勇者選定試験 第1回戦
暫く待つ必要があった僕は旧王城内に設けられた休憩室で投影魔法によって映し出されたコロシアムの様子を見ていた。
試験が始まって小一時間は過ぎただろうか。
既に半分以上は1回戦を終えている。
アリスちゃんも1回戦を終えており、難なく突破できている。
僕の出番は次なんですが、どう力を抑えて戦うか現在考え中です。一応は気を引き締めて戦うとは言ったものの自分で言うのもアレですが倍くらいの実力の相手程度なら余裕で勝ててしまうので、少し力を抑えて戦う必要があるんですね。
おっと、言っている間に僕の番が来たようだ。
早速コロシアムに向かうと、対戦相手のグレイドルとかいう奴がご丁寧に先に待っていてくれた。
見た目20代後半な彼は、僕を盛大に煽ってきた。
「やぁ、サトル君とか言ったかな?初戦でこの私と当たってしまったのが運の尽きだね。ディアドラにおける最高峰の剣術、アスタロス流を極めたこの私に挑める事を誇りに思って欲しいね。まぁ、負けても相手がこの私だ。どこのメディアも『当然の結果』と書くだろうね!ハッハッハッ!」
うわぁ...何と言うか、こんな煽り実際にやってくる奴が実在したのか。漫画とかアニメならまだしも3次元でやってくる奴がいるとは...これも世界は広いって事か。てかアスタロス流って何だよ、見たことも聞いたことも無いし。観客もドン引きしてるじゃん。この空気で戦うのは気が引けるな...
「さぁ!恐れをなしているのは十分に分かるが勝負をしないことには始まらんよ!早速剣を交え給え!」
うん、流石にイラつくな。どこぞのミラーワールドの凶悪ライダーじゃなくともイラつくぞこれは。まぁあっちがあれだけ煽ってきてくれたんだ。それに応えるのが筋ってモンかな。
「よし、分かった。精々僕を楽しませてくれよ?」
「ハッ!何だ、君もやる気なのか!良いだろう、君こそ私を楽しませてくれ給え!」
そう意気込んで始まった勝負は、5秒経たずして勝敗が決した。
開始早々に僕はグレイドルの頸椎に素早く手刀を打ち込んだ。
観客達が気が付いた頃にはグレイドルはコロシアムの地面に5m程めり込んでいた。
「ヤッバ、力の制御忘れてた。」
僕は思わずそう漏らしてしまう程、現場の状況は酷い、というか滑稽だった。
「しょ、勝敗は決した。東、グレイドル殿戦闘続行不能。よって西、サトル殿が勝利...」
試験官も唖然として結果報告に力を失う程、僕の1回戦は圧倒的な結果となった。
余談だが、グレイドルは命に別状は無かったそうだ。
どうも皆様、作者です。
ようやくサトル君の1回戦が出来ました。
と言っても数行で終わってしまったのですが。
2回戦も早い内に書きます。
今回はライダーネタを入れさせて頂きました。分かる人には分かるかな?
感想等々どしどしお待ちしております。
それでは、今回はこの辺で失礼させて頂きます。
以上、作者でした。




