天より降り注ぐ光の柱
さぁ、白の青年と戦う前にまずは決勝戦に進む必要がある。
今は所謂準決勝まで進んでいる。気になる次の相手だが、この選定試験唯一の範囲系魔法攻撃を使ってくる厄介な輩だ。
「それでは、選定試験準決勝戦 サトル殿対シュバリオン殿の試合を始める!」
「......サトル君だっけか?宜しく。」
「こちらこそ、お互い全力を尽くそう。」
そう軽く挨拶するや否や、シュバリオンは即座に右手に持つ杖から数百個の火球を繰り出してきた。
危うく当たって蜂の巣にされる所だったが、紙一重でかわしきった。
「全く、危ねぇな...」
「よく避けたな、君が初めてだよ。」
さして動揺する様子もなくシュバリオンはそう言った。この位は予想範囲内なのだろう。
続けて空中に放った数千個の氷球が流星群の様にコロシアムに降り注いできた。観客席は結界が張ってあるのでどうとも無いが、闘技場内は別だ。次々と氷球が地面に激突し、辺り一面氷張りになった。
「すっげぇな...あんた並の魔法使いじゃないだろ?」
「そんなこと無いさ、唯の魔法使いさ。君の方こそ自分の頭上に落ちてきた氷球を全て弾くなんて人間業じゃないぞ。」
「そんなこと無いよ、僕は唯の戦士さ。」
その後も、火球、氷球、雷、こちらに対するデバフ攻撃で選局はシュバリオン有利に進められていった。しかし、シュバリオンが繰り出してくる攻撃の合間を縫い、僕も確実にダメージを与えていった。
「ハァ...ハァ...中々やるじゃないか、だがこれで終わりだよ。『秘技 光明天月』!!!」
シュバリオンがそう叫ぶと、天から無数の光の柱が僕に向かって降り注いで来た。
しかし、そこが勝敗を決する分かれ目となった。
「それを待ってたんだよ!!!『覇神 天地神明』!!!!」
そう唱えると、僕の持つ剣に黄色と紫色のオーラが螺旋状にまとわりついた。
それを強引に天に向かって振り、光の柱を全て相殺した。
「光明天月を!?そんな馬鹿な!!!」
「今までの固定概念とかそういうのって意外と簡単にひっくり返っちゃうんだよね、僕も同じ状況に何度も出くわしたことあるし。それがシュバリオン、君のなかでは今日だった。それだけの事だよ。『覇神 轟撃破』」
空中に跳び両手持ちにした剣を地面に向かって降り下ろし、決着は着いた。
「勝負あり!東 シュバリオン殿戦闘続行不能!よって西 サトル殿の勝利!」
こうして僕は白の青年と選定試験の最終決戦に挑むこととなった。
どうも皆様、作者です。
次回、もしくは次々回に選定試験のクライマックス、決勝戦を書けるかと思います。
そこを一区切りとして、『異世界転生&勇者選定試験編』とさせて頂きたいと思います。
それでは、今回はこの辺で失礼させて頂きます。
以上、作者でした。




