表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ポンコツ女神と魔王退治

作者: かにユ

俺は死んだ。(んじゃないかな?)

情けない理由で。

マンホールに落ちた..。(んじゃないかな?)

前方または、下方不注意。


現在地は、あの世の入口.... (たぶん)

一面白い世界。

目の前に扉が2枚。

イメージは、耳なしネコ型ロボの、どこ〇もドア。

ドアには表記が2つ、『別の世』『この世』。


『この世』を開けて覗いてみる。

選択に意味は無い。なんとなく。


入りはしない。頭を突っ込むだけ。

似た空間に、やはりドア2枚が見える。

『天国』『地獄』

『天国』のドアには、バッテン状に板が打ち付けてある。

俺の日頃の行いか?

『地獄』一択のようだ。


元に戻り『別の世』を開けて覗いてみる。

先と同様に、覗くだけ。

同じく、ドア2枚がそこにある。

『転生』『転移』


ふむ、地獄は いやだな。

俺は、『別の世』に入った。


『転生』を覗く。

同じパターンで、ドア2枚。

『記憶有』『記憶無』


『転移』を覗く。

美貌の女性が、台無しの表情で、取調べセットのイスに座っていた。

目が合う。

思いっきり ため息を吐かれた。


ドアを閉め、悩む、悩む、なやむ。

人生の、分岐点だ。どれだけ悩んでも許されるだろう。



..............................

許されなかった・・らしい。


突然、『転移』のドアが開き、引っ張り込まれた。

気がついたら、取り調べセットをイメージできるイスに座っていた。


分かる!、俺には判る。

これは、ポンコツ女神との異世界の旅だ。

魔王を倒し、女神または、ポンコツヒロインと結ばれるのだ。


しっか~し、目の前の女性の 印象は 「普通」、すごく「普通」。

オーラが足りない、決定的に不足している。

美人ではあるけれど、女神のイメージもオーラもない。

テンプレでは ないのか?


そのオーラ不足の美人さんが、まるでOLのお姉さんの声で、

「『転生』『転移』で悩む人は、ほとんどこっちに来るんですよ。

時間の無駄ですので、連行させて頂きました」


「『転移特典』を1つ差し上げます。ああ、『私』と言うのはダメですよ、

悩む時間長いと、勝手に決めさせてもらいますので、

ちゃっちゃっと決めてくださいね」


5分ほど考えた。

催促が来る。気が短い自称女神だ。

俺は、しぶしぶ回答する。

「じゃあ、『あんた』!」


「ブー、ダメだといったでしょう。ハイ、カウントダウン開始 10、9」


「ちょっちょと待って。せめて女神さまの お名前を教えてください」

人間、必死になると敬語となる。


「教えられるわけ無いでしょう。大変な....。おっとと、ハイ、8」


「すいません。ごめんなさい。申し訳ございません。

せめて10分程度のご猶予を」


「却下です。ハイ、7」


「じゃあ、女神さまが欲しい」


「えっ!とっとっと。え〜と 6」


脈あり!

「美の女神さま!を希望します」


「うっ、ハイ、5、4、3、2」


「美の女神、ビィーナスさま」

追い込まれて、適当に思い付きを口に出した。


「なっなんで〜。私を巻き込まないで〜ぇ」


叫んだ女神の口角が上がっているのに気づかないまま、

俺は 自称女神を供に異世界に旅立った。





---------------------------------


誰もいなくなったはずの場所に 先程とは違う女性が座っていた。


「はあ〜、先輩 また行っちゃった。

何が「美の女神、ビィーナス」よ、全然違う名前のくせして。

心へし折って、喜々として帰ってくるのよね。性格悪すぎ。

それはそうと、必ず異世界転移特典あるはずなのにどうなっているんだろう

まあ、いっか!」


---------------------------------





俺は、見知らぬ街に立っていた。

隣には、先程の自称美の女神がいる。

きっとここは、ビギナーズタウン、初心者の街だ。

俺は何でもお見通しさ。


もう定石に則り、敬語は不要だろう。

「街の名前を教えてくれ」


「バ ッ ド エ ン ド たぁうン」


女神は、けだるさそうに答えた。

心に初めて不安がよぎった。


コイツ自身、否定はしなかったが 本当に女神か?

俺は自分で選択したつもりだったが、違うのか?

俺はどこかで間違えたのか?

そもそも、今の状況、現実か?


確認の意味も含めて、『転移特典』とやらを

早速 使わせてもらおう。


目の前の女を 指差し

「『チェンジ』!」


「え!、あれっ?、ふへぃ」


変な声を残して、女神?は消えた。

今まで女神?の立っていた場所には、

別の気品ある女性が、呆れた顔をして立っていた。


そう俺は、考え込んでいた5分のあの時間に

女神?の上司に 心の中で相談していたのだ。


タネを明かそう。

〇上司の、おじいちゃん創造神が居るんじゃね?

〇上司であれば、俺の心の中が読めるんじゃね?

〇女神?の、普段の勤務態度 ダメじゃね?


そう想い、心の中で呼びかけたら応えてくれたみたいだ!





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったですw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ