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アヌビス神緊急来日!

今回はお忍びで来たアヌビス神をエビスとレールが頑張って取材します笑。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

 日本の神々は世界の神々についても知りたがり。世界の神々も日本にはよく遊びに来ると言う。しかし、お忍びで来たり、バカンスできたりなどなのでほとんどがいつ来たのか知られずにいる。


 日本に住む神々に向けての情報誌、天界通信ではその緊急来日の記事を書くため、ある二神組が動いていた。


 黒い長い髪に生命力が強そうな瞳、頭に緑の布を被っている女、来訪神エビスは隣りで抹茶をおいしそうに飲んでいる外国神、レールを呆れた目で見つめていた。


 「レール!アヌビス神はどこにいるの?ほんとは抹茶なんて飲んでる場合じゃないんだからね!」


 エビスはレールを急かすがレールは金色の髪を揺らしながらホッと息を漏らしていた。


 ここは高天原南にある天界通信本部。休憩室の札がかかっている畳の部屋でレールはのんびりと抹茶を飲んでいた。


 「エビちゃ~ん。お抹茶は苦くておいしいね~。」

 「そんな事を言っている場合じゃなくてさ……。スケジュール帳、早く出す!」

 「はいは~い。」

 レールはのほほんとした顔をエビスに向けるとごく普通のスケジュール帳を取り出した。


 レールはどこかの国で出会いの神としてあがめられている名もなき神である。今は仕事の為、日本にいるようだ。出会いの神の力は相当なものでレールがスケジュール帳を開くと会いたい者が今、どこにいるのかがわかる。


 「ふんふ~ん。アヌビス神は山の中の小さな墓地にいるみたいだね~。」

 「墓地……。」

 「そうそう~。というか、エビちゃん。エビちゃんって英語話せるの~?」

 レールの呑気な発言にエビスは頭を抱えた。


 「え?何?いきなり。英語?まさか、アヌビス神って英語しかしゃべれないとか?」


 「あ、いや~、たぶん、そうじゃないけど、英語だったらどこの神にも通じるかな~なんて。私、英語話せないから~エビちゃんなら話せるかな~なんて。」

 レールは再び抹茶をこくりと飲む。


 「はあ?レールって英語話せないの?」

 エビスの困惑した顔にレールは笑顔を向けた。


 「うん~。私の国はラトゥー語だからね~。」

 「らと……?どこの言葉よ……それ。マイナーすぎてわかんないよ!……じゃあ、そのナントカ語で自己紹介してみなさいよ。」

 エビスの問いかけにレールは再び笑顔で頷いた。


 「いいよ~。ラナバストゥー・イファルスティ・ラザナル・レール、インディス・イトゥー。ヴェナセス・ウー・ラバレルトゥー・アンヴェス・イトゥー。ラナバストゥー・メルティラ・ラザナル・オルデス・アンヴァス・イトゥー!」


 「……。なんて言ったの?伊藤しか聞こえなかったんだけど。なんかよくわかんないけど会った事もない伊藤さんが頭に浮かんだわ。」


 エビスが目を丸くしていたのでレールは説明に入った。


 「伊藤じゃなくてイトゥーだよ~……。日本語で『です、ます』。私の名前は出会いの神レールです。仕事は外国神の調査です。私のスケジュール帳は会いたい人に必ず出会えます。って言ったの~。」


 「なんだか呪文聞いているみたいだった。」

 少しむくれているレールにエビスは首を傾げていた。


 「それより~、エビちゃんの英語聞きたいな~。」


 「え?英語?しょうがないな。ワタシノ、ナーマエハ、エビスデース!ヨロシクネ!……みたいな。」

 エビスはノリノリで話したがどう聞いても日本語だった。


 「エビちゃん……。……それは日本語ができる外国人だよ~。逆逆~。」


 「もういい!私達はノリが大事なコンビでしょ!ジェスチャーとかでも通じるって!行こう!」


 「あ、ああ……私の抹茶が~。」

 エビスは半ばやけくそになりながらレールの手を握ると休憩室から逃げるように走り去っていった。


 二神は慌ててアヌビス神がいるという林の中の墓地にたどり着いた。

 現在は六月。雨が降っていて林の中にある墓地は薄暗く、少し不気味だった。


 「エビちゃん……。雨降ってるよ~……。濡れるのやだよ~。」

 「ああ、あんたは猫の姿が本来だったね。傘貸してあげるよ。もう一本持って来た。」


 水がつくのを嫌がるレールにエビスは傘を貸してあげた。ちなみにエビスはもう水玉模様の傘を差していた。


 「エビちゃんが持っている傘かわいいね~。あ、これもかわいい~。」

 レールは貸してもらった傘を開き、楽しそうに眺めていた。


 「高天原産の番傘。軽いでしょ。そして濡れないようにできてるらしいよ。それより、アヌビス神は?」

 エビスはレールを急かして場所を探させた。


 「え~……この墓地にいると思うけど~。」

 薄暗い中で目を凝らすと黒い影と犬の被り物が見えた。


 「うっ……!」

 エビスは呻いた。薄暗かったのもあり、なんだか異様に映った。


 「ん?」

 黒に近い肌の男がエビスとレールに気がつき、のそのそと歩いてきた。犬の被り物が迫ってきたのでエビスは怯えていた。


 「ぎゃああ!大きな犬がっ!……って、びっくりさせんじゃないわよ!」

 エビスは黒い影が近くに寄るにつれて犬の被り物をしている上半身裸の男だという事に気がついた。


 「エビちゃんびっくりしすぎ~。彼がアヌビス神だよ~。」

 レールがエビスの顔をみて笑っている。肌が異様に黒い男はレールとエビスを見ながらきょとんとした顔を向けていた。


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