勇者任命式
前回の瞬狂に関しては、某る●うに出てくる技名をオマージュさせて頂きました。
パクリと言われたらそれまでなんですが...
選定試験から数日後、僕は勇者任命式の式典に出席していた。
この式典には、僕以外の選定試験に参加した人々も招かれている。
この式典で公式に僕がダレイオス国の勇者に任命されることになる。
何か緊張してきたな...
「それではこれより勇者選定試験により選ばれた我が国の勇者、サトル殿に登壇して頂こう。」
ダレイオス国のリーダー、所謂総理大臣のような役割を担う方に名前を呼ばれて僕は恐る恐る前の壇上に上がった。
「サトル・ユウキ殿、貴殿を我が国ダレイオスの勇者に任命する。 ダレイオス国政府代表、カルド・サイラム」
「あ、有難うございます。頑張ります...」
緊張のあまり声が出なかった。だ、誰でもこうなっちゃうよね...?
「それではサトル殿から意気込み等をお聞かせ願おう。」
え、全然考えてないよ!?
どうしよう...半端なこと言って変な空気にするのも嫌だし...いっそ思ったこと全部言おうかな、こんな機会二度と無いわけだし。
「えーっ...と、どうも皆さん。今回勇者を務めさせて頂くことになりましたサトルです。.....正直言って魔王軍に勝てる確証はありません。途中で野垂れ死ぬかもしれないし、無様な死に方をするかもしれない。その時は申し訳ないとしか言えませんけど...これだけは言っておきます。僕はこの国の勇者になれたことを誇りに思います。この国の人々のこころは気高く、それに見合う強さを持っています。そんな素晴らしい国の勇者に任命して頂いた事は...僕の生涯一の誇りです。そんな素晴らしい国の方々の代表として、そしてディアドラの平和を願う者として、精一杯、死ぬ気で魔王軍と戦ってきます。以上です。ご清聴有難うございました。」
僕が一通り意気込みを述べ終えると式場が拍手喝采に包まれた。とりあえず言いたいことは全部言えたし、良かったかな。
「それではサトル殿に勇者の証であるマントとバッヂを授与する。」
僕の肩にマントがかけられ、その留め具として左胸辺りに勇者の証となるバッヂが付けられた。
これから僕は勇者なんだ...その嬉しさとそれと比例して責任感も沸いてきた。
「そして、サトル殿の供として二人選ぶ権利をサトル殿に与える。」
おおおおおお!!!!これは嬉しいぞ!!!!好きな娘を選べ...じゃなくて、頼りになる仲間を一緒に連れていけるぞ!!
実力的に考えると、ミレイアなんだけど...彼はこの前の脚の怪我が治りきってないし、シュバリオンやゴルレグと組んでも人間関係に困りそうなんだよなぁ...
だとすると適任は...僕と序盤に互角の戦いをしたミルドレッドと、機動力重視の戦いが出来るアリスちゃんかな。
簡単な回復魔法くらいなら僕でも使えるし、当分は回復面は心配ないかな。よし、決めた。
「僕と一緒に旅をしてもらうお供は、アリスさんとミルドレッドさんにお願いしたいと思います。」
一応敬称はつけないとね、うん。
「承知した。サトル殿のお供としてアリス殿、ミルドレッド殿を任命する!!」
「さ、サトルさん、本当に私なんかで...良いんですか?」
「うん、機動力がどうしても必要だからさ。頼むよ。」
アリスちゃんは軽くパニック状態だな...そんな所も可愛いんだけどさ。
「サトル、足手まといにならないようにしっかりと供としての役目は果たさせて貰う。」
「あぁ、期待してるよミルドレッド。」
ミルドレッドは何時でも冷静だな。
「それではこれにて勇者任命式を閉じさせて頂く。勇者よ、その活躍に期待しているぞ。」
「期待に添える活躍が出来るかどうかは分かりませんが、全力は尽くさせて頂きます。」
「旅に出る前に少しだけ寄り道させて下さい。どうしても会いたい人がいるので...」
「勿論、これから長い戦いになるからな。大切な人への別れは済ませておかないといけない。」
拍手の中、僕達三人は式場をあとにした。
とりあえずはアドラに戻らないとな。
アルが待ってる、.....別れを言うのは辛いな。
どうも皆様、作者です。
次回で第一章は終わりだと言ったな?あれは嘘です。
最後にアルとの別れだけ書かせて下さい。
その話をもって第一章の締めとさせて頂きます。
それでは、今回はこの辺で失礼させて頂きます。
以上、作者でした。




