弁財天緊急来日!1
日本では来日する外国神の興味が集まっている。
神々の情報を提供している天界通信本部でまだ若い女神達が日本神の期待に応えるべく外国神に日々突撃と取材を繰り返していた。
「レール!レール!」
「なあに?エビちゃん~?」
天界通信本部の休憩室でお茶を飲んでいた金髪の少女レールの前に突如、黒髪の少女が元気よく現れた。
「来たわよ!来た!外国神!」
レールにエビちゃんと呼ばれた黒髪の少女は蛭子神エビスである。外交の神とも言われ、海外から日本に遊びに来た神々のチェックをしている神でもあった。
まあ、この仕事をしているのはほとんどエビスの父、天界通信本部社長の蛭子なのであるが娘のエビスもなんらかのレーダーを持っているようだ。
海外の神が日本に出現すると会っていなくてもエビスは反応する。ある意味な野生の勘である。
「え~……今日はゆっくりしたいなあ~……。」
金髪の少女レールはのんびりとお茶を飲みながらスケジュール帳を開いた。
レールは名もない国で出会いの神をやっている外国神である。今は日本に遊びに来ており、のんびりとエビスの取材仕事を手伝っていた。
「あ~……今は弁財天さんが来ているみたいだね~。」
レールはスケジュール帳をパラパラめくりながらのんびりと声を上げた。
出会いの神レールの特殊能力、スケジュール帳を開くと会いたい神のスケジュールが過去未来問わずに見る事ができる。つまり待ち伏せができるのである。
「弁財天だって?七福神!で?今どこにいるの?」
エビスがレールにがっつくように声を発した。レールはエビスの眼力に抑え込まれ、退きながら恐る恐る口を開いた。
「え~っとねぇ……。今はテーマパーク竜宮で龍神達と使いの亀達に楽器の指導をしているみたい~。芸術神でもあるからね~……。後それから~……。」
「それから?」
「その後に竜宮でエビちゃんのパパとお話しするみたい~。七福神絡みかなあ~?」
レールの言葉にエビスは目を輝かせた。
「パパとお話だって?これはチャンスだわ!まだパパは本部にいるし、これから竜宮に行くのなら一緒に連れてってもらおう!」
エビスは鼻息荒くそれだけ言うとさっさと部屋から出て行ってしまった。
「え~?え~?えびちゃ~ん!いきなりすぎるよ~!ああ~待ってよぉ~!」
残されたレールは戸惑いながら慌ててエビスを追って走り出した。
天界通信本部の作りは和風である。座敷に長い机が置いてあり、そこに最新式のパソコンがずらっと置いてあった。
ちなみに最近の高天原では空間をタッチするだけでアンドロイドを起動できるハイテクなものが出始め、パソコンは日々減少傾向だった。
現在、エビス以外の神々は皆仕事中のようだ。
エビスは仕事をしている周りの神々をすり抜け、社長室の障子戸をノックもなしに思い切り開けた。