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転生龍は人と暮らす  作者: くらいさおら
第一章 幻霧の森
19/98

19.貴族と龍と妖精と、そして異世界人

 ――今頃、あなたに殴りかかった男は死んでるわね――


 レフィが恐ろしいことを、さらっと口にした。

 もちろん、龍の声帯は構造上人間の言語を発することはできないため、念話による会話だ。


「え? どういうこと? 俺に任すって言うから、飯抜きってお願いしたんだけど?」


 慌てたように、龍平が問い返す。

 現在は、幻霧の森での野営中だ。


 ここには龍平とレフィ、そしてミッケルしかいない。

 既にミッケルには、レフィが念話で会話できることを伝えてあった。


 別に隠す必要もなかったのだが、つい言いそびれていた。

 幻霧の森に踏み込み、三人だけになって会話の必要性が高まり、レフィからミッケルに直接念話を流したのだった。

 龍平は龍と意志疎通が可能という設定でもよかったのだが、通訳のようにワンクッション置いていては面倒でしかなかった。


「レフィ殿はドラゴンの身でありながら、領地経営の知識をお持ちなのか? まあ、それはいいとして。リューヘー君、確かに君は食事抜きと言ったのだね? それでネイピア卿は、それ以上の罰を与えられなくなっている」


 レフィの言葉の意味を悟ったミッケルが、龍平に説明を始めた。


「しかし、領主の命令に従わなかった罪が、まだ残っている。だが、ネイピア卿は君と約束したね。だから、ジェンとやらは事故に遭うんだ。領主の命令に従わない村人は、いずれ村の危機を招く。それも村の存亡に関わる、ね」


 今回、既に村の存亡に関わったがと、これは口に出さずに呟いた。

 なにも、今回のケースがすべてではない。

 まつろわぬ民との争いや、不意に襲ってくる盗賊団に、ネイピア山塊に巣くう魔獣や幻獣の襲来など、山間部に存在する村には危険が多数ある。


――だから、村人たちが自主的に処分する。でいいかしら? 普通は領主に知られないようにやるけど、今回は領主から命令が出たわね。よほど腹に据えかねたのか、あなたへのけじめなのか。どちらかしら?――


 公爵家令嬢でいた頃、社会勉強として招いた地方領主の従士長から聞かされていた話だ。

 たいがい、事故という形で処理されるが、領主が命令を下すことはまずない。


 事前か事後の承諾はあるにせよ、村人たちによる自主的な判断で、そこに領主の意志が介在することはないのが普通だ。

 領主自身、そういったシステムがあることは知っている。


 だが、基本的にそれを利用することはない。

 それは、貴族と庶民の間で、侵すことのできないルールだった。


 その絶対ともいえるルールを、ケイリーは破った。

 そして村人たちも、僅かの抵抗すら見せず受け入れた。


 ジェンのしでかしたことは、それほどのことなのだろう。

 そして、必ず再び起こすと思われているのだろう。

 龍平は、そこで考えることをやめた。




 深夜、レフィが風の魔法で苔を乾燥させて作った快適なベッドで、龍平は毛布にくるまっていた。

 ミッケルと三人になってから、いくつか腑に落ちないことがある。


 龍平が世間知らずなことに、異様なまでに寛容だ。

 世情に始まり、この大陸の成り立ちや国の位置、流通貨幣など、この世界の人間なら普通知っていることまで、こと細かに説明された、


 また、なぜ龍平を捜していたのかも、まだ知らされていない。

 ワーズパイトの館で、セリスをまじえてからだと、言われていた。


 そう言いきられて、それでも食い下がれるほど、龍平の神経は図太くなかった。

 へたれめ。



 ふと、龍平はジェンの行く末を思う。

 もう、この世にはいないのだろうか。

 間接的に命を奪ったのか。


 現代日本の高校生にとって、人の命を奪うことには強烈な忌避感がある。

 いつか、この手で人を殺すことになるのだろうか。


 セリスやレフィと別れるのは忍びがたいが、やはり日本に帰りたい。

 それまでは、何があっても死ぬわけにはいかない。


 警察のような治安維持組織があるわけでもなく、日本のように安全なわけでもないこの世界では、命が龍平の想像を絶するほど軽い。

 正当防衛が、過剰なまでに認められていると考えれば解りやすい。


 あのとき、レフィは完全に殺す気でいた。

 赤い炎でさえ簡単に人を焼き殺せるのに、さらに高温の蒼白い光が見えていた。

 あれでは人体なんて蒸発するんじゃないかと、龍平には感じられた。


 どこかで割り切らなければ、自分が殺されるだけ。

 だが、生きた魚すら捌いたことがない龍平には、とんでもなく高いハードルだ。


 割り切ろうとは思っているが、やはり割り切れるものではなかった。

 寝ておかないと、明日がつらい。


 今は考えることは放棄しよう。

 龍平は、無理矢理にでも眠ることにした。

 繰り返す。へたれめ。



 翌朝、寝不足の眼を擦りながら、龍平はガチガチに緊張していた。

 ミッケルとふたりきりで歩く道中は、龍平の胃壁を苛んでいる。


 この世界における貴族の立ち位置を、強引に現代日本に当てはめてみる。

 ケイリーや今後会うであろうセルニアン辺境伯のような地方領主は、武力を持った知事や市長。


 今相対しているミッケルのような法衣貴族は、公官庁のトップクラスのエリートといったあたりか。

 そして、今現在の龍平に関する、生殺与奪の権を持っている。


 そんな状況下の高校生にふたりきりで話を保たせろなど、あり得ないほど高いハードルだ。

 こんなときに頼りになるレフィは、セリスへの先触れとしてさっさと飛んでいってしまった。


 空に上がれば、霧はない。

 水の宝珠は、龍平が持っていて構わなかった。


 気まずい沈黙が続く中、ふたりは歩き続ける。

 森を出る際に付けた目印は、今後のことを考えて回収した。


 ミッケルが何か言いたそうだったが、龍平は敢えて気づかない振りをする。

 ミッケルは、そんな龍平を微笑ましく思っていた。



「リューヘー君」


 突然ミッケルが呼びかけた。

 龍平がびくっと肩を震わせ、振り向く。


「うん、まぁ、緊張するなと言っても無理なのだろうが、そこまで緊張されるとさすがに心苦しいな。君が気にしていることだが、決して悪いようにはしないと、約束する。緊張は仕方ないとしても、安心してくれたまえ」


 困ったように眉を下げながら、ミッケルは言った。

 龍平はミッケルの配慮に感謝しつつも、困ったような薄い笑いを浮かべる。


 配慮はありがたいが、だからといって平常心でいられるほど、龍平の心は強くない。

 何度でも言ってやる。へたれ。



 唐突に森が途切れ、草原が広がった。

 遠くになだらかな丘陵地帯が続き、その背景にはひときわ高い峻険な山が見える。 その草原の片隅に、瀟洒な洋館がぽつんと建っていた。


――リューヘー、セリスが待っているわ。あまり待たせないであげてね――


 飛来したレフィは龍平に告げると、そのまま飛び去っていった。

 玄関前に、小さく人影が見える。


 貴族への礼として戸口の外で待つ以上に、セリスは龍平の帰りが待ち遠しかった。

 それでもワーズパイトから与えられたメイド服の誇りにかけて、走り寄るようなはしたない真似はしない。

 でも、手を振るくらい、いいよね?



 龍平に手を振った後、セリスはミッケルに視線を走らせ、身体の前で両掌を重ねて直立不動の姿勢で待つ。

 一瞬破顔したような笑顔が、慎ましい微笑みを湛えて賓客をもてなす顔に変化した。


「……ん。……私は……喋るのが……苦手。……念話で……挨拶を……」


 セリスが深々と頭を下げ、ミッケルが頷く。


――ようこそ我がワーズパイトの館へお越しくださいました、ミッケル・ラ・フォルシティ卿。わたくしがこの館を預かります、セリスにございます。世俗より縁を切って一五〇年。何もございませんが、精一杯歓待させていただきます。どうぞ、中へ――


 見事な姿勢で一礼し、ミッケルを迎え入れるために一歩退く。

 その動作に合わせ、いつの間にか戻っていたレフィが、ホバリングしながら扉を開けた。


「ご丁寧なご挨拶、傷み入る。失礼を承知でお尋ねするが、私の耳が正しければ、今ワーズパイト様の御名を伺った気がするが。後ほど詳しくお聞かせいただきたく。本日は、よろしくお願い致す」


 こちらも完璧な動作で一礼する。

 上流階級の所作とはこういうものかと、龍平はふたりの流麗な動きに見とれていた。




――それでは、ささやかにございますが、ミッケル・ラ・フォルシティ卿歓待の宴を。杯をお取りください。ミッケル様、ご発声をお願いいたします――


 陽が沈み、館を夜の帳が包む頃、食堂には四つの影が燭台のろうそくに照らされ揺れていた。

 セリスに促され、杯を取ったミッケルが立ち上がる。


「ご配慮に感謝を。古来より、長い挨拶は嫌われる。このような場には簡潔明瞭が相応しい。……この奇跡に乾杯」


 簡潔にまとめたミッケルが、杯を掲げた。


「乾杯」


――乾杯――


 それぞれが唱和し、龍平は掲げた杯を干し、レフィはちょこんと一礼する。

 龍平には度数がごく低いミードを、レフィには酒を舌ですくいやすい平皿で饗されていた。


 テーブルには、宮廷料理とは比べものにならないが、それでも森で採れた素材に手をかけた、心尽くしが並んでいる。

 しばらくは他愛のない話が続くが、料理をあらかた味わったところで、本格的な酒になった。


 セリスも、つまみを作り足してから席に着く。

 当然、ミッケル来訪の真意を聞くためだ。



「いや、実に見事な宴席だった。これほどの心尽くしは、そうそう味わえない。豪華さなど、金さえかければどうとでもなる。しかし、心映えはそうはいかないからな」


 セリスの着席を待って、ミッケルは賛辞を述べた。

 そして、居住まいを正す。


「これからする話は、多分に信じがたい事実を含む。だが、ドラゴンとともにあるあなたなら、受け入れられることだろう」


 まず、ミッケルはセリスに向かう。

 ミッケルは、セリスを龍と龍平の保護者と認定していた。


「リューヘー君、我々は君を王都に迎えたい。生活も保障しよう。この世界にできることであればだ。我々がなぜ、そうしようとしているは、」


「俺が異世界人。だからですね?」


 一瞬、ミッケルの表情が固まるが、すぐに平静を取り戻す。

 街道でミッケルに会って以来、龍平はこの貴族がなぜ自分を捜していたのかを考えていた。


「……そうか。解っているなら、話は早い。しかし、いいのかね? そんな簡単に自分の秘密を明かしてしまって?」


 今自分が何を言おうとしていたかを棚に上げ、ミッケルが笑みを浮かべながら聞いた。

 否定することも可能だったのに、龍平があっさりと認めたことは意外だった。


「私はこの世界に来て以来、この森を出たのはあれが初めてです。それなのに、ミッケル様は私がここにいることを知っていた。なぜ知っていたかは解りませんが、それで充分ではないでしょうか」


 そうでもなければ、わざわざ王都から国の西外れにある幻霧の森くんだりまで、貴族が来るわけがない。

 異世界人がこの世界でどのような扱いを受けているか解らないが、いざとなればレフィが片づけてくれる。


 そう思っての暴露だった。

 自分でどうこうしようとは考えないのか、へたれ。


「その通りなのだがね。では、なぜ君を探していたか。それを説明したいと思う」


 龍平たちが頷くのを見て、ミッケルは説明を始めた。


「まず、最初にリューへー君。いや、リューヘー・クマノ殿、我々の謝罪を受け取ってほしい」


 突然の謝罪に、三人は呆気に取られた。

 特に生粋の貴族であるレフィの驚きは、相当なものがあった。


 貴族とは、決して自分から頭を下げることはない。

 あったとしても、ほとんどはポーズであり、交渉の一部にすぎない。

 それがいきなり、だ。


 もちろん、この先の話を円滑に進めるためのものであることも、理解できる。

 しかし、最初から相手にアドバンテージを与えるなど、考えもしなかった。


「え? いや、あの、いきなりすぎてよく解らないのですが」


 龍平の反応は、当たり前だ。

 初対面に近い人間に、それもはるかに高い立場の貴人に、理由もなく謝られても、どうしていいか分からない。

 その意味では、龍平はミッケルの策に、まんまと乗せられていた。


「実は、リューヘー殿がこの世界にきたのは、我々ガルジオン王国に責任がある。セリス殿はご存じか? 我々の国に伝わる異世界召喚の儀を」


 セリスが首肯を返し、それを見たミッケルが長い説明を始めた。




「――というわけで、我々にはリューへー殿を保護する義務があることをご理解いただけたかと思う。いかがだろうか、リューへー殿。王都にお越しいただければ、不自由はさせないと約束するが」


 そう言ってミッケルは、話を終えた。


――呆れた。まだやってたんだ、あのくだらない儀式。で、人ひとりの人生を滅茶苦茶にした。そのお詫びに王都で囲い込み、異世界人の知識を独り占めにしようってことかしら?――


 辛辣すぎるほど辛辣な、ガルジオン王国の本音をぞぶりと突いた発言が、レフィから飛び出した。

 レフィが生きていた頃には、一度下火になっていた儀式だった。


 あまりにもハズレが続きすぎ、こじつけにこじつけを重ねていた時期だった。

 その後有用な召喚が続いたこともあって復権したが、レフィの認識ではとっくに廃れたものになっていた。


 そして、龍平の誤召喚は、どう言葉を言い繕うとも、誘拐だ。

 それまで平穏に生きていた人間を、何の断りもなく拉致したにすぎない。


 それも、文化も文明も違う異世界に。

 そのうえ、送り返す手段もない。


 あまりにも酷すぎる話だ。

 国家が違法と定めた奴隷狩り同様の仕打ちを、その国家がやってどうする。

 龍平の話を聞き、その涙を目の当たりにしたレフィは、ガルジオン王国を決して許せない。



「レフィ殿はご存じだったか。いや、返す言葉もない。まったく以て、その通りだ」


 レフィの心の内を知らないまま、ミッケルは国家の非を認めた。

 人の人生を叩き壊したことはともかく、囲い込みのことは言外に含ませてだが。


――それでリューへーは一生幽閉されて、異世界の知識を吐き出させられるわけ? そして、ネタが尽きたらポイ、かしら? そんなこと、私が許すとでも思って?――


 蒼白い炎を口からこぼれさせながら、レフィが問う。

 レフィ個人もそうだが、貴族の誇りがそれを許さない。

 一瞬ミッケルの顔色が蒼白に変わる。


「滅相もない。リューへー殿の自由は、私の名誉にかけて保障させていただく。フォルシティ男爵家の全力を挙げて、この誓いを守ろう」


 その危険性には気づいていた。

 ミッケル自身にその気はないが、王家や他の貴族が企んでいないとは限らない。


 もちろん龍平の確保を、声高に叫ぶ莫迦はいない。

 あまりにも人道に悖る行いだからだ。


 だが、囲い込む方法なら、貴族であればいくらでも思いつく。

 端的に言えば、婚姻だ。


 婿として迎え、家の実権は与えることなく、屋敷内で仕事を与えればいい。

 あとは褥で愛をささやきながら、異世界の知識を吸い上げるだけだ。


 特に、バーラムのような地方領主が危ない。

 自領の発展は、領主の至上命題だ。


 下手をすれば、なりふり構わず龍平を捕らえかねない。

 そんな人間は、来なかったことにすればいいからだ。


 そのときは、この龍によって国が滅びる。

 それだけは、防がなければならない。


 ミッケルは必死だった。

 国王相手に一歩も退かない、武闘派貴族が必死になって龍を宥めていた。



――まぁ、いいわ。あなたを信じましょう。もちろん、リューヘー次第だけど、王都に行くなら私も行くから――


 ある意味、これはチャンスだ。

 貴族の後ろ盾付きで、王都に出られる。

 それも、王家に対して優位な立場で。


 幻霧の森に関しては、水の宝珠さえ誰かに渡さなければ心配はない。

 セリスを人質に取られる心配はなかった。


「是非、お願いしたい。そうすれば私も安心できる。しかし、この世界でドラゴンが伝説上の幻獣とされて幾千年と聞く。なぜ、レフィ殿はいろいろご存じで?」


 歴史上、龍が大陸内の国に滞在した記録はない。

 人里離れた秘境に住み、人とは交わらないとされた幻獣だ。


 それが、人の世のことをよく知っている。

 まるで、見ていたかのように。


――そりゃぁ、存じ上げてるわよ。正式な名乗りはまだだったわね――


 レフィは空中で居住まいを正し、一呼吸置く。


――私は、ガルジオン王国ノンマルト公爵家長女、アレフィキュール・ラ・ノンマルトでございます。わけあって異世界から来た、龍の身体に転生いたしました――


 思いもしない爆弾が、ミッケルの脳裏で炸裂した。


「まさか……。まさか、そんな……。あなたは、かつて、王都を襲った謎の大爆発に巻き込まれ、行方不明となられた悲劇の魔法姫、アレフィキュール殿下でございますか。知らぬこととはいえ、数々の無礼、平にご容赦を」


 ミッケルを見据える瞳には、疑うことを許さない高貴な光がエメラルドのようにきらめいている。

 疑おうと思えば、いくらでも疑える。


 言葉だけで信じるなど、権謀術数に生きる法衣貴族とは思えない軽率さだと、謗られても仕方がない。

 だが、胸にすとんと落ちるものがある。


 この小さな赤い龍のまとうオーラが、疑うことを許さない。

 それゆえに、ミッケルは信じた。


――何よっ! その恥ずかしい呼び名はっ!――


 レフィが身悶えた。

 あまりにも恥ずかしい。

 ふたつ名など、勘弁してほしかった。



「ぷっ! 悲劇の魔法姫……悲劇の魔法姫ぇぇぇっ! ぎゃんっ!」


 このような場にも関わらず、耐えきれなかった龍平が吹き出した。

 そうだよな、黒歴史だもんな、中二病って怖いよな。


――笑うなぁぁああぁぁああっ!――


 激怒したレフィが、尻尾で龍平を滅多打ちにする。


「痛ぇっ! こんにゃろ、何しやがるっ! なんだか知らねぇけど、こっちの心まで痛ぇじゃねぇか!」


 とっさにレフィの尻尾を掴んで引き寄せ、口に指を入れて引っ張り上げる。


――はにゃひにゃひゃいっ! ひゅくひょににゃにひゅりゅっ! いひゃいっ! はにゃへぇぇぇっ!――


 捕まれた尻尾を振りほどき、龍平の首に巻き付け絞め上げる。

 龍平とレフィの取っ組み合いを、ミッケルは唖然とした表情で見ていた。



「……気に……したら……負け。……いつもの……じゃれ合い。……ふたりは……楽しんでる。……しばらく……放って……おくしか……ない」


 諦めたようなセリスの言葉に、ミッケルは額に指を当ててうつむいた。

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