復讐の刃
「――ふぅ」
教室を出てため息を吐くと、自分が緊張していたのが分かる。
そもそも俺に複数での戦術を教えろっていうのがまずおかしい。俺は基本的に、というか今まで一対一のタイマンぐらいしかやったことないし、まともな戦術なんて言うのはやったことがないからわからない。まぁ日本で軍関係に興味があったためにそう言った知識がないでもないが、カーライアム等とは比べるべくもないだろう。
時代には時代にあった戦術というものが存在するのだ。
どうしたもんか…と思ってこの先の教育方法を考えていると、ふと声をかけられる。
「…あの」
「ん?」
誰だ、と思えば先ほどの戦闘で最後に軽く手を合わせた女子だった。
名前?知らん。
「あー…えっと、ごめん名前なんだっけ」
「フレデリカ…です」
「そっか。ありがと。何か用?」
この子あまり人と話すのが得意じゃないのかな、と思いながらそう尋ねるとフレデリカは少し困ったような表情を浮かべる。
あー知ってる。
これはどう聞いたものかと迷っている時の反応だ。
身に覚えのある彼女の反応に少し微笑ましくなりながら彼女の答えを待っていると、彼女はしばらくの沈黙の後に答えた。
「人の殺し方を、教えて」
冷水をかけられた日のように一気に思考が冷静になる。
長い金色の髪の下から覗く瞳に光は無く。絶望をそのまま言い表したような視線をこちらに向けていた。
この目は知っている。
俺が何度も見た目だ。鏡にうつるこの目を俺は識っている。
復讐を誓った人間の目。
そして。
溢れんばかりの殺意を抱いている目だ。
姉さんを殺されてからこっち数年は一人で部屋にこもるととたんにあんな目をしていた事を覚えている。
そんな人間にどんな言葉をかければいいのか。
一瞬言葉に詰まったが、その後は俺の口からは無意識に言葉を発していた。
「復讐は止めろなんて野暮なことは言わねぇし、やりたきゃどんどんやりゃいいと思う…けど。まぁそれで楽しいのかって言う話だよな」
「楽しさなんて…もう二年前のあの日から期待してない。両親を盗賊に殺された。眼の前で惨殺されたのよ。それをやった盗賊を殺して血祭りにあげないと私は私の人生を生きれない。復讐を止める人なんてごまんといた。お父さんたちは復讐を望んでない。そんな綺麗事を言う人間はたくさんいた。でも違う、そういう事じゃないのよ。私は私に対してけじめを付けるために、私は私に対して無礼を働いた人間に対してけじめを付けるために、区切りをつけるためにあいつらを殺す必要がある。自分の存在に泥を塗った人間が笑っているのを見ながら平穏と生きるなんてことは私には出来ない。私は奴らを殺してからでないと…生きれないのよ」
「そうか。別にお前の生き方にどういう言うつもりはないさ。協力してやる。お前に色々と教えてやるよ。今日の放課後職員室に来い」
そう言って踵を返して職員室へと歩みを進めながら頭をかく。
正直言って。面倒なことになったなというのが一番最初に思い浮かんだ感想だった。ぶっちゃけあいつらが誰に復讐しようとどうでもいいし、その結果どうなろうが知ったこっちゃない。こっちはただ仕事でやってるだけだし、別にそんな仲のいい人間ってわけでもないし、身内の親族ってわけでもない。ましてや年下で庇護対象になるような奴らでもない。俺の主義から言えばあいつの要望を聞くのは論外なのだが、仕事なのだから仕方がない。できれば生徒を死なせない方がいいなんて言うのは分かりきっていることだ。
最後に一瞬だけ彼女と手合わせをしたが、あの程度の実力ならば商人お抱えの私設護衛団の下っ端にすら劣る。街のチンピラのほうが喧嘩慣れしているだけ有利になるレベルの実力しかない。
つまりあのままフレデリカが盗賊達に突進していったら十中八九死亡。
それ以外の結末はまぁ死ぬより悪い結果になるだけだろうなと判断出来る。
あのたぐいのやつはどうせ止めても無理矢理行くだけだ。だとするなら後押しして、もしくは手を貸してやって相手を殲滅したほうがよっぽど良い。
まぁ。
その盗賊がどこに居るのかが分かってない時点でかなりそれは難しい。
だがここには様々な情報の集まる人間が集まっている。かなりの確率でそれらしいものにぶつかるだろうな、と情報に期待しながら職員室の戸を開く。
ざっと目を通したところで、見つかったのは高等部の座学系の教師達が多く、臨時講師はBクラスに配属されたヴァンミリオンだけが座っていた。
姿を発見した篠芽はヴァンミリオンの隣へ座り、お茶を差し出しながら口を開いた。
「ちょっと聞きたいことが」
まだるっこしい前口上は全部排除してそう尋ねると、渡された茶に口をつけながらヴァンミリオンがこちらを向く。
「ふむ、言ってみるといい」
「二年前…二人の夫婦が盗賊に殺された事件って心当たり有りますか?」
篠芽がそう尋ねると、ヴァンミリオンは顎に手を当てて考えこむ。
そうしてしばらくした後、何かを思いついたように手を叩いた。
「ああ、その夫婦を殺された事件っていうのに心当たりはないが…数年前から有名になってる盗賊団なら知ってるぞ」
これは…どうなんだ。
当たりか?
まぁなんにしろ知っておいてそんはないと思ってそのままヴァンミリオンに先を促すと、彼は手元にあったメモ帳にスラスラと文字を書いてみせた。
「盗賊団”スティールサーカス”これがその名前だ。義賊を気取った奴ららしいが…殺人強盗をしたって言う話は聞いたことがないからな…なんで知りたいんだ?」
「どうもうちのクラスの子が盗賊に両親を殺されたみたいでして、その復讐をしたいらしいんですよね」
「…手伝うのか?」
「まぁ、ちょっと調べてみて手に負えないようなら彼女を少し鍛える方向で手伝おうとは思ってます。どうせ復讐なんて止めても止まるもんじゃありませんよ」
「ま、それもそうだがもうちょっと頑張って止めたほうがいいとは思うがな」
「俺とあいつらは同い年なんですから、保護者と非保護者の関係ではない…と俺は考えてますよ」
「それもそうだな…まぁ両親が殺されて孤児になったっていう話しなら多分カーライアムに聞いたほうが速いぞ。あいつはどこから仕入れてくるのかしらんが孤児の情報をごまんと持ってるからな」
「そうですか。ありがとうございます」
「いやいや俺自身は何もしてないからな…そうだ、君は昼飯は食べたか?」
「いや、まだですが」
「もし良かったら食べないか?カーライアムもホルンも居ないし、新しい知り合いを作ろうにも皆居なくてね。君が来たところなんだ」
弁当箱を持ち上げてそういうヴァンミリオンをちらりと一瞥して、頷いた。
知り合いは多いに越したことはないしな。
そう考えてリーニャが持たせてくれた弁当を持ってきて再びヴァンミリオンの隣に腰を下ろす。
蓋を開けてみれば三色弁当が広がっていた。それだけでおかずは特に無し。
まぁ別に好きだから構わないけれど。
孤児院の孤児にも弁当をもたせているらしいからたくさん作れて分けやすいと言う事情も分かる。
ってかうまいなこれ。
内心で舌鼓を打ちながら食べていると、ヴァンミリオンがたまごやきを食べてから口を開いた。
「で、お前彼女は居るのか?」
「ぶっ」
口に含んだ米粒を少しだけ飛ばしてしまうぐらいに驚いて目を丸くしてヴァンミリオンを見る。
すると彼の顔は嫌らしく歪んでおり、たとえるならそう、まさに甥の恋愛事情に口を挟む叔父と言ったところだ。やけに具体的な例なのには目をつむって欲しいがとりあえずそんな顔をしいているっていう意味でとってくれれば嬉しい。
ってかこのおっさん。
友達をつくりたいとかただの口実だろ…。
少しため息を吐くと、ヴァンミリオンが更に口を開く。
「カーライアムはまぁ…年が結構離れてるから対象外だろうが、ホルンなんかはいいんじゃねぇか?お前たしか17だろ?ホルンは確か20前後だしピッタリだろ」
「何いってんすか…ちょっと色々と状況が状況なんで色恋沙汰なんかに関わってられるほど余裕ないですよ…」
「生徒を教えてるからか?そういやお前生徒も同年代だよな。生徒とアブノーマルな関係…とかあるのか!?あっちゃうのか!?お前ハイレベルだなおい!…いやでも一般に生徒と教師の関係が危ぶまれるのは歳の差故だからな…同年代なら良いのか…?うん…?」
「いやいやいや、そういう問題じゃないだろ!?そーじゃなくて!!恋愛事を考える余裕がねーって意味だ!!」
「んだよそういうことかよ…でも考えても見ろよ、今情勢は一段落してるわけだ、ここいらで可愛い娘引っ掛けておかないと死ぬまで童貞だぞ」
「うっ…いやいや、俺別に卒業したいから彼女作るわけじゃねーし」
「ほう…お前今の時代には珍しい程の純情派だな。いや童貞こじらせてるだけか?」
「うるせーな…そういうあんたはどうなんだよ」
「悪いが俺は妻も子供もいるんでな。あんまり火遊びはしたくねーんだ。うちのカミさん俺よりつえーぞ。元五聖剣の俺ですらうちもカミさんにかかったら瞬殺よ。ビンタ一発でクビが飛ぶっつの。あのクソ怪力ゴリラめ」
「そういうことは言わねーほうが身のためだぞ…どこで何が聞いてるか分からねーからな…」
「それもそうだな…お前も結婚する時がきたら尻に敷かれないように頑張れよ…」
ポツリと零した彼の言葉はかなりの説得力を持っていた。
「知ってるか…世の娘たちは年頃になると『パパは自分で自分の服を洗って』って言ってくるらしいんだ…おい…どうしたらいいんだよ…篠芽…」
「あー…いや…俺にも姉居たけどそんな人じゃあ無かった気がする…な…」
どうだっただろうか。
父親をひっぱたいて飛び膝蹴りかましてた記憶はあるがそう言った陰湿なことはしていなかったような気がする…多分…いやでもあの姉なら言いかねない…どうだろう…
いやわかんね、と言葉を訂正しようとしたところで顔を上げるとこの世が天国になったような顔の父親の姿がそこにはあった。
ってかヴァンミリオンだった。
言えねぇ…僅かな可能性すら潰さなければいけないなんて…そんな酷なマネ俺にはできねぇ…
「無かったと思うぜ」
はぁ…なんでこんな気を使わなきゃあかんのか、と思いながらそう言って三色弁当をもうひとくち食べる。
「それにしても、最近サプライズパーティがあるらしいんだよな」
「サプライズパーティって、誰のさ」
「俺のだよ俺の。俺の誕生日を娘が祝ってくれるっぽいんだがいかんせん知っちまってるわけよ。俺演技くっそ下手なんだよな。どうすればいい?」
本当に真面目な顔でそんなことを聞いてくるもんだから、かなりの子煩悩だなこいつ…と思いながら顎に手を当てる。
「まぁ…下手な演技をしたらバレるし単純に笑ってすごいと言ってやればいいと思うんだけど…っていうかなんで知ってんの?」
「いやぁ…こないだの血の平原の前にひと目娘の顔を見ておこうと思って部屋に行ったら娘が誕生日おめでとう!の垂れ幕作りながら寝てたわけよ。いや泣いたわ」
「あんたそれ死亡フラグってやつじゃ…よく生き残れたな」
「本当、あいつらには感謝の言葉もねぇ」
「アスクレピオス…なぁ」
医療集団アスクレピオス。
彼らの参入によって血の平原は強制的に終わりを告げた。
彼らが居なければどうなっていたか…恐らく今のように矛を収める方向にはならなかっただろうし、報復の応酬になっていたと思う。あくまでも現状はそこまで身内に被害がでた家族が少なかったがために起きた風潮だ。自分の身内を次の犠牲者にしないために戦争を起こさない。そういう自分の為の思考が働いているために報復が行われていないのだ。
それに関してはヴァンミリオンも思うところがあるのか、箸を咥えながら少し思案顔になって背もたれに体を預ける。
「正直言って今回はカーライアムが一身に被害を引き受けた形になる。あいつは数百の息子や娘を失った訳だ。あいつの胸中は察することはできねぇよ」
「復讐…すると思うか?」
「俺だったら迷わずするね、俺の娘が危ない目にあったら危ない目に合わせたやつの四肢を引きちぎって更に指先からミンチにしていっても足りねぇ。それぐらい親ってのは子供に対して過保護なもんだ。それをよりによって戦場で、自分が死地に向かわせたんだ。その矛先は自分に向かうんだぜ。想像を絶する苦しみだ。復讐はするとおもうぜ。その対象が誰かは…分からねぇがな」
「…考えたくねぇな」
「その通りだ。あいつが間違った道を進まないように俺たちがしっかり見てやるしかねぇだろ。万が一あいつが生徒に対して何かしらのアクションを取ったならそれを見ておくべきだ。死んでいった奴らは皆あのぐらいの年だ。そんな奴らがカスみてぇな力で粋がって戦場でも十分に戦えると息巻いてるんだ。俺でさえうざったくてしょうがねぇのに数倍の実力を持っても尚戦場で死んでいった子供を持つあいつにとっては――」
「俺だったら首飛ばしてるわ」
「…俺もだわ。そう考えりゃあいつはよく我慢してると思うぜ。だが我慢の限界はいずれ来る。その時には俺達がしっかり止めてやらねぇとな」
「そうだな…あの人には恩もあるし、自分の手で同じ年頃の子供を殺したとあっちゃその先孤児院でも居た堪れない。それは絶対に回避するべきってのは俺でも分かる」
「そう言ってくれるなら助かるぜ。流石に一人であいつの面倒を見るのは無理だしな。お前も頼むぜ」
「ああ。任せろ」
心の底からの言葉だった。
彼女は十二分に俺が守るべき対象に入る。
そんな人間を傷つける結果を残すことになった血の平原…その原因となった灰鴉はやはり許せるものではない。
ふつふつと湧き上がる怒りを一旦抑え、ヴァンミリオンに言う。
「灰鴉は、潰しましょう」
俺がそう言うと、ワンテンポ遅れてヴァンミリオンは深く頷いた。
「――ああ」
****
放課後。
帰宅を促すチャイムが鳴り、日も傾きかけた頃になって中庭で二つの影が対峙していた。
「…さて、早速やろうか。まずお前の実力だが…今朝手合をした感じで大体の欠点はつかめた」
遠回しでもなくお前は雑魚だと言われて多少むっとした顔をしたフレデリカだが、彼女は文句を言わずに篠芽の言葉を待つ。
「まず第一に動きが正直過ぎる。まず剣を置いて俺を一発殴ってみろ」
どういう事だ、と聞くこともせずにフレデリカはおとなしく剣を起き、大きなモーションで拳を振りかぶって――その握りしめた拳が放たれることはなかった。
「えっ――」
びくともしない右腕にフレデリカは目を丸くして何かが接触している感触のある右肩を見ると、そこには篠芽の手が置かれていた。
「ストッピング…って言う技術だ。お前のその殴り方はまず肩から動き、次に肘、次に拳が放たれる。まぁもうちょっと細かい説明もあるんだがおおまかに言えばこの3ステップだ。このどれでもお前の動きを止めることが出来る。ケリでも一緒だ。太ももを抑えれば蹴りは放たれない。これをお前は剣でもやってるんだ。今朝はお前たちには手を出さないって言う条件だったからやらなかったが――剣を持っていてもお前たちに対しては容易に”ストッピング”を行使することが可能だ」
そしてストッピングができるということは相手がどういう行動を取ろうとしていることがわかるということでも有り、ストッピングをする技術がなかったとしてもその攻撃を躱すことは容易だ。
「例えばお前今日俺に対して横薙ぎの攻撃をしたが…あんなに大きく前モーションとってりゃそりゃ避けるのは簡単だ。…さて、ここまでは分かってもらえたと思うが次のステップだ。ならどうするか…まず拳を構えた後に腕を引かないで俺の手のひらにパンチしてみろ」
そう言うと、ペチンと可愛い音が響くだけでダメージは一切ない。
言うなればダメージゼロ。ただの衝撃にすら劣る。
篠芽としては予想していたが、フレデリカは少しだけ恥ずかしかったのか軽く俯いて唇を噛んでいる。
「そんな気にすんな。普通の人間が普通に言われた通りにすればそうなるのは当然だ――」
と、言葉を続けようとしたところでフレデリカに言葉を遮られる。
「待って。私は別に闘拳師になりたいわけじゃないの。剣を教えてくれればいいんだけど」
少し苛ついた様子でそんなことを言うフレデリカだが、彼女は分かってない。
「お前な、そもそも剣なんてものは数人ぶった切れば人間の脂と血で切れ味は落ちるし、手から離れれば武器にならないどころか敵の武器になっちまうようなもんだ。それに俺から見てお前はまだ剣を振れるほど体ができていない。だから前モーションが大きすぎるし、読まれる。俺が今教えてるのは人を殺す方法であって剣術じゃあねーんだ。別に剣術を教えて欲しいってんならそうするけど…どうする」
「…悪かったわよ」
「まぁ、いいさ。それでパンチだが腕だけではなとうとすれば威力は弱いしリーチは短い。ここで重要になってくるのは腰の入れ方だ。一歩を踏み出しながら腰を軽くひねって拳を射出…インパクトの瞬間に握って力を込めて更に振りぬく。喧嘩のパンチの方法はこれだな。これを顎に当てられたら大体落ちる。腹を攻撃して気絶させる奴も居るには居るがあんまりやろうとしない方がいい、期待はするな」
そう説明して少し練習させてから更にストッピングの練習をさせて動体視力を鍛えていく。
観察力と反応速度をあげればそれだけ様々な攻撃に対応出来るからな。
そして数時間やると、もう既に日は落ちていたが練習はまだ続いていた。篠芽の作った光源によって照らしだされる二人の姿は武道の訓練をしているように見えた、と後にレイラは語る。
「ま、とりあえずはこんなもんか。流石にお前は戦闘を経験してただけあってストッピングに慣れるのが速い。これの一番のネックは攻撃する所に集中しすぎてストッピングに集中できない所だからな。そこがクリアできたのは良い。後はパンチだがこれは回数が必要だ。家で練習を繰り返すこと。良いな?」
篠芽がそう言うとフレデリカは黙って頷いてみせる。
どうも彼女はかなり要領がいいほうだし、これだけ伝えれば別に良いだろう。
いやぁ昔読んだ漫画の知識がどこで活かされるか分かったもんじゃないな。そう思って頭をかいて居ると校門の前に初老の男性が立っているのに気付く。
誰だろう、と思って様子を見ていると素振りをしていたフレデリカも彼に気付いたようで声を上げた。
「あら、迎えに来てくれたの」
「お帰りが遅かったものでしたから…」
スーツ姿と口調をかんば見るに執事だろうか。
そんなことを思っていると、まだやると帰るのを嫌がったフレデリカを引きずるように執事は校門を出て行った。
ちらりとこちらを一瞥して頭を下げてそのまま姿を消した執事は、それはもういかにも執事と言った風貌だった。
執事が居るのなら。
メイドが居るはず。
こんどフレデリカの家に家庭訪問って名目で行こうと固く心に誓った夜だった。
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