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少年神緊急来日!2

 神々の使いである鶴をつかって高天原から現世に降り立ち、そこから再び鶴が引く駕籠に乗り、山梨を目指した。


 少し時間はかかったがとりあえずエビスとレールは桃狩りができるという桃農家の場所に到着した。


 「けっこうすぐに着けたけど暑い……。」

 「さすが盆地だね~……。」

 太陽がギラギラと二神を照りつけている。現在は午後三時だ。


 あたりは沢山の桃畑が広がっており、木になっている桃はどれも大きく、赤く熟していた。もうすぐ本格的な夏、八月がはじまる。


 「おいしそ~だけど~これを採ったら犯罪だよ~。」

 「わかってるよ。」


 レールとエビスが桃を眺めながら歩いていると突然何かに袖を引っ張られた。


 「わっ!」

 エビスは突然の事に驚き、後ろを振り返った。


 「ん~?」


 レールも遅れて後ろを向いた。すぐ目の前には幼い男の子が立っていた。瞳は鋭く凛としているが顔には不安の表情が出ていた。中華風の着物を着ている所から二神はすぐに少年神ナタであることに気がついた。


「ア、アノ……桃ヲ食ベテミタイノダガ、ドウスレバ良インダ?」

 少年は額に汗をかきながら二神を離すまいと袖をしっかりと握っている。


 「桃の前にあんた、ナタ?」

 「ウン。ソウダ。」

 エビスの確認にナタ神は素直に答えた。


 「レール!メモ!」

 「え~……は~い。」


 エビスはナタ神だとわかった刹那、レールに鋭く声をかけた。レールは突然の事に驚いていたが素早くメモとペンを取り出した。


 「桃は後で何とかしてあげますから取材を受けていただきます。」

 エビスの仕事モードのスイッチが入った。


 「エエ……イヤダ。桃食ベタインダ!日本ノ桃ヲ食ベニ来タンダ。桃食ベレタラ取材ウケテモイイ。」

 ナタ神は半分ダダをこね、半分要求を飲んだ。


 「うっ……これはいままでのを見ると逃げられてしまうやつでは……?ま、まあ、いいわ。桃食べれば協力してくれるんですね?」


 「ワカッタ。」

 ナタ神はエビスの言葉に小さく頷いた。


 「レール!」

 「え~……また私~?猫になって桃買って来い~とか言うんでしょ~?」


 「その通り!」

 「も~……あんまりあれやると有名になっちゃうよ~……。」


 エビスの提案にレールが渋っていると桃農家の人が直売で売れ残った桃を何故か地面に捨てていた。


 「あっ!何か桃を捨ててる!あれもらおうか!もったいないし。」

 エビスが捨てられた桃の側に素早く近寄った。


 「ん~……この桃、なんで捨てちゃうんだろ~?」

 レールもエビスの後を追い、桃を眺めた。


 「ほんの少しだけ痛んでるんだ……。これ。」

エビスがレールに桃の痛んだ箇所を見せた。


 「これくらいなら食べられるね~。おいしそ~。」

 「熟しすぎてるのもある。」

 「甘そうだね~。」

 レールは桃を一つ持つとナタ神にあげた。


 「アリガトウ。皿ト刃物ハアルカ?」

 ナタ神は子供らしい笑顔を向けながら尋ねた。


 「ええ?ここで食べるつもりなの?」

 「ソウダ。」

 エビスの言葉にナタ神は嬉しそうに頷いた。


 「え~……う~ん……あっ!」

 皿とナイフを探していたレールは『桃食べ放題』と書いてある看板を潜った。


 ナタ神とエビスもなんとなくレールについていく。


 桃食べ放題の会場は屋外でぶどうのつるが良い感じに日よけになっており、沢山の椅子と机が並べてあった。その机の上にお皿とナイフが乗っていた。おそらくこれからツアー客がここで桃を食べるのだろう。


 「ちょうど、お皿とナイフあるね。」

 「はじっこのお席、使っちゃおうか~。」


 エビスとレールも桃を堪能するようだ。入口から一番遠いはじっこの席に座ると桃の皮をむき始めた。ナタ神もワクワクした顔でエビスとレールが座っている席に座った。


 「はい。剥けたよ。食べな。」

 エビスはさっさとナイフで皮をとるとナタ神の皿に桃を置いた。


 「アリガトウ。イタダキマス。」

 ナタ神は丁寧にお礼を言うと桃にかじりついた。


 「どう?」

 「ウマイ!」

 「そりゃあ良かった。」


 ナタ神の幸せそうな顔を眺め、エビスも幸せな気持ちになった。エビスも桃の皮を剥き、丸ごとかじりついた。


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