転移した先には
魔王軍とのファーストコンタクトから数日が経ち、僕達も本格的に打倒魔王軍の名乗りをあげる事となった。
「なあミルドレッド、魔王軍...もとい魔族が次に現れそうな場所って予測できるかな?」
「そうだな...一番可能性がある場所と言えば魔族領とさほど距離がなく、豊富な物資を持っているアリアノ共和国だろうな。」
アリアノ共和国か...言われてみればごもっともな侵攻対象だな。
資源がある上に兵力もそこまで強くない。魔王軍としてはこれ以上ない搾り取りの対象だろう。まるで植民地を増やし愚民化政策を推し進め資源を搾りに搾り取った欧米列強の様だな...そんなことはどうでもいい。敵の侵攻対象が分かったならば善は急げ、即行動だ。
「ここからアリアノまで...歩いて軽く1時間半ってところか...この街ってワープゲートあったっけ?」
ワープゲートとは転移魔法が掛けられている門で、行きたい場所を唱えればデータにある場所なら何処にでも行けてしまうという代物だ。しかし一つ造るのに膨大な資金が必要な為、実装されている街はごく僅かな金持ち市町村に限られている。
「確か街の外れにあった筈だ。」
「おぉ!それなら早速行ってみよう!」
僕達は早速街の外れにあるワープゲートの元へと向かった。そして今まさにワープゲートに入ろうとした瞬間、街の方から僕達を呼ぶ声が聞こえた。
「大変だ勇者様!!」
「ん?どうしたんですか?」
「たった今入ってきた情報だ!アリアノが魔王軍の侵攻を受けたそうだ!もしアリアノに行くつもりなら注意しな!」
「僕達が行こうとした時に侵攻か...タイミングが良いんだか悪いんだか...兎に角有難うございます。十分に気をつけます。」
「 転移、アリアノ共和国 」
そう唱えると周囲の光がより一層強くなり、僕達3人は目的の場所へとワープした。
急いでゲートから出るとそこに広がっていた光景は...
「第ヨんブタいこウ撃準ビよシ、突げキセヨ。」
「助けてくれ!!誰か助けてくれぇ!!」
「動クもノハすべテ殺セ、例ガいは無イ。」
「嫌だぁ!!!まだ死にたくない!!」
「もう駄目だ!最早防衛ラインは機能していない、これ以上この国に尽くすことなど無い!こんな所で死ぬくらいなら俺は逆賊になってでも兵士を辞めさせて貰う!」
「待て!逃げれば反逆罪だぞ...ぐああああ!!!」
「うルサい虫ダ、駆じョしテオコう。」
「.....何だよこれ。」
「これが...この世の光景ですか?」
「....惨いな。」
「だけど感傷に浸っている暇なんて無いんだ。僕達は勇者一行である以上ディアドラの人々を守る。」
「...そうですね、こんな光景あと何回見るか...」
「この程度で感傷に何て浸ってはいられない、ということか。」
そうだ、僕は勇者だ。勇者ならばやることは一つ、守るべきものを守らなくちゃいけない。
「いくぞ、アリスちゃん、ミルドレッド...!!」
「はい!!」
「分かった。」
こうして僕達は本格的に魔王軍と交戦する事となるのであった。
どうも皆様、作者です。
前回から少し間があいてしまいました。
ネタを考えるのにも一苦労な時期でございます。
更新頻度はなるべく上げたいですが、文法やら何やらを気にするとどうしても時間が掛かってしまいます。申し訳ありません。
これからもこの作品を暖かい目で見守ってくだされば幸いです。
それでは、今回はこの辺で失礼させて頂きます。
以上、作者でした。




