救護所にて
前話の補足を簡単にさせて頂きます。
この世界の物理法則は基本的にコロコロひっくり返るので、平気でジャンプして数m飛んでしまうという現象が起きます。
異世界と言うことで許して下さい。
ミルドレッドはすぐに救護所に運んだのが幸いしたのか、大事には至らなかった。もっとも、僕との戦いが終わった時点でかなりのダメージを負っていたが。
「とりあえず治って良かったよ。」
「動かない箇所は無し、これからのハンター生活に支障は無さそうだ。運んでくれてありがとう、サトル。」
ミルドレッドの体にも後遺症とかは残らなかったみたいだし、とりあえずは一安心かな。
「おぉ、いたいた。君がサトルくんだね?」
声のする方向を見やると、左目を眼帯で覆った THE 騎士 と言った格好の男性が佇んでいた。
「えぇ、そうですけど...貴方は?」
「おっと失礼、私はネオス警備隊の総隊長を務めるシュルツだ。」
「ほう、総隊長さんがどうしてこんな所に?」
「君の戦いは見させて貰った。単刀直入に言おう。このトーナメントで生じるシード枠を君に差し上げたい。」
こりゃあ願ってもみない話だ。戦う回数が少なくなるだけでもこちらとしては手数を晒す回数も減ることになって良いことづくめだ。
「出来ればそうして頂きたいんですが...」
「それは良かった。審査会の面々も是非とも君をと言っていたんでね。それでは私はこれで失礼させて貰うよ。」
そう言ってシュルツと名乗った男性は部屋から出ていった。
「すごいじゃないかサトル。シュルツと言えば先の大戦で数々の武勲を挙げた英雄、そんな男に認められるなど滅多にあるものではないぞ。」
へぇ、あの眼帯爺さんああ見えて結構すごい人だったんだな...
「あ...そう言えばミルドレッド、少し聞きたいことがあるんだが。」
「何だ?私に答えられるものなら答えるぞ。」
「皆が話のネタに出す 先の大戦 って具体的に一体どんなものだったんだ?」
そう、僕がこの世界に来て気になっていたこと。それはこの世界の住人が口にする『先の大戦』というキーワード。アルや他の人には深く聞かなかったがこの際だ、一体どんなものだったのか聞いておこう。
「う~む...あの大戦を端的に話すのは難しい。少し時間を取らせて貰っても良いか?」
「あぁ、じっくりと頼むよ。」
こうして、ミルドレッドの口から僕がこの世界に来る十数年前に起きディアドラ全土を巻き込んだ凄まじい大戦について語られ始めたのであった。
どうも皆様、作者です。
次回は閑話を挟ませて頂きます。
伏線らしきものは段々張ってはいるのですが、一番怖いことは張った伏線そのままということです。
どこぞの打ちAGE花火みたいにならないように頑張ります。
それでは、今回はこの辺で失礼させて頂きます。
以上、作者でした。




