休暇
僕達勇者一行は魔族領近くの小さな町、フィロストまで来ていた。
魔族領への侵入まで明後日と迫った今日、サトル達はアイテム等の最終確認をしていた。
「さてと...明後日には魔族領に侵入することになりそうだけどアイテムの備蓄は充分かな?向こうに行ったら当分補給は期待できそうにないしね。」
「取りあえずは大丈夫そうだな。ポーションの量も状態異常に対する薬も一通り揃っている。もし仮に死んだとしても、この丸薬を飲めば一発回復出来る。」
「その丸薬凄く効くんですけど副作用も半端じゃ無いんですよね...使いどころは間違えないようにしないといけませんね。」
「それも見越しての一人一回分+αっていう計算で4個だけなんだよね。」
ディアドラでは『丸薬』というそのままの名称で通っているこの薬は、某サイヤ人漫画で言うところの『仙●』だと思って貰って差し支えない。
この薬、飲めば瀕死の状態から一気に回復出来るがその代償として、頭痛・吐き気・目眩・その他諸々の副作用に見舞われることとなる。
要するに使わないのが一番良いのだが、もしもの時の為に皆一つか二つは持っているのが一般的だ。
「一応装備品とかも確認しておこうか、もし戦闘中に壊れたりしたら一大事だし。」
僕がそう言うと、各々自分のメイン・サブ武器を取り出してヒビ等の確認を始めた。
「私のは...特に問題無いですね。」
「私も問題無い。」
「僕は...うん、大丈夫だね。」
「そう言えば前々から思っていたんですけど...」
「どうかした?アリスちゃん。」
「サトルさんのその剣ってかなり変わったデザインですよね。サトルさん以外にそれと同じような剣を持ってる人は見たこと無いです。」
「あぁ...この剣ね、ちょっとばかし特別製なんだよね。とある人に特別に作って貰ったんだ。今度その話してあげるよ。」
「へぇ、とっても楽しみです!!」
「さてと、最終確認も済んだし明後日に備えて今日は思いっきり人間領を満喫しますか!」
「暫く帰っては来れんだろうしな、今日は楽しもう。」
明後日からは本格的に魔族との戦いに身を投じる事になる。そうなれば当分はこちら側に帰ることは出来なくなるだろう。前日は休息をとる日と考えると今日が人間領を満喫できる最後の日だ。
今日一日は思いっきり楽しもう!
「勇者様!そこにおいででしたか!」
楽しもうと思っていた矢先、町人の声が聞こえた。
「はい、何かご用でも?」
「用というか、情報なんですが...」
「.....何かあったんですか?」
「実は.......」
「まさかそんな...有難うございます、直ぐに向かいます。」
「サトル、何かあったのか?」
「カラドン王国首都、カラドニアが魔王軍の侵攻を受けているという連絡があったんだ。申し訳無いが魔王軍討伐に行かなきゃいけなくなった。」
結局、僕達の人間領最後の休暇は魔王軍討伐に変更になってしまった。
どうも皆様、作者です。
まずはお久し振りです、暫く更新が滞ってしまい本当に申し訳ありませんでした。
次に更新出来る時もまだ分かりませんが、最初に書いたように途中で投げる事だけは絶対にしません。そこはお約束します。
数ヵ月のブランクが空いてしまい、文章構成がおかしい点等あると思うので遠慮なくご指摘下さい。
暑い日が続きますがお身体にお気をつけ下さい。
以上、作者でした。




