達も、ミスが少ない手堅い人物と評価している。


「手伝いの許可を頂き、有難うございました。国政管理室の方達から、多くの事を学ばせて頂いております」


 教えなくて良い事まで、教えてくれる事は隠しておく。私の言葉に笑顔のまま、老宰相が満足気に頷く。


「レオナール殿は歴史的な傑物で、息子も逸材と評判だ。それは、人から見て特別な事なんだよ。よく頑張りなさい」

 

「はい。頂いた評価に恥じぬよう、頑張ります。今、国政管理室の定期確認に回っております。ベッケル宰相も、何かお気づきの事はございますか?」


「うむ、万事つつがなし。何もかもが上手くいっているよ。今日は素晴らしい日なるだろう」


 老宰相が常に絶やす事のない笑顔のまま答えた。

 深い皺を刻んだ笑顔には、大きく笑った時のモーリスおじい様が重なる。誰かを優しい気持ちにさせる笑顔こそ、ベッケル宰相の最大の武器で才能だ私は思う。


 ベッケル宰相が、促すように控室のドアを開けてくれる。


 一つ瞬いて、時間を奪われる。一つ瞬いて、呼吸を忘れる。一つ瞬いて、心の奥底まで奪われる。

 更に瞬きを重ね続ければ、奥底の知らない場所まで奪われていく感覚がする。


 純白の優雅な正装に、豊かで美しい毛皮のマント。そして紺碧の宝石が輝く金の王冠。

 正装に身を包んだアレックス王子は、堂々とした王の風格を纏う。垣間見せる若さすら、未来への期待という魅力に見えた。


「ノエル」


 私の名を呼んで、アレックス王子が手招く。

 唇が私の名を呼ぶのを認めた瞬間に、奪われた場所に何かが溢れる。全部を奪って、愛を詰める。目の前の人はとても狡い。


「お似合いです……」


 唇から零れた声は、緊張して掠れてしまった。

 呼ぶ指先に操られる様に、アレックス王子の前に跪く。夢を見るように見上げた私に、慈しむような笑顔が落ちて、手が差し出された。


 臣下の為に差し出された指先に、忠誠のキスを落とす。


 何度も夢見ていた未来の欠片が、たった一日だけ実現する。幸福なのに、叶わぬ悲しみが混じる。耳の奥に壊れそうな心臓の音が響いていた。


 祝福するように叩かれた手の音に、弾かれて我に返る。音の方を確認すれば、美しい二人の女性が立っていた。

 一人は金の髪に紺碧の瞳で、たおやかな微笑みに見覚えがある。もう一人は溶けそうな水色の髪に強い新緑の瞳の絶世の美女で、こちらの揶揄うような笑みにも大変見覚えがあった。

 二人の夫人が誰であるかを予測して、自分の失敗に舌打ちしたい気分になる。

 

「ふふっ。私たちに挨拶のキスをするより、アレックスに臣下のキスをする方が大事なのね。可愛い忠臣だわ」


「アレックスも随分嬉しそうねぇ。私が褒めた時は、頷いただけなのに。愛らしい臣下の方が大事なのかしらね。そう言えば、こんなに可愛いのにモーリスのお孫さんなのよね?」


「あら、全然似てない。社交界一の美女だったソレーヌに似たのね。おじい様の要素が混じらなくて良かったわ」


 どんどん進む会話に口を挟む隙はない。完全に行動の行き場を失う。アレックス王子を見上げると酷く楽しそうに私を見つめる。何が楽しいのか問いかけたかったが、今は火に油を注ぎそうなので止める。


 次に、カミュ様、クロード、ディエリに助けを求める眼差しを向ける。失敗した私に、クロードは困ったような笑顔を、ディエリは嘲るような笑みを返した。


「母上、叔母様。ノエルを揶揄わないで下さい。彼とクロードはアレックスに忠誠を誓っております。自分の主を一番に考える事に、何の問題があるのでしょうか?」


 助けの手を差し伸べてくれたのは、カミュ様だった。二人の女性と私の間に立って、とりなしの言葉を発してくれる。


「あら、アレックスに忠誠を捧げたの? 素敵ね。でも、忠誠より愛の方が私は好きよ」


「私も、そう思うわ。やっぱり愛の方が楽しいと思うの」


 夫人達が愛と忠誠の違いを説明しだすと、呆れたようにカミュ様溜息をつく。それから、私を紹介しなおす為に手招く。この機を逃すわけにはいかないので、慌てて駆け寄って跪く。


「ノエル。アレックスの母で王妃のブリジット様と、ラ・ファイエット大公夫人で私の母アニエスです」


 やはり、金の髪と紺碧の瞳の王家の特徴を備えた女性がカミュ様の母上。水色の髪の絶世の美女がアレックス王子の母上だった。


「ご挨拶が遅れて、大変申し訳ございませんでした。ノエル・アングラードです。お美しいお二方にお目にかかれて、望外の喜びを感じております」


 差し出された手に順番に口づけを落とす。改めて行った挨拶に失敗はない。

 だが、二人の夫人は私の失敗が心から離れないらしい。仲良く小声で何かを言い合っては、私とアレックス王子を見て小さな笑い声を零し続ける。


「ねぇ、ブリジット。この子とカミュ、どちらが可愛い? 男の子なのが勿体ないと思わない」


「ええ。レースやリボンが良く似合いそう。今度、可愛いドレスを着せて上げましょう。ねぇ、アレックス借りてもいい?」


 流石にそれは困ると、アレックス王子が頬を引き攣らせて首を振る。私も勿論、全力で首を振って拒否の姿勢を見せた。つまらなそうに、二人の女性が口を尖らせる。


「残念ね。まぁ、いいわ」


「今度、きちんとお会いしましょうね」


 二人の嵐のような美女は、よからぬ相談に花を咲かせながら部屋を後にする。美しい後ろ姿が完全に見えなくなると、緊張した体から力が抜けた。よろよろと立ち上がりながら、安堵の息を漏らす。


「お、驚きました……久しぶりに大失敗です」


「久しぶりは、関係あるまい。貴様は阿保か? 初対面の王妃を見落とすなんて、何を考えていたんだ!」


 ディエリの叱責に返す言葉もない。今日だけは、少しだけ首を傾げて謝意を示す。


「皆しかいないと思ってたんです。目を奪われる程、殿下もお似合いだったんで……」


 私の言葉にディエリが顔を引き攣らせて、クロードとカミュ様が微笑まし気に小さく笑う。

 アレックス王子は、少し頬を染めて満足気に頷いてくれる。


「でも、アレックス王子は私が困っている時に、助けてくれませんでした。酷いです」


 見つめると心をまた奪われそうで、視線を外して先程の対応に少し唇を尖らせる。

 

「困る君が久しぶりで、つい眺めてしまった」


 思い出したようにアレックス王子が笑いながら、私の頭を一撫でする。


「確かに。貴様の青い顔は、面白い見世物で良かったぞ」


「あぁ、俺も久しぶりに見たな」


「私もです。ノエルでもあんな顔するんですね」


 ディエリの嫌味に、カミュ様もクロードも少し揶揄うように追従して笑う。


「珍しい君が悪い」


 甘くて優しい声で言い切ると、アレックス王子が私の頬を掴んで、ゆっくり顔を自分の方に向けさせる。熱のある眼差しに微笑まれて、本当に悪いのは私を乱すアレックス王子だと思う。


 堕ちそうな心を、一度瞼を強く閉じて留める。ここに来た理由を忘れてはいけない。


「こ、きゅしぇいきゃん理室の定期確認に来たんです! 何か変わりはありませんか?」


 三度頬をぷにぷにと押された後、言葉の途中で解放してもらえた。私の問いかけにクロードが答える。


「殿下の周囲に、問題はない。我々は支度などで、ここから動いていない。こちらからも確認したい。国政管理室の方には何か入っているか?」


「いいえ。準備は順調です。不審な話はありません」


 教育を担当しているギデオンが、後ろで私たちのやり取りに満足するように頷くのが見えた。今日のディエリとクロードは、護衛騎士の制服に身を包んでいた。


 二人が騎士専科の生徒として、学園の戻る事はもうないだろう。私も、学園には戻らない予定だ。ユーグも、きっと戻らない。カミュ様もドニも、戻る必要はないと思う。

 

 私達は、ずっと先の流れの中にいる。

 

 ドアをノックする音が響いて、式典院の文官が顔を出した。


「お時間です。城壁にて民の声にお応えください」


 皆に声をかけて、背を翻そうとしたアレックス王子の王冠に手を伸ばす。


「待ってください。王冠が少しだけ……」


 咄嗟に手を伸ばしてから、これも不敬だった事に気付く。今日の私はミスばかりだ。

 アレックス王子が、皆に支度をするように手を振って遠ざける。


「ノエル、直す事を許す」


 その言葉に従って、位置を少しだけ直す。私にミスをさせる人の顔を覗き込むと、深い色の眼差しが揺れる。

 誰にも聞こえない声が、私に囁く。


「見ていてくれ」


「はい。ちゃんとお姿を見ています」


 王冠を直す私の指先に、アレックス王子の熱い指先が僅かに重なる。

 「すまない」と眼差しが告げるから、「愛しています」と微笑み返す。

 最初の夢は『アレックス国王』だった。でも、未来に生きて隣に立てるなら『アレックス』でいいと思う。『貴方』なら、何であっても私を幸せにする。



 全体が見渡せる国政管理室の待機場所に戻ると、澄んだ青空に発砲音だけの花火が上がった。それを合図に、ラヴェル伯爵の楽団が美しい音楽を奏で始める。

 宮廷楽団の腕前も素晴らしいけれど、ラヴェル伯爵の楽団の腕はそれ以上だ。音楽の美しさに民の喧騒が小さくなる。


 雲一つない空に、澄んだ冬の空気、温かい冬の陽だまり。天上のものを思わせる美しい音が溢れた舞台に王家の人達が姿を見せ始める。小さくなった歓声が再び大きくなる。


 最初に現れたのは、前陛下の弟君とその子息が二人。それから、アニエス様とカミュ様。皆、継承権を持つ資格がある大公の名を許された血筋の方達だ。


「傍流の大公家でも、アニエス様は王家の特徴が濃いから人気だね」


 今日はお菓子の代わりに蜜玉を口の中で転がしながら、私の後ろで国政管理室の中堅さんとベテランさんが話し出す。

 城壁の上からでも、王家を象徴する容姿をもつアニエス様と珍しい容姿のカミュ様に、民の視線が集中しているのが分かる。


「カミュ様は、民は知らないけど王家で崇められる預言者の特徴を持つ。陛下と殿下は、資質の高さを示す王冠の魔力印を持つ。前国王から繋がるべき道は明確なのにねぇ」


 一位継承権をアレックス王子、三位継承権をカミュ様が持つ。前国王の秘宝を引き継いだ二位継承権を持つ人物は発表されていない。二人の言葉から、前国王の弟君の血筋で公になる前の子なのだろう。


 美貌の王妃が姿を見せると、歓声に感嘆のため息が混ざる。

 最後に王冠を戴いたアレックス王子が姿を見せた。颯爽と城壁を歩む若い王の姿に、広場が静寂に包まれる。窺う民の眼差しに、アレックス王子が大きく手を挙げて微笑む。

 次の瞬間、空気を揺らす今日一番大きな歓声が湧き上がった。


 私の頭の上で中堅さんが、蜜玉を噛み砕く音がした。

 

「人を熱狂させる容姿と、物怖じしない態度。これも天性の一つだね」


「惜しいな。王家に同量の魔力持ちがいないのが、本気で悔やまれる」


 中堅さんとベテランさんのぼやきに、私の隣にいた新人君が混ざっていく。


「魔力量による書き換え以前の問題だと思いますよ。王位の放棄と、魔物の王と対峙。最悪の条件を引き受けたい者なんて――」


 言い切るより前に、新人君の頭を中堅さんが思いっきり叩いた。叩かれた意味に気づいた新人君は、すぐに私に向かって頭を下げる。


「ノエル君! ごめん! 配慮不足だけど、今の発言は殿下が凄いって意味だから! ね? 悪意はないからね?」


 申し訳なさそうに何度も謝る新人君に、笑って頷く。今は謝罪より気になる事があった。


「秘宝の持ち主を変える事は可能なんですか?」


 秘宝には生まれた時に零れ出た魔力が含まれると、アレックス王子は昔言っていた。だから、生まれた時にしか持ち主は選べないと思い込んでいた。

 ベテランさんが少し考えてから、普段は中々見る事のない真剣な表情で答える。


「王家には、血塗れの歴史もある。遠い傍流の子が正当な継承者を暗殺して、秘宝を奪い王になった例も当然あった。過去に簒奪が成功した条件は、僅かでも王家の血を引く事。別の秘宝の持ち主でない事。満たした上で、元の持ち主と同等以上の魔力がある事。条件を満たせば、奪い返して再継承も可能だ」


「なら、アレックス殿下にも道はありますか?」


 答えを避けるように皆が広場に視線を移す。

 そこでは、アレックス王子が誰よりも民の声援を受けていた。見つめながら、ベテランさんが再び口を開く。


「生まれた時の魔力は、確実に秘宝を染める。染め直しは、元の持ち主の魔力が高い程難しい。この国の王族は、神様が選んだみたいに継ぐべき直系が強い傾向にある。正当な持ち主の魔力を超えるのは稀だ」


 中堅さんがベテランさんの言葉を引き継ぐ。私を見降ろす眼差しは残念そうに曇って、期待に添えない答えである事を示す。


「文官である僕たちから見て、秘宝はとても理に適う決まりが定められている。一人の王が全てを手にする事はできず、流れを変えるなら血の順位を超える強さを求める。過去に成功した典型例は、直系で愚王が続き、神に見放されたように魔力も低くなった時代だ。傍流の妾腹の子が王冠の魔力印を得て、王位簒奪に成功した」


 きっと、国政管理室はアレックス王子を残す道を模索してくれたのだろう。

 アレックス王子は歴代の中でも魔力が高い。そして、王冠の魔力印も持っている。多分、魔力量が同等の王族すら存在しない。


「秘宝の持ち主が王になる決まりを――」


「ノエル君。やめなさい。根幹に手を伸ばすなら、覚悟が必要だ」


 私の言葉を厳しい声音でベテランさんが遮った。初めて見る厳しい顔に、口に出した言葉の甘さを知る。

 

「すみません。感情的になりました。決まりには、色々な事が絡むことを失念しました」


 私の肩を抱いてベテランさんが頭を撫でてくれる。中堅さんも重ねるように頭を撫でて、新人君が蜜玉を手に握らせてくれる。

 

「国王の改革で、貴族が二分したのを見たね? 前国王の弟君が動き始めれば、傍流を支持する波は簡単に作れる。君の望む改革を今行えば、秘宝持つ傍流と持たない直系で国は二分する。でも、この国が秘宝を持ち続ける限り、必ず秘宝の持ち主に軍配はあがってしまう」


 新人君がくれた蜜玉を口に含む。甘い味と優しさが、答えを急いだ私を癒す。


「ごめんね。私が不用意な発言をしたせいだね。ノエル君、私は君に約束するよ。一番下っ端だけど、国政管理室で最後の一人になっても殿下を諦めない。代わりを見つけるように頑張るから」


 肩を落として謝る新人君の言葉に首を振る。

 

「アレックス殿下は、最悪の条件を誰かに押し付ける事は選ばない思います。真っ直ぐな殿下にとって、自分以外の全部が守るべきものなんです」


 私の声に皆が静かになって、アレックス王子の姿を見つめる。

 アレックス王子の日差しを独占するような笑顔に、誰もが次代の夢を見ていた。


 次代を担う王に、アレックス王子以上の人はいない。そして、最悪の状況で秘宝を使う道を選べる人もアレックス王子以外にはいない。

 叶わぬ夢に、もう一度「惜しい」と誰かが呟いて皆が頷く。こんなに静かな国政管理室は初めてだった。


 城門の端に控えたベッケル宰相の元に、騎士が駆け寄るのが見えた。慌てたように言葉を交わし合った後、ベッケル宰相が静かな足取りでアレックス王子に近寄る。


「何か起きたのか?」


 予定にない動きに国政管理室が身を乗り出す。同時に黄色の美しい鳥が、頭上から駆け下りてきた。ベテランさんが手を差し出すと、副室長の声が事態の急変を告げる。


「ワンデリアにて大規模崩落発生だ。現在、陛下が第一騎士団を率いて、最初の襲撃に備えている。王都も速やかに対応に移れ」


 黄色い鳥が消えたと同時に、広場がこれまでとは違う騒めきに包まれる。

 何かから逃げるように、一部の人が出入り口に駆けだすのが見えた。その騒めきの中に「大崩落」「魔物」という声が混じるのが、辛うじて聞き取れる。


「大崩落が漏れたのか?」


「伝令からか? 何やってるんだ! この状態で民が混乱したら危険だぞ!」


 広場は出入りが自由だが、警備の為に出入口は大きくない。騒めきの大きさに比例して、徐々に対応を超える人が出口に集まりはじめる。

 弾けるような音がして、昼間の空に大きな発砲音が響いた。一つ、二つ、三つ。音に煽られる様に悲鳴が上がる。


「このタイミングで花火なんて聞いていないぞ! くっそ、人が荒れはじめたぞ!」


 皆が伝達魔法を発動して、騎士団に人の波を抑えるように指示をする。でも、既に歓声は悲鳴に代わって、後戻りできない波が出来上がってしまっていた。対応するより先に悪い方へ転がっていく事態に、背中が粟立つ。


「まずい! 怪我人どころか下手すれば、死人が出る!」


 焦りの滲んだ声を聞いた視界の端で、アレックス王子が動いた。

 花火の音と眼下の事態に、演奏を止めていたラヴェル伯爵の元に駆け寄る。一言、二言の指示の後にラヴェル伯爵が楽団の指揮を始める。


 混乱した会場に、美しい音楽が再び奏でられ始めた。しかし、心を落ち着かせるような旋律も、混乱に陥り始めた民には届いていない。


「あぁ! 狙いは悪くないですが、誰も気付けていない!」


 新人君が悲鳴のような声を上げるのと同時に、美しい音楽に天使の歌声が重なった。


 事態を感じさせない穏やかな微笑みを浮かべて、ドニが光の女神を湛える歌を歌う。

 天使と評されるドニの歌声は、悲鳴の間を縫って混乱する民の耳にも届いてくれた。美しい歌声に一人、二人と口を噤んで、城壁を仰ぎ見る者が増えていく。


 喧騒と静寂が均衡した瞬間、アレックス王子が一歩前に進み出て、真っ直ぐな眼差しを民に向ける。ドニの美しい歌声に、よく透る凛とした声が重なった。


「案ずるな!! ワンデリアから王都までは七日だ! 今、怯える必要が何処にあるのだ! 賢明な王都の民よ、状況を見極めよ!」


 人波の中で、足を止めるものがでる。止まった者達に向かって、アレックス王子は差し出した腕を招くように動かした。

 手前の民がアレックス王子の言葉を求めて、出入り口と反対の城壁に向かって踏み出す。


 押し寄せていた人波が大きく緩むのを見て、国政管理室のベテランさんが声を上げる。


「各自、城内の騎士に伝達。民の状態が安定に向かい始めた。安全に誘導できるように、出来る限り人を投入させろ!」


 全員が伝達魔法を発動させて、各所に誘導の指示を出し始める。


 城壁の上で民と向き合ったアレックス王子が、自信を湛えた笑みを浮かべてマントを大きくはらう。

 大きな動きは人の目を引く。そして若くても洗練された王の空気は人の心を奪う。

 

「そうだ、案ずるな! 国王は状況を理解し、既に対応に出ている! 我々の準備は整っている! 王都は勿論、国中の民を守る事を王家は約束しよう!」


 出入口に押し寄せた波が完全に止まって、民の多くが引き込まれる様に王の代わりの王子を見あげていた。

 

 王の資質とは何なのか? 神の配剤があるのとしたら、この瞬間がそうなのだと思った。


 天使の歌声が、聖女を讃える歌から凱旋の歌に代わる。アレックス王子が、よく透る声で更に言葉を繋いでいく。

 

「既にヴァイツの憂いは取り払われた! 魔物の憂いも一掃されれば、この国の平穏は約束される! 目指すのは、魔物の王の封印ではない! 完全な討伐だ! この国にとって、これが最後の大崩落になる!!」


 護衛騎士、クロード、ディエリが剣を抜いて、出陣剣戟を響かせる。広場が一気に別の熱気に包まれた。殿下の名と陛下の名を交互に呼ぶ声が広がる。


 民の心を掌握した殿下が、笑みを深めて再び大きく手を上げる。指差すのは西の空だ。


「心優しき王都の民よ! 待つ我々に怯える必要などない! 遠きワンデリアで戦う者達に、勝利の祈りを!」


 空気を揺らす大歓声の後に、波が引くように祈りの為の静寂が広がる。広場は西の空に向けて祈る民の想いに溢れた。


 凱旋の歌から、希望を紡ぐ歌に変わる。ドニは歌に思いを乗せる。今、乗せているのは、「大丈夫だよ。怖がらないでいいからね」という声だった。

 

「鳥肌が立ったぞ。惜しいな」


「この才を手放す選択は、幸福か、不幸か」


「……今は、考えるな。民は騎士団に任せて、我々も仕事を始めよう」


 悔いを振り切る様に、国政管理室の人たちが一斉に動き出す。

 文官棟ではなく、中央棟を目指したベテランさんと中堅さんが私を手招く。


「ノエル君は僕らと一緒においで。これから謁見の間にいくよ。今から君はお手伝いじゃなくて、アングラード当主代行だ。頭切り替えてね」


 その言葉に頷いて、自分の頬を一度強く打つ。

 父上から連絡がない今、ワンデリアのアングラード領を守るのは当主代行である私だ。



火曜に更新します。

忙しかったんです。ごめんなさい……


< 小さな設定 >

戦前準備部隊は、地方の下級貴族と庶民出の人が多いです。

貧乏騎士なので、住居はピロイエ伯爵家が開放しています。

カイとジルは、同室で生活してました。

最初の頃、色々荒れていたジルを連れ戻すのはカイのお仕事でした。

落ち着いてくると、基本だらだらしたカイの面倒をジルが見るようになります。

ジルの中で、クレイは兄。カイは弟?みたいな位置づけです。カイはジルは弟だと言い張ってます。




<小話>


――コーエンのすれ違い 2 (カミュ)


 聖女が宿に入ったのを見届けて、国政管理室の文官の元に向う。


「カミュ様、何か御用ですか?」


 宿の外で伝達魔法を使っていた文官が、私を見て冷ややかな眼差しを向ける。これから私が何を言い出すのか、気づいているのだろう。


「コーエンに引き返したいと思います」


「……冗談はお止め下さい」


「本気です。ディアナの状態が良くありません」


 最初の移動は、出発前に体調を崩して決行されなかった。二度目である今回が、ディアナにとって初めての長距離の移動になる。

 精霊の子の魔力はとても繊細だ。不安と怯えがディアナの魔力を安定させない。国政管理室の予定よりもずっと早く回復薬が必要になり、状態もどんどん悪化してきている。

 冷ややかな表情を崩さずに、国政管理室の文官が口を開く。


「計算通りにいっていないのは分かっています。でも、想定した最悪の状況よりは、ややマシだと判断してます。我々なら引き返しません」


「最悪の状況に近い事を、良いとは思えません。今回は、ディアナにとっての練習と収めて下さい」


 国政管理室の文官は、嘲笑うように唇の端を上げる。


「練習というのは、余裕があってできるんです。次の事態に、いつ進むか分からない自覚はございますか?」


 ディアナが必要な事態が起こる時は誰も分からない。そして、それが遠くない状況は理解している。

 それでも目の前に苦しむ人がいて、最悪の状況に近いのであれば回避したいと思うのは誤りだろうか。

 

「ディアナの身に何かあれば、意味を失います。これは、大公命令に致します。引き返してください」


「……ご命令でしたら、仕方ありません。我々がどれ程、頭を悩ませても決定権はありませんからね。私は次を検討する為、このまま王都に戻ります。聖女様はお任せして宜しいですよね」


 その言葉に頷く。一礼して踵を返した文官が足を止めて、私を振り返る。


「一つ、申し上げましょう。私から見ると、貴方の選択は綺麗だけど甘い。傷つけない選択は、時に優しい振りをした逃げです」


 文官が厳しい眼差しを私に向ける。国の決断の最前線の彼の言葉はきっと正しい。引き返す事は現状を維持するだけだ。ディアナを一時的に救っても、永遠に救えるわけではない。すぐに三度目の移動に直面させる。


 突きつけられた一言が、胸に応えて拳を握る。逃げるなら、十年前から私は成長していない事になる。


「リード、クリス。話は聞こえておりましたね。私の判断で、聖女をコーエンに戻すことになりました。同行の騎士たちと、帰りの調整をして頂けますか?」


 私の言葉に、護衛騎士の二人が一礼して、リードが踵を返す。その背に一言、言い添える。


「同行した騎士達に、申し訳ないと伝えて下さい。私は昔からダメなんです。とても弱くて甘い」


 振り返って姿勢を正したリードと側に残ったクリスが私の言葉に優しく笑う。


「目の前の民を守るのが、騎士の本能です。国政管理室より、目の前の聖女様を救うカミュ様の対応の方が好きです。だから、私も甘い側です」


「リードと同じです。聖女様のご様子は、王都までお連れするには心苦し過ぎます。国政管理室は時々……いいや、年中容赦ない判断をしてきます。彼らの基準だと、彼ら以外の全員が甘いになりますよ」


 二人の言葉に握った拳が緩む。

 一礼して去るリードと、私に笑顔をむけるクリスに、心の中で感謝の言葉を呟く。

 彼らは、私を慕って励ましてくれている。私は傷つける事にも、傷つく事にも弱い。結果、逃げるような判断しか選べない時がある。



 翌朝には、国政管理室の文官はもういなかった。朝食の席で、ディアナに引き返すことを告げる。体調の悪化で色を失った顔には、安堵と困惑が交錯していた。

 

「引き返す事を勝手に決めてしまいました。申し訳ございません。貴方の決意を無にしてしまいましたね」


 私の言葉にディアナが驚いた様に目を瞬く。それから、慌てて頭をふる。


「いいえ。ありがとうございます。決意など立派なものは、私にはございません。お心遣いに感謝いたします」

 

 令嬢の礼を取って顔を上げたディアナの笑顔には、困惑の代わりに惜別があった。


 引き返し始めると、ディアナの魔力の状態は落ち着いた。酷い変動がなくなって、魔力酔いのような状態に陥る事もない。失うより回復する量が上回って、顔色も落ち着きを見せ始める。


 だから、行きの時の様に頻繁に様子を見る必要もなくなった。寂しいと思うと同時に、その事に安堵する。


 ディアナの側にいると『どちらを選ぶか』を突き付けられる。そして、答えは必ず誰かを傷つける。


「傷つくのも、傷つけられるのも怖い」


 馬車の中で一人呟いた瞬間、国政管理室の文官が言った言葉をまた思い出した。

 綺麗だけど甘い。傷つけない選択は、時に優しい振りをした逃げ。その言葉は、間違ってはいない。

 本当に狡いのは、傷つけない選択が、自分が傷つかない選択でもある事だろう。


 窓にうっすら映った自分を見つめる。黒い髪に黒い瞳。王家の廊下に飾られた、預言者であり聖女だったシーナとよく似ている。


 再来。周囲は私に預言者であることを望んだ。心のまま発した言葉は、預言の期待を負う。

   

 天気がいいと言えば、日照りの預言と顔を顰められた。

 日照りの土地に雨がふると良いと言えば、恵みの雨の期待を持たせた。

 病の人に元気になってと言えば、快癒の預言とぬか喜びさせた。

 怖い夢を見たと言えば、凶兆。良い夢を見たと言えば、吉兆。

 

 期待を裏切る大人の反応に幼い私は傷ついた。言葉の結末に失望される事には更に傷つけられた。

 でも、勝手に解釈された言葉は、知らない場所で誰かを傷つけていた。


 快癒の預言が成さなければ、騙されたと知らぬ者の家族が泣いた。

 恵みの雨の預言が成さなければ、不作の土地で誰かが空腹に苦しんで、恨み言を並べた。

 日照りの預言が成さなければ、対策に予算を失った村が他の災害に困窮し、糾弾の声を上げた。


 私が望んだわけではない。私はなにもしていない。ただ、思った言葉を口にしただけ。

 でも、傷つく事も傷つける事も、元凶は私自身の言葉。


 壊れそうになった幼い私が選べたのは、声を上げるのを止める事だった。

 言葉を止めてしまえば、誰も傷つかない。その選択を母上は許して、離隅に住まいを移してくれた。


「あれも、逃げなのでしょう」


 溜息を落とす。

 離隅で口を閉じる日々は、城で傷ついて傷つける日々よりずっと快適だった。外は変わらないままでも、そこでは小さな平穏を守る事が出来た。

 逃げて閉じこもった私を、外と繋ぎ続けてくれたのはアレックスだ。唯一である彼の枷にならない為に、光である彼の背を追って、私はもう一度外に出た。

 でも、アレックスを失うと思った時は、また逃げる選択を選んだ。閉じかけた扉を開けたのは、アレックスを失う理由で大嫌いだったノエルだ。

 アレックス以外のノエルが私を友と呼んだ。不快だったけれど、友という言葉はとてもくすぐったかった。友という言葉がゆっくりと私にアレックス以外の誰かの選択肢を芽生えさせる。


 転びそうな手を皆で取り合った花火の夜。引っ張り合うように駆けて笑い合うのは、心地よくて不思議な高揚感があった。あの頃には、もう友と呼べる者が私の側にたくさんできていた。


 傷ついて傷つける事を忘れた。友の為に必死になって守る事と癒す事を考えた。

 逃げて閉じこもる選択を間違いだったと思えた。きっと、アレックスなら向き合う。ノエルなら抗う。クロードなら、ドニなら、ユーグなら……今の私なら『―――――――』と思っていた筈だった。


「でも、私は成長しておりません。まだ、逃げていると言われる選択をしております」

 

 馬車の壁に頭を預ける。コーエンに急ぎ向かう馬車は急くような振動を返す。

 考える事につかれて微睡むと夢をみた。幼い私が不安そうな眼差しで、必死に扉の前で立ち塞がっていた。


 窓を叩く雨の音で目を覚ますと、空が光るのが見えた。眠気を覚ますように頭を軽く振る。

 コーエンの夏は、突然の嵐に見舞われる事が多々ある。雷の気配を見つめていると、聖女が使う尻尾の大きなセスという小さな動物が馬車に飛び込んできた。小さく額をなでると、セスが聖女の声を紡ぐ。


「あ、あの、お話をしたいんです。次の最後の休憩で馬車を移っても宜しですか?」


 理由に首を捻る。コーエン育ちのディアナだから、嵐の気配に怯えている訳ではないだろう。

 手首を一度、回して伝達魔法のハルシアを作り出す。承諾の返事をしようとして、口を開いて止める。

 ディアナと会う事と、断る事を天秤にかける。傷ついて、傷つけてしまわないか?


「畏まりました。雨も降っておりますので、私がそちらに伺わせて頂きます」


 悩んだ末に出した答えは、会うだった。


 従者が傘を差し出してくれていたのに、ディアナの馬車に移る間に服が雨に濡れる。あまり良い事ではないが、非礼を詫びてからジャケットを脱ぐ。


「礼を欠く服装で向き合ってしまい、申し訳ありません」


「いいえ。雨の中、ご足労頂き有難うございます」


 向かい合って、他愛のない挨拶を終える。言葉が続かない私たちの間を、馬車を叩く雨の音が支配する。

 そっと窺ったディアナの顔色は、抜けるように白いけれど艶が戻っていた。赤い髪に赤い瞳に赤い唇。とても美しいと思う。

 私の視線を感じたように、ディアナが顔を上げる。眼差しが交わると、胸が締め付けられる。


「カミュ様は、また王都に帰ってしまいますか?」


 その言葉に、少し首を傾げてから頷く。

 残るか、帰るか、決めるのは国政管理室だろう。帰りの会話を思い出すと、呼び戻される可能性の方が高い気がする。


「戻る事になると思います。私は、何もできません。貴方とアレックスの橋渡しも、これ以上は二人の距離を縮める邪魔になる。それでは、困るのです」


 俯いたディアナが、膝の上で拳を握りしめる。上げた声は震えていた。


「王都に戻られる前に、殿下を愛して欲しいとおっしゃいました。覚えておりますか?」


 ルナが消えた後、私は聖女を探した。誰かを愛しているアレックスには、辛い役目だから少しでも代わってやりたいと思った。それが最初の過ち。

 ユーグと一緒にコーエンで見つけた精霊の子がディアナだ。


 酷く臆病なディアナ。それが精霊の子だから外の世界に怯えている所為なのは、すぐに分かった。精霊の子の存在を憐れと前から思っていて、何とかしてあげたいと思ってしまった。二つ目の私の過ち。


「アレックスは、愛する人をとても大切にできる男です。きっと優しく頬に触れて、愛し気に髪に触れます。貴方を満たしてくれるでしょう」


 必要のない事を口走ったらせた思いは羨望。

 ディアナと私は、よく似ている。外に出られないディアナと、部屋で過ごす事が今も嫌いではない私。好きな本、好きな絵、好きな音楽、好きなお茶。

 月は、満ちる光と欠く暗闇。二つ合わせて綺麗な円になる。言葉を交わす程、ディアナと私は一つの月のようによく合った。


 弾かれる様に上げたディアナの顔が歪む。一つと思う彼女が顔を歪めると、私の心も悲しくなる。


「必要な事なのだと理解しております。でも、殿下にも愛している方がいらっしゃる」


 最初の移動の前に、ディアナとアレックスの間に起きた小さな事件は聞いている。

 その時に、アレックスが愛する人がいると伝えてしまった事も、ディアナが愛する人がいると言ってくれた事も知っていた。


「……会えない女性です。気になさる必要はございません」


 アレックスが会えない女性。私が会っていてはいけない女性。どうして私たちの恋は上手くいかないのだろう。


 私の言葉に目を閉じて、ディアナが激しく頭を振る。


「違うんです。殿下が愛する方を諦めるなら、私も諦めなくてはいけない」


 月に存在を重ねた頃には、聖女に愛される立場になりたい気持ちは、アレックスの為から自分の為に変っていた。でも、私に資格がない可能性がある事に気づいてしまっていた。


 アレックスは眩しい。彼には敵わない。彼は私の憧れだから選ばれる唯一は、アレックスしかいない事に納得している。


 ディアナの目から綺麗な涙が零れ落ちる。

 憧れた友の憧れるような恋心に、自分の恋心を重ねる。

 きっとアレックスなら、その涙に手を伸ばす。でも、私は手を伸ばさない。伸ばしてあげたいと思っても、駄目だと知って抑えてしまえる。


「ディアナ、貴方の決意に心から感謝を申し上げます」


 私を見つめる瞳から零れた涙が、白い肌を滑り落ちていく。


「……感謝なんていりません。精霊の子である私には、望んでも知る事が出来ない筈の気持ちがありました。それは、苦しいけれど、とても大切な気持ちです。どうか一度だけ、その思いを言葉にさせて下さい」


 私の月の欠片のディアナ。同じ気持ちを同じ時間で育んできた。ディアナが向ける眼差しに含まれた想いに、最初からずっと気付いていた。


 泣きながらディアナが、大輪の花のような華やかな笑顔を浮かべる。


「カミュ様、私が愛したのは貴方です。この先に、私が何を望まれるのか存じ上げません。でも、叶わない事には気づいております。それでも、今の私は貴方を誰よりもお慕いしております」


 知っていて知らぬ振りをする方が痛みは少ない。告げられた胸は苦しくて、息が詰まりそうになる。


 アレックスに私はなれない。私は立ち止まれてしまう。  

 傷ついて、傷つかない為に。誰の為にか。アレックスの為に。ディアナの為に。民の為に。私の為に。

 私は我慢を選ぶ。我慢しなくてはいけない。抱いてしまった思いが、最大の過ちだから。


「ディアナ、私が貴方の気持ちを受け入れる事はありません。でも、貴方の言葉は忘れません」


 馬車の速度が落ちた。窓の外を見れば、ディアナの屋敷の明かりが見えた。

 まだ、僅かに湿気の残るジャケットを羽織る。

 馬車が開くと、いつも通りにディアナに手を差し出して屋敷まで送り届ける。

 ディアナの両親に帰還の理由を語ると、ディアナの父と母が私に何度も感謝の言葉を述べて頭を下げた。

 何と答えたのだろう? 遠くの世界の言葉のように全てがぼんやりと過ぎていく。

 

 激しい雨の中、王族が利用している宿に向かって歩いた。何度か従者が馬車を呼ぶよう勧めたが、じっとしている事が怖かった。胸を苦しめる感情が消えずに、止まったら叫び出してしまう気がする。


 激しい雨が傘の意味を失わせて私を濡らす。大きく息を吸い込む。抑えた言葉の代わりに思いが捌け口を求める。


「傘を閉じて下さい」


 私の言葉に問うような眼差しを従者が向ける。返した自分の顔が酷くゆがむのが分かる。


「お願いです。傘を、閉じてください。それから、少しだけ離れていて下さい」


 従者が私の希望通り、傘を閉じる。それから、護衛騎士と共に私から僅かに離れてくれた。


 激しい雨が肩を叩いて、髪を濡らす。天を仰げば、雨粒が頬を濡らす。冷たい雫に熱い雫が混ざった。


「どうして、アレックスみたいになれないのでしょう? お慕いしております。でも、愛していると言えないんです」


 唇を噛み締めて塞いだ叫びの代わりに、涙がとめどなく溢れる。

 

 ディアナが私を愛している。

 彼女を精霊の子の呪縛から救えるのに、救わない。愛しくても彼女に決して触れない。

 たくさんの民を捨てる事になる。アレックスの努力を踏みにじる。

 

 私の選択は必ず誰かを傷つけて、傷つく。あの時と同じ様に、言葉を飲み込めばいい。

 なぜだろう。昔の様に口を噤む事が、今の私を救わない。


 誰か教えて欲しい。私は一体どうしたらよいのか?

 誰も傷つけず、自分も傷つかない選択はどこにある? 

 ありのままの言葉を聞いて欲しいけれど、これだけは決して誰にも言えない。

 ディアナを愛した事は、国に対する大罪。そして、一生懸命戦おうとする友に対する裏切り。


 どのくらい、そこにいただろう。涙が枯れて、冷たくなった指先に気付く。

 慌てて振り返ると、私に付き従う三人も雨に濡れていた。


「私の我儘につき合わせてしまいました。申し訳ございません。宿に帰って、温かいものを給仕に用意させましょうね」


 いつも通りの笑みを、必死に作って笑いかける。強張った頬も震えた声も上手くいかない。

 悲痛な顔で駆け寄った従者が、泥を厭わず私の前に跪く。


「差し出がましい発言をお許しください。貴方様は、お一人ではございません。どうか、誰かに縋って下さい。貴方はこれまで、皆に手を差し伸べてきた。貴方も縋って構わないんです!」


 従者に並んで、護衛騎士の二人もまた跪く。


「私も発言をさせて下さい。貴方は優しすぎます。人の心に敏感なのに、自分の心にはとても厳しい。どうか、声になさって下さい。助けて欲しい、苦しい、迷っていると!」

 

「縋っていいんです。甘えていいんです。貴方は一人ではありません。殿下、クロード様、ノエル様、ユーグ様、ドニ様。私たちでも構いません。一人で苦しむ貴方に、縋って欲しい者はたくさんおります」


 三人の側仕えの言葉が、私の中の幼い私を動かす。


 ディアナを愛した罪の意識に、幼い私が閉じてしまった心の扉があった。

 

 私の想いを責めるだろうか? 先に出会った過ちに失望するだろうか?

 しない。幼い頃、私を預言者と囲んだ大人たちのような事を彼らは絶対にしない。

 知っていたのに、扉を閉じてしまった。


 不安そうな顔で扉を塞いだ幼い私が、戸惑うように扉に手を掛ける。


 ごめんなさい。怖いと思ってしまいました。

 信じるより、嫌われたくないと思ってしまいました。


 小さい私が扉を開く。開けば扉の向こうに大事な友の笑顔が見えた。


 秘宝探し、舞踏会、御前試合、中規模崩落、ルナの支配。どんな時も友と一緒に乗り越えてきた。

 逃げて閉じこもる選択を間違いだと思えたのも、友が側に居てくれたからだ。


 雨の中で三人の側仕えが私の言葉を待ってくていた。

 苦しいのに、心の奥底には長い悪夢から覚めたような希望があった。

 無性に友に会いたい。会って私が抱えている想いの全てを聞いて、救って欲しいと思った。


「皆、もう少し私に付き合って頂けますか? アレックスの所に参ります」


 私の言葉に三人が嬉しそうに笑う。

 冷たくて体中が軋むように固い。また、涙が零れ落ちる。でも、今度は穏やかに微笑む事が出来た。

  


―――――


※小話投稿まで遅れてました。ごめんなさい。

 今回のカミュのエピソードはぎりぎりまで本編に入れたくて調整していました。でも、どうしてもカミュの視点にしたかったために<小話>に結局なりました。


 少しだけこの辺りの心情は、書き手の思い入れで補足します。ご興味があれば、↓の補足をどうぞ!


 カミュはこの後にアレックスの部屋を尋ねます。アレックスとは違うという悩みは消えませんが、自身の感情を罪として隠すのを止めます。

 「約束と出立」でアレックスがカミュの告白を少しだけ語ってます。

 少し前に聖女の想いにも気づいていたのに、アレックスはノエルとの約束の為に目を逸らします。でも、カミュの想いを突きつけられた事で、漸くアレックスらしく再び動き出します。それが王位を諦める決断に繋がっていきます。


 それから、ユーグは初めの頃からカミュの恋心に気づいてます。「成果と決断」等、度々カミュの事を心配していたのはそれが理由です。ユーグが助けたいと悩んでいたのは、ノエルとアレックスの恋だけじゃなく、カミュの恋も含まれてました。でも、ノエルとの会話でシュレッサーとして事実を公表する決めました。そこから、ユーグは自分に出来る術式や魔法弾の改良で道を開く事に舵をきり、カミュの恋には言及しません。


 一人称なので、本編はノエルの視点を貫いて進みます。三人称だと本編でもっと掘り下げられたのかなぁ、などと思いながらこの辺りの関係が書けない事は随分悔やみました。

 読み手様が、この時どうだったんだ? と思う事がありましたら是非お知らせください。今回のように書き手の中にある裏のエピソードで描いていない部分が<小話>でご紹介出来たら良いなと思ってます。

 次回はコーエン最後の「聖女」です。

 相変わらず忙しくて、本編が儘なりませんが、山なのでもっとしっかり頑張りたいと思います。またよろしくお願いします。

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