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不死なんですけど死にたいです  作者: cccfood
レボリューション・オア・リリース
7/26

人が集まるということ

歩き始めて5日が経った。


最初ドラ子は日が沈まない内には着くのじゃ!とか言っていたが、それは彼女の全盛期であるドラゴン形態で空を飛んで行った場合に掛かる時間であった。


付け加えて、ドラ子は燃費がすこぶる悪い。

3時間歩くと腹が減ったのじゃ!と駄々を捏ねて食料調達する羽目になる。


もういい加減ドラ子は置いて行こうかと考え始めた頃だった。


「み、見えたぞ!」


何が?パンツが?誰の?お前の?じゃあいいや。


「―――街か?―――」

「長かったのう!3日目以降からは貴様を置いて行ってしまおうかと考え始めてたぞ!」


そいつは奇遇だったな。俺もだよ。


ドラ子が見ている方向に目を向ける。


そこから先は平野が広がり丁度真ん中に街らしき物が見えた。

巨大な壁に覆われて全容は見えない。

壁は二重構造になっており、外側は丸太の先を尖らせたものを並べて作られ、内側は煉瓦を重ねて作られたように見える。内側は外側の壁より少し凝った造りで見張り塔が複数確認できる。


街と言うよりこれは


「―――まるで要塞だな―――」

「まあ、『城塞国家』と名乗っておるだけの事はあるのじゃな」


城塞国家・・・確かにあれは一つの巨大な城に見えなくも無い。


もしこの世界が異世界と呼ばれるものならば、技術レベルは十七世紀のヨーロッパ辺りがテンプレートだが絶対では無い。


「なにボサッと突っ立っているのじゃ貴様は、さっさと行くのじゃ!」


ドラ子に急かされて、俺達は城塞国家へと向かって歩いていった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


近くに来るとよりいっそう城塞国家らしい面がよく見て取れた。


壁より外には深さ3メートル以上の堀があり人が越えるのは困難だろう。

さらに、煉瓦の壁には小さな窓が空いている。見た事がある、矢を放つ為に作られた窓だったはずだ。


しかし、過剰とも言える設備だ。ここまで外界を拒絶したがる何かがあるようだ。


壁には木製の大きな扉以外に内側に入る手段が無いようだ。

扉に近づくと扉に付けられた覗き窓が開きこちらをじっと探るような視線を投げ掛けて来た。


「そこの方、身分を証明して下さい」


どうするんだ、とドラ子に視線をやる。

問題無い、とドラ子は得意そうに懐から髪の長い女性の横顔らしき装飾が緻密に施された指輪を取り出す。


「その紋章は、王家の!?・・・失礼、取り乱しました。どうぞお入り下さい」


ゆっくりと扉が開き始める。

ドラ子は更に得意そうに胸を張りながら先を歩いて行く。


扉の向こうには10人以上の兵士が屯してた。警備、ご苦労様です。


「取り押さえろ!!」


ドラ子に続いて扉の中に入ると先程俺達の身分を聞いてきた声が兵士達に命令を出し一斉に武器をこちらに向けてきた。


ドラ子が面倒くさそうに右手を構え掛けて、奥を見た後にすぐに下ろした。


「いや、まさか王家の人間がここまで馬鹿だとは思いませんでしたよ。逃げたと思ったらのこのこ1人だけ戻ってくるなんて、我々庶民とは流れている血が違うという話はあながち本当なのかも知れませんね」


そう言って奥から現れたその声の主は左右に2本ずつ、合計4本の剣を腰に指した短髪の女だった。

それを見たドラ子は焦った顔で小さく不味いのじゃ、とつぶやく。


「ようこそ!我らが解放国家『スゥ・タクス』へ!私、『双対』のタラバが歓迎しましょう!諸君、牢屋にご案内しろ!!ご丁寧にな!」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



じめじめしている。

壁も、地面も、柵も、粗末な寝具も、ひとつ残らずじめじめしている。

加えて悪臭が鼻をつく。何かが長い時を掛けて腐った臭いだ。


「飯が足りんのじゃ!!」

「畜生!なんでこんな不味いもんをそんなに食えるんだよ!!本当に王族かてめぇ!」

「うむ、実は妾王族では無いのじゃ!だからここから出すのじゃ!」

「それはそれで虚偽罪だっつうの!!喰らえ!収容者が選ぶ、二度と食べたくない糞まず飯セレクション、ナンバー5『タラバ兵隊長が作るシチューだと主張する謎の液体』!!おかわりもあるぞ!」


ドラ子が言うにタラバという女はこの国でも随一の剣の使い手らしく今のドラ子では勝てない可能性が高いらしい。

そんなドラ子だが、現在は空腹を満たす為に配給係と接戦を繰り広げていた。


・・・それにしてもあのシチューと呼べない液体はどうして紫色から黒に変色した後、また色が変わってオレンジ色に輝いているのだろうか。


「甘いわぁ!!この程度・・・おえぇっ!!なんじゃこの料理は!いや料理なのかこれは!?不味さだけで殺すつもりか、何と恐ろしい!!」

「ふっ、甘いのはそちらだったようだな。」

「おのれ、人間の屑が!何故だ!何故平然とこのような仕打ちができる貴様!」

「聞きたいか?・・・毎日だ!毎日これを食べることを俺達はあの兵隊長に強いられているんだ!!」

「・・・涙拭くのじゃ」

「この涙はなぁ・・・兵隊長の料理の臭いが目にしみたから流れているんだよ!!」


何で勢いで変な友情芽生えているんだコイツら。


「くっ!今回は妾の負けじゃ・・・だが次は勝つ!!」

「へっ!いつでも掛かってきなルーキー!!」


何をもって勝敗が別れたのか謎だが、勝利者である配給係は牢屋の前を後にした。


「おいっ、貴様先程の王家の名を騙ったというのは本当か?」


それは正面にある牢屋から聞こえてきた。姿は見えないが男とも女とも言えなくは無い中性的な声であった。


「だとしたらどうするというのじゃ?」

「本来なら我が剣で成敗してやりたいところだったが今それは叶わない・・・答えろ、貴様は姫様を知っているか?」

「さて、妾はこの国に訪れる前はずっと山に篭ってひっそり暮らしていたからのう」

「・・・そうか、もういい」


それっきり声は聞こえてこなくなった。

静寂で耳が痛い。外はもう夜だろう。


「寝るか」


ドラ子はそう言うと寝具に横たわるとすぐに規則的な寝息が聞こえて来た。


早すぎる。の●太くんかお前は。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


牢屋に入れられ1週間が経った。

そんなある日、ドラ子は親しくなった配給係にこの国の状況を尋ねると配給係はその程度なら別に問題無いか、と話し始めた。


要約すると、一ヶ月前に周囲の村で起こった不作による物価の上昇で、それに伴い膨らんだ市民の不満を利用して例の『双対』のタラバという兵隊長が下級兵士などを集めて王家に反旗を翻したという事らしい。


「ふむ、つまりこの国は今反乱状態で上流階級のほぼ全員を捕らえたが未だ逃げた国王とその側近達の行方は知れない状況なのじゃな?おかわり」

「ほらよ。ああ因みにそうなった原因はそこの牢屋に入ってるロイヤルナイトの、まぁ騎士様って奴だな、そいつが大暴れしたからなんだ」

「なるほど、それで解放国家か。不味い、もう一杯」

「ほらよ、熱いから気を付けろよ。俺みたいな一兵士は少しでも生活を良くしたいな〜程度の気分で参加したが、ここだけの話、上は・・・おっとまずいこいつは流石にアンタに言えねぇか」

「・・・ま、概ね分かった。ほれ、ほんの気持ちじゃ」


そう言ってドラ子は懐から取り出した小さな銀色のコインを配給係に投げ渡す。

配給係はそれを見事キャッチし値踏みする。


「良く隠し切れたもんだなってこれ・・・ハーヴェスト白金貨じゃねえか!?なんつーもん隠し持ってやがる!」


そんな中、ドラ子は配給係が騒いでいるハーヴェスト白金貨なるものを数十個、手の中でじゃらじゃらさせている。


「・・・な!!なんじゃそりゃあ!?国家予算レベルじゃねえか!?」

「くくく、おかわりなのじゃ」


配給係がドラ子の盆にあまり美味しそうには見えないパンとスープをよそる。

この収容所は先の話で出てきた捕らえた貴族を主に収容しているのだが舌の肥えた彼らはこれらを食事とは認めず必要最低限のみ口に入れると後は残してしまいそれらは基本的に配給係などの下級兵士が処理する事になる。

それをドラ子が進んで行いさらに割に合わない賄賂をくれるというのだから配給係としては願ったり叶ったりだろう。


残飯処理班ドラ子の誕生である。


ドラ子は1分も経たない内に完食し、再びおかわりを求めた。

ちなみにこれで本日、15回目のおかわりであった。

邪竜(ファフニール)空間(ポケット)


ふぁふにーるぽけっと。


邪竜(ファフニール)が腹部(正確にはへその辺り)に保有している神秘。


あらゆる物体を10^10分の一にまで縮小させる事が可能な滞留空間。及びその空間の支配権。


空間のサイズは縦横10cm奥行3cmで邪竜(ファフニール)以外が認識する事は出来ない。また入口をロックする事で中の物体が零れる可能性は限りなく減少する。


尚、この空間の異常性は上記にあるのみでそれ以外は外界と差異は無い。

容量限度も存在し、時間も正常に流れ、何より外界の影響を諸に受ける。


あくまでも”ポケット”なのじゃな。

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