いざ、魔族領へ!
約二十万人弱。今回の戦いで出た人間、そして魔族双方の最終的な死者数だ。
「人間側が約十九万、魔族が一万か...改めて激しい戦闘だったのが分かるね。」
「はじめは戦闘と言うより魔族の一方的な虐殺と言った方が適切だがな。」
被害状況の書かれた書簡を見ながら、僕とミルドレッドが会話を交わす。
「そういえばアリスちゃん。安全区に避難した人達は無事だったの?」
「はい!サトルさんが言った通りの場所に安全区が設けられていて、私が避難誘導してきた人達は全員助かりましたよ!」
少しでも生き残っていた人がいることがせめてもの救いか...
しかし今回は人間側の被害が余りにも大きすぎる。ここの豊富な資源は持ち去られはしなかったものの、すっかり荒し尽くされてしまった。
魔族が撤退不可能だと悟ると、最後の抵抗のつもりだったのか、ご丁寧に周りの建物を破壊し、食糧を荒し尽くしてくれた。
...まぁ奪われて敵に利用されるよりかは多少はマシかな。
荒らされた食糧に関してはそこまで心配することは無いだろう。死者の規模が少なかったならば他国からの食糧供給が無いとたちまちこの町は飢餓に苦しむことになるが、如何せん今回の魔王軍侵攻で人口の7割が死亡したのだ。
元々そこまで人口が多くなかった町から7割も消えたとなると、食糧が荒らされたとしてもさほど大きな問題にはならないだろう。
「僕達もなるべくこの町が復興するまで居るべきなんだとは思うけど...そういう訳にもいかないよね。」
「そうですね。今回の戦いで魔王軍も多かれ少なかれ打撃は受けている筈です。この機を逃さずに魔族領に攻め入るべきだと思います。」
アリスちゃんの言うことは至極当然の事だ。
機を見るに敏、この機を逃せば魔王軍はまた体勢を立て直して来るだろう。
僕達に残された道は最早一つしか残っていない。
「よし...アリスちゃん、ミルドレッド...これから魔族領に発つ。ここまでは人間側の土地だったけどここから先は完全アウェーだ。戦いも一層厳しくなると思う。...それでも着いてきてくれる?」
「もう...サトルさんって本当に馬鹿ですよね。」
「前にも言ったが私たちは勇者の共になった以上、どんなことがあろうと勇者の傍に付き従うと決めているんだ。」
「だからこれから先、何があったとしても私たちはサトルさんの傍から絶対に離れません!」
「そうか...そうだった、よね。ごめんね、変なこと訊いて。もう迷わないよ、絶対に魔王軍を倒してこの世界を平和にする。それが僕の願いだ。」
「それでこそ、いつものサトルさんですよ!」
「私たちはそんなサトルが好きだから共をやっているんだ。」
「えへへ...ありがと、ってミルドレッド?それってどういう意味?好きって...どういうこと?」
「へっ!?...いや、勘違いするな!この好きは仲間として好きなのであって、その...」
なんやかんやで、僕達は今日も平常運転です。
どうも皆様、作者です。
次々回位から魔族領の戦いに入る...予定です。
最早感覚で書いてるので、半ばキャラがひとりでに語り始めます。
僕を含め学生の方はそろそろ期末テストの時期が近づいて来たのでは無いでしょうか?
僕は計画性が無いので、大体一夜漬け作戦に出ます。あまりオススメは出来ません。
それでは、今回はこの辺で失礼させて頂きます。
以上、作者でした。




