第0話:プロローグ
……とある王国、ヴィルヘルミア。
そこには一人の少年兵士がいた。
彼は若くして優秀で、歩兵の中でもその実力はピカいち。
…人々は彼の華麗な剣技を<閃光>と呼び、称えた。
だけど…
・・・・・・・・・・・
風がすうっと彼の耳元を通り抜ける。
一人丘の上に立つ彼は、一体何を思っているのか。
彼の父は、王国兵士長。
その実力は国の誰もが認める、豪傑。
そんな父に育てられ、平仮名を書く頃から剣を教え込まれた。
いくら自分が名を上げても、
「流石は兵士長の息子。」
どれだけ強くなろうが、父を超えるどころか、届きもしない。
人はみな、俺という存在をどこか否定する。
いくら影で努力していても、それは全て父の成果。
それがずっと、気に入らなかった。
だから…。
俺は、この風通しのいい丘の上で願い続ける。
…誰も知らない場所へ行きたいと。
・・・・・・・・・・・
歳月は流れ、俺は18になった。
いわゆる成人をむかえ、俺はある決心をした。
旅に、出よう。
今まで願い続けていたことを実現させようと。
旅立ちは、今夜。
母には話したが、父には話していない。
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用意は、できた。
暗くなった頃、丘の上で風に最後のお祈りをした。
………。
地図を片手に、歩き出した。
山を越え、見知らぬ土地へ。
お読みいただけて光栄です。有り難う御座いましたぁ。新参者ですので、ここはこうしたらいいんじゃないの?などのツッコミでもいれてもらえると有り難いです。これからもよろしくお願いします。