復讐の味
死屍累々。
屍の海ができた大きな城門の内側は、広がっていた草葉が真っ赤に染まり上がるほどの血が流されていた。
どっちが正しいのか…そんなことを考えるような段階はとうに過ぎていた。
人が死にすぎた。
どこで間違ったのだろうか。
私はどこでどの選択をすればよかったのだろうか。
絶え間なく訪れる後悔の念が、私の喉を締め付けて呼吸を遮る。
なんで、なんでこんなに死ななければいけなかったのか。
私はあの人を助けたいという願いを叶えてあげたかっただけなのに。
それなのになぜ――。
膝を折って眼下に広がる地獄絵図を呆然と眺めていると、隣に立つ私を助けれてくれたアマテラスがポツリとこぼす。
「これは避けようのない運命のようなものなんだ。君がどう動こうが彼女は死ぬことに変わりはない」
彼女。
それはプリシラを指しているであろうことは分かったが、今彼女はどう考えても優勢だった。
それなのになぜ彼女が死ぬことになるのか――。
その疑問は、次の瞬間には解決されることになる。
城の一番大きな塔の最上階がはじけ飛んだかと思えば、土煙を吹き飛ばして現れた人物が居たのだ。
「そん…な…」
普段の生気を失いかけたような雰囲気はどこへやら、彼が青白い風のような物を纏い空中に立つ姿は神々しさすら感じられた。
体から溢れ出る尋常ではない魔力はそれが只者ではない事を物語っている。
しかし”魔憑き”だとは、不思議と思うことが出来ず彼のそれは”神憑き”だとすぐに分かった。
風神が、彼に憑依した。
更に人が死ぬ…。
足元が抜けるような喪失感に襲われながら、彼が右腕をゆっくり掲げるのを見る。
見えない何かが着実に迫っているのを感じる。
「これまでか…」
まぁ、しょうがないか。
こんな人間が生きていてもしょうがない。
どこかで諦めていたのか、一度目の魔神に生贄にされた時ほどの絶望感はなかった。
ただあったとすれば一つだけ後悔がある。
「皆に…篠芽君に…会いたかったなぁ」
キャンプのあの日をもう一度。
できれば…
その願いを聞く神は、どこにも居なかった。
****
「え…?」
とりあえずユーノを救おうということで、アマテラスに助けだされたというユーノと会おうと思ってアマテラスとユーノを見た次の瞬間に、風神が”憑いた”この国の国王が現れた。
嫌な予感がした。
ゾクリと背筋に冷水を注ぎ込まれたようなそんなイメージだ。
知っている。
この感覚を俺は知っている。
大切な人間が――――死ぬときの感覚だ。
急がないと。
そう思って強く地面を蹴った次の瞬間には、目の前の城壁や戦場はごっそりとえぐられて消え去っていた。
残ったところには誰も居なかった。
第2師団の人間も。
秦野国の人間も。
誰も居なかったのだ。
殺した。
あいつが。
「お前…が、殺したのかぁ!!!」
今回は短かったですね。
今年度から土日は本当に忙しいので土日はあんまり続き投稿出来そうにないです。すみません。




