表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

江学勤とSneakoの「Unite Against 1%」

作者: 鈴木美脳
掲載日:2026/06/15

米国の著名な動画配信者であるスニーコ氏(Sneako、1998-)は、2026-04-06に「SNEAKO interviews Professor Jiang: Global Crisis Incoming」というYouTube動画を配信し、中国の著名な動画配信者である江学勤氏(Jiang Xueqin、1976-)へのインタビューを行った。


### 2011年のOccupy Wall Street


2時間以上ある動画の48分付近で彼らは、英国の著名な陰謀論者であるデイビッド・アイク(David Icke、1952-)による「多様性・公平性・包括性」(DEI)思想への批判について言及した。


それによると、2011年に米国で発生した抗議行動、「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)は、優れた正義があり大いに成功したものだったという。江学勤氏はそのスローガンを「Let's unite against the 1%.」としてまとめた。それは、ウォール街に代表されるグローバル・エリートを批判するものだったという。


一方で、そののちに起こった様々な抗議活動が、人種や性別を主題としていたことに彼らは疑念を向けている。すなわち、グローバル・エリート批判が驚異的に高まったために、民衆の連帯を分断する問題意識を盛り上げる利益が生じ、DEI運動に対してはそのような謀略的な資金援助がなされているのではないかという疑念である。


江学勤氏は、2026-06-07に行った彼の購読者達とのライブ配信でもDEIのこの側面について言及した。


### Occupy Wall Streetのスローガン


「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)の実際の代表的なスローガンは、「私たちは99%だ」(We are the 99%)だったようだ。米国の富の大部分がわずか「1%」の富裕層に集中している統計的な事実はあり、それをあげつらったものだ。


一方で、江学勤氏が言及したその反転的な表現としての「Unite against the 1%」は、グローバル・エリートの権力が増加しつづける現代にあって、倫理の正鵠を射たものだろう。むしろ、「We are the 99%」は、検閲を避けてスローガンそのものは安全圏に抑えた妥協であると考えられる。


「We are the 99%」という表現は安全だが、意味は自明ではない。倫理を求めるよりも数に頼っているようにも見えるし、もっとも立場の弱い1%を虐げようとしていると曲解することも不可能ではない。一方で、「Unite against the 1%」は団結を訴えていることから、抵抗運動としての倫理性をより明確に含意している。


### 2つの限界


「Unite against the 1%」というスローガンを考えたとき、そこには明らかに2つの限界があるように思われる。


第1には、「99%」の団結を実現することがほぼ不可能な点だ。上記で論じたようにまさに、主流権力や主流報道が、分割統治を仕掛けてくるためである。


第2には、「99%」の団結を仮に実現したとしても、「1%」に勝利できるか疑わしい。資産や権力の保有に圧倒的な格差がある状況では、例えるなら爆弾などで一方的に一掃される可能性がある。


しかし、「Unite against the 1%」というスローガンの優秀性はむしろ、これらの限界を踏まえた上での部分にある。つまり、連帯を指向している点によって正義の本質であり、「99%」の連帯で不足するなら「99.999%」などとひたすらに増加すればよいという意味で戦略的に正しい。


### 議会政治の下らない争点


一方で、現代の世界中にある議会政治について、それぞれの政党はどんな問題意識を訴えているだろうか? 世界中にある政治運動らは、いかなる価値観や思想を訴えているだろうか? 「Unite against the 1%」そのものではないはずだ。


というのも、「Unite against the 1%」という論点それ自体は、それぞれの部分が今日を生き抜くために無効だからである。集団が利益を増加するための考え方は、「パンを分け合う」ことではないからである。


しかし戦況を大局的に見るなら実は、「パンを分け合う」ことが99%の利益にとって合理的であり、唯一の勝機である。したがって、すべての政治的運動は、「Unite against the 1%」という思想を通底させていなければならない。そうでなければ、すでにDEIについて論じたように、「有用な愚者」(useful idiots)として支配と分割統治に加担する結果になる。


### 倫理的価値の指標


したがって、すべての政治的主張や政治的実践の倫理的正当性は、「Unite against the 1%」という思想からの距離によって計測できる。


そして、世界人類は「Unite against the 1%」という認識への収束を目指すべきだ。ただし、ここで「べきだ」と言ったことは、それが実現可能であることを何ら含意しない。倫理的な正当性は究極的には、実現可能性に拘束されない。実現不可能であっても、それを目指すべき事実は変動しない。


### 現実としての分断と理想としての団結


軍事力の格差を背景に経済力の格差が広がり、資本主義が行きわたると同時にその自己正当化としての個人主義も行きわたった現代文明は、物質主義と利己主義によって民衆が最も分断されている時代だ。しかし、世界が洗脳的なディストピアになり正義の勝機がありえなくなるほど、個別な集団の連帯や具体的な政策論争は有効性を失い、「Unite against the 1%」という本質的普遍が選択肢として浮上する。


連帯も勝利も実現できないとしても、「Unite against the 1%」は信仰でありうる。それは世界観であり、現代に生まれて自分がどう生きるかという指針だ。普遍であるがゆえに、身を捧げるに値する。腐敗した文明は必ず、言葉を偽りの正義で満たし、人々の心を偽りの価値観で満たす。したがって、正しい言葉、正しいスローガンは、私達にとって核心的な価値である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ