弁財天緊急来日!3
高天原南の竜宮付近にある観光地で弁財天が好きだというお菓子を買った。
そのお菓子はイチゴ大福だった。五個入りで七千円の高級イチゴ大福だ。
「な、七千円……五個で……。大出費だよ……まったく……。あー、でも助かった。レール。パパの怒りが七千円で済んだわ。ありがと。」
エビスは今、晴れやかな顔で大きく伸びをしていた。
「エビちゃ~ん……少しは反省してね~。じゃあ……早いところ……。」
「これからこのお菓子もって竜宮に行くよ!取材だよ!」
レールが言い終わる前にエビスは腰に手を当てて空を仰いだ。どうでもいいが空は抜けるような青空である。
「これを社長さんに渡すんじゃないの~?」
レールはエビスが持っている高級イチゴ大福を指差す。
「パパが渡しても私が渡しても大して変わんないじゃない。とりあえず取材させてもらってからパパからだってイチゴ大福渡してさ、パパには『途中で弁財天さんに会ったから先に渡しといたよ』とか言っておけばいいし。」
「エビちゃん~なんだか最近、やる気が斜め上に行っているような気がするよ~……。」
「早く一神前になりたいしね!頑張るよ!私。さあ、行こう!レール!」
やる気満々なエビスにレールはため息をついた。
「う~ん……これ絶対社長さんに怒られるよ~……。」
エビスがどんどん先に歩いて行ってしまうのでレールも慌ててエビスを追いかけた。
エビス達がいた高天原南の観光地からテーマパーク竜宮はとても近かった。
きれいな海辺でエビスとレールは一息ついた。今日は竜宮が定休日なのかビーチには誰もいない。
「竜宮って海の中にあるんだよね?ツアーコンダクターか使いの亀がいないとテーマパーク内に入れないんじゃなかったっけ?さすがにこの海に潜って竜宮までたどり着ける力はないねえ……。」
エビスは唸りながらレールを見た。レールは首を傾げたまま困惑した笑みを浮かべていた。
「エビちゃん~やっぱり社長さんの所に戻ろ~よ?」
「ダメ。パパは絶対に連れてってくれないもん。」
「じゃあ、どうするの~?」
二神が悩んでいると亀に連れられてエレキギターを持った女が海辺に現れた。女はパンクロックっぽい格好でこちらに近づいてきた。海から出てきたところからすると竜宮から海岸に上がってきたようだ。
「うわっ、なんかファンキーな神がこっち来た。」
「エビちゃん、あれが弁財天さんみたい~。」
「ええっ!な、なんかイメージが……。」
レールの言葉にエビスは目を見開いて驚いた。




