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7章 第1話「お買い物」

久しぶり過ぎて本当に申し訳ないです(汗)

リハビリ作も一緒に出すので、よろしければお願いします。

 ――太陽が少しずつ早起きを始め、ハインレンスに本格的な夏が到来する今日この頃。

王都でも有名な商店街の一角で、周囲の目を一際集めている集団がいた。


「ねえねえ、これなんていいんじゃない?」

「いいえ、こちらの方が絶対似合いますわ!」

「僕は断然これです!!」


 各々一押しの品を体の前に広げ、キラキラと期待するような目で返答を待っている。

 白けた目でそれらを一瞥した私は、ひとまず一番拒否反応の激しいものから却下することにした。


「とりあえずキラの以外で」

「なんでぇ!?」

「お前、私にそのフリフリを着ろと?」


 辟易しながら返すと、キラは「ご主人様ならどんな服でも似合いますよ!」と握りこぶしをつくって力説してきた。

 

 いやいや、似合う似合わないの問題ではない。そのフリフリ着用時の私にかかる精神的苦痛の問題なのだ。

 それをこのボンクラに伝えるのに、小一時間もくってしまった。なんという時間の無駄だろうか。

 しかも結局キラが自腹で買ってしまったのだから、説得の意味もなかった。だが、絶対に着てやるものか。なにがなんでも箪笥の肥しにしてやる。


 キラに無駄な説得をしている間に、同行者2人もそれぞれ自分用の服を選んだようで、一段落した私たちは店主のホクホク顔に見送られ店を後にした。


 今はそれぞれが両手いっぱいに買い物袋をひっさげ、人通りの多い大通りをのんびりと歩いている途中である。


「いっぱい買ったねー!」


「やはり女性同士の買い物は楽しいものですわ」


 そう、今日はミア、ローズ、キラと服を買いに来ていた。実は王宮でのバイトはかなり割がよく、入学金を全額返金してもまだ財布に余裕があるほどだった。


 そこで、これまで衣服については事情を聞いた彼女たちに借りたりしていたのだが、使えるお金が増えたところで、そろそろ自分の服を持とうと思い至ったのだ。


 それを聞きつけたミアとローズが「それなら私達も一緒に行く!」と言いだして今日の集まりに転じたわけである。


 しかし、女同士の買い物とはここまで疲れるものなのか。戦場で魔物と戦っていた方がはるかに楽だった気がする。

 友人達は次から次へと試着室へと服を運び、店主はカーテンが開くたびに満面の笑みで「よくお似合いです!」と無駄に褒めちぎる。そんな体力・精神力ともに消耗の激しい着せ替え人形状態が延々と続くのだ。


 私の人生の中でも五指に入るほど過酷、かつ孤独な戦いだったと評していいだろう。

 昔は女ともだちと買い物に行く機会が来るとは夢にも思っていなかったが、まさかここまで過酷な行軍であるとは……。


 しかし、なにはともあれ戦果は上々だろう。

 前方ではミアとローズ、そしてなぜかキラもご機嫌顔で今日の戦利品についてキャッキャと談笑している。キラは男として何かを間違えている気がするが。


 対する私は、寮を出た時より若干げっそりしている。自分なりに頑張って戦ってはみたのだが、やはり敗北感が否めない。


 なにせ三人とも私の選ぶ服に納得がいかないようで、私が服を選ぶたびに怒涛の波状口撃を繰り出してくるのだ。

 彼女たち曰く、「それはアリアの顔に対する冒涜よ!」らしい。

 なぜ自分の顔に対して冒涜どうの言われなければならないのか……非常に納得しかねる。


 服は動きやすいのが一番。スカートは下がスースーして落ち着かないから嫌だ。

 派手な原色なんてもってのほかである。敵に発見される可能性が高くなるだけだ。やはり森と一体化したような濃緑や闇に溶けるような黒、百歩譲っても地面と同じ土色がいい。

 もちろん煌びやかな装飾も動きの邪魔になるだけだからいらない。汚れ(主に血とか)が取れやすく、耐久性に優れたものであることは、絶対条件だ。


 という私の主張は、3人の連携口撃によって原形を留めないほど木っ端みじんにされた。かろうじて同意を得られたのは最後の1行だけだろうか。


 彼女たちに私の趣味は全くといっていいほど理解されず、さすがの私も孤立無援ではこの戦いに勝つことはできなかった。

 しかも味方をしてくれるだろうと信じていたキラにも、それはそれはかわいそうな子を見るような目で見られ、「安心してください。僕がご主人様をまっとうな文明人にしてみせます」と手酷く裏切られたのである。


 もっとも、各人が勧めてきた服もそれぞれの好みが如実に織り込まれたものであった。


 ミアは、ピンクやら白やらの繊細な装飾をもした女の子らしい服を持ちだした。すぐに汚れそうだし、なんだかキレイ過ぎて私にはとても似合わない気がするものばかりをだ。

 彼女は私の好みやら何やらも知っているはずだが……あのニヤニヤ顔は確信犯でやっていたに違いない。恨めしい顔で睨んでも、「ふふん、いつかの仕返しだよー」とわけのわからない主張を通された。

 一体いつ私が仕返しをされるようなことをしたというのか。全くもって理不尽な話である。


 ローズは原色の赤や黒の、目立つ妖艶なデザインを推してきた。透けたレースやら金の縁取りやら、こちらは私の好みなど全く意に介しない。まあ、らしいといえばらしいが。

 「ちょ、ちょっと派手じゃないか?」と顔をひきつらせながら控えめな抗議をする私は、「いいですかアリアさん、女性に生まれたからには……」長いので以下省略するが、結局ローズの女性論を延々と聞かされる羽目になり、最終的に根負けした。ちょっとしたトラウマである。


 だが、そんな些細な問題を吹き飛ばすキラの趣味が、一番厄介だった。

 女にどんな理想を持っているのかは知らないが、やけにヒラヒラやフリフリのついたものばかり勧めてくるのだ。

 あの無駄に布地を使う割には防御力が上がらず、その代りに値段が上がるという不可解極まりない洋服のどこがいいのか。あれではフリルに埋もれて移動もままならない。

 しかも、どう考えても文明人から遠のいている。あんなにフリルを多用するのは、それこそ貴族がパーティーで着るドレスくらいだろう。


 それでもこいつにだけは負けまいと、必死に説得を試みた私だったが……結果は上記で述べた通り勝手に買われてしまった。


 王宮バイトの報酬は、なぜかキラの分もしっかりと支払われていたのだ。


(そもそもこのメンバーで来たのがいけなかったのかもしれない)


 両手に持った紙袋がやけに重く感じる。

 その中にはなんだかんだで押し切られて買ってしまったものが、数着。本当に着る機会がやってくるのか甚だ疑問である。


 こんなことならライルやレストにも一緒に来てもらえばよかった。フィルはなんとなく変な服を選びそうで嫌だが、他の二人ならば少なくとももう少し私の好みに合わせた服を選んでくれそうな気がする。

 今回は人選を間違えたとしか言いようがない。


 そうして、ため息をつきながら前方の3人の後を追うと、突然後ろからドンっという衝撃を感じた。


「おっと、ごめんよ」


 衝撃の正体はまだ小さな少年だった。

 一瞬ふらついた私に彼はまだ幼さの残る声で軽く謝り、そのまま足早に去ろうとする。


 ……追い抜かれざま、その小さな手を無造作に掴む。


「な、なんだよ、放せよ!」


「お前が手に持っているものを返したらな」


 つないだ手から少年の動揺した気配が伝わってきた。


 これでも、生物の気配にはそこそこ敏感な方だ。いくら休日とはいえ、人ごみの中で誰かにぶつかるようなヘマはまずしない。たとえ後ろからでもだ。


 ……そう、あちらからぶつかってこない限りは。


 見た目はキラより少し上ぐらいだろうか。

 彼の格好はお世辞にもキレイとは言えないものだった。ボロボロかつ色あせた服、擦り切れた靴に何日も洗ってないような髪は、もとの色がわからないくらい汚れていた。


 人を見た目で判断するのはよくないが、さすがに若干軽くなった荷物とこの少年の動揺を踏まえれば、結論としては間違っていないだろう。


 あの一瞬で抜き取るとは、なかなか腕がいい。もちろんだからといって見逃すつもりはないが。


 焦ったように暴れる少年を冷静に捌きながら、これからのことを思案する。さて、面倒なことになった。


 だが、そんな私の思考が終わるよりも事態が急変する方が早かった。


「くそ、放せ!!」


 そう、彼が叫んだ時だった。


 急激にあたりの空気が収束し、通りの両端に植えられた街路樹がその前兆にザワリと葉を揺らす。


 時が止まったような一瞬の間。

 確かに大勢の人で賑わっていたはずの通りは、全ての音を遮断するかのように空気を硬直させた。


 そして次の瞬間、局地的な暴風がのどかな王都の一角を襲った。


 突然のつむじ風に街中の女性たちは必死でスカートを押さえ、周囲の男どもはその一瞬を見逃すまいと実にくだらない情熱をもって根性で目をかっ開く。


「な、なにこの風!?」


「もう、なんですの!?」


 例にもれず前方のミアとローズもそれぞれ死ぬ気でスカートを押さえている。

 ちなみに私は、最後の抵抗とばかりに先ほどの服屋でズボンに着替えていたから問題ない。

 やはりズボンはいい。今日のお返しに、今頑張っている二人にも後できっちり布教しておこう。


 そんなくだらないことに気を取られていたせいか……いつのまにか掴まえていたはずの少年の手を離してしまっていた。


 風が完全に収まった頃には、「いやーいいもん見た! 眼福眼福!」と満足気に頷く男達と、白い目で彼らを見る女達の間を縫って、少年はものすごい速さで路地裏にげ込んだ後だった。


 いささか茫然と彼が消えた路地裏を見ていると、キラが驚いたような顔をしながら駆け寄ってくる。


「ご主人様、今のは……」


「ああ」


 どうやらキラも同じ感想を持ったようだ。





 ――うらぶれた暗い路地裏。

 きらびやかな王都の闇を内包したそこは、近年浮浪者の溜まり場と化していた。


 ゴミが散乱しネズミが徘徊するそこでは、常に何かが腐ったような悪臭が充満している。

 そんな人の住める空間とは思えない、一般人にはおよそ縁のない道を少年は疾走していた。


 その速さは同年代の少年が出すような速度を遥かに上回り、しかもなぜか彼の周りだけは洗練な空気が満ちていたのだが、残念ながら先を急ぐ少年がそれに気付くことはない。


「ハァ、ハァ……くっそ、なんなんだよあの女!」


 この路地裏はいわば彼にとって、庭のようなものだった。

 いつものように金を持っていそうなカモにあたりをつけ、長年培ってきたスリの技術を用いて金をまきあげる。帰りは稼ぎを確認しながら悠々とこの路地を闊歩するのが彼の日課であった。


 だが、今日の彼はひどく焦っていた。

 珍しくヘマをしたせいもあるが、標的が今まで相手にしてきたような分類の者達とは明らかに違うであろうことを、本能で悟っていたのだ。


 身なりの良い格好に大きな紙袋を持ったその女を、最初は甘やかされながら育ったお嬢様だと思っていた。どうせ親の金で生きているのだろうと高をくくっていたのだ。

 その女の他にも2人チョロそうなのがいたが、そいつのまわりにだけ、なぜか薄い光がぼんやりと宿っていた。

 普段ならそんな不気味な現象には近づかないのだが、どうしてか気づけば灯に引き寄せられる蛾のごとく無意識のうちに足を進めてしまっていた。


 だが、それが間違いだということにはすぐに気づいた。手を掴まれ、その瞳とぶつかった瞬間、自分の中の何かが大警報を鳴らし始めたのだ。

 あの目は違う。まるで地獄を知り尽くしているような、何もかも見通している澄んだ目。

 畏怖に近い感情が渦巻いて、今までにないくらい彼は狼狽した。


 そうしてひどく混乱した彼は、幸か不幸かわけもわからないまま自分の中に生まれた“何か”を爆発させて、その場から逃げおおせることができた。それはもう、必死すぎて、周りを確認する余裕もないくらい走った。


 だから、この時の彼はいつもなら決してしない失態を犯してしまったのだ。

 例の女が追ってこないか後方を確認しながら走った彼は、その勢いのまま柔らかいとも固いとも言えない何かにぶつかってしまった。

 突然の衝撃に小さな体躯は堪え切れず、尻もちをつく。


「うあっ! ってめーどこ見、て……!?」


 恐怖と苛立ちのダブルパンチをくらっていた少年の精神は、その勢いのまま啖呵を切りかけた。

 だが、相手の顔とその額に入った青筋を見て、一瞬で己の失態に気付く。


「くっそ、なんなんだ! いてーな! ……あん、どこ見てだと? ずいぶん生意気なガキじゃねえか!?」


 ここあたりを縄張りとしている組織の3人組だ。治安の悪い裏通りでも有名な血の毛の多い連中で、無礼者には容赦しないというのに……今日はこれ以上ない最悪の出会い方をしてしまった。


「あーあ、汚れまったじゃねーか。どう落とし前つけてくれんだコラ?」

「あん、なんだこいつ乞食か? こりゃろくなもん持ってね―ぜ」

「乞食ごときが、盾付こうとはいい度胸じゃねーか」

「こりゃあ、ちょっと躾が必要だよなぁ」


 壁を背に半円状に包囲されてしまう。人相の悪いおっさんがニヤニヤ笑いながら近づいてくるのだ。もはや悪夢以外の何物でもない。

 それでもなんとか逃げようと駆け出してみるが、その手はあっけなくゴツイ手にとらわれてしまった。


 先ほども似たような状況であったにも関わらず、少年の顔は完全に恐怖に染まっていた。彼らの悪行はこの界隈でも有名である。どう考えても五体満足ではいられないだろう。

 もはや万事休すといった表情の少年。それを見てますますいい笑顔になる男たちが彼に向かって手を伸ばそうとした、その時だった。


「待て!」


 凛とした声が薄暗い路地裏に響き渡る。


「ぁあ? 今度は誰だ?」


 せっかくのお楽しみを邪魔された男たちだったが、相手の姿を認めたその顔は一様に邪悪な笑みに変えられた。彼らにしてみれば、うさぎでドラゴンが釣れたようなものだった。


「ほお、別嬪さんじゃねえか。あんたが俺たちの相手をしてくれるのか?」 


「別にいいが……場合によっては、高くつくぞ」


 視線の先では、こんな路地裏にはもったいないくらいの美少女が仁王立ちしていた。




 ――いつかの山賊を思い出す下品な笑い声。それは己の癇に障るには十分なものだった。

 だが、今は眠くもないし、疲れても……いや、ある意味疲れてはいるが、それでも今回は時代も状況もまったく違う。そう、私もあの時とは違うのだ。


「だからキラも待て」


「ええ――?」


 そう言って悪人面の男の背後の影が、生みの親に襲いかかろうとしているのを寸前で止める。キラは不満そうに頬を膨らませ抗議してくるが、こんな表情しながらやろうとしていることは容赦ないので困る。


「ええ―、じゃない。そのすぐに相手をのそうとする癖をなおせ」


「だって―こんな話の通じなさそうな脳筋はちゃっちゃと黙らせた方がいいですよ―」


「そうですわ。やっておしまいキラ!」


 後ろから追いついてきたローズが、女王様もびっくりの貫禄で言い放った。まったく血の気が多い公爵令嬢もいたものである。


「こら、ローズも。いいか、まず何事も話し合いから始めるのが筋というものだ。安易な暴力に走るのは感心しないぞ」


「ぶ―ぶ―、この前はご主人様だってノリノリだったのに―」


 口をとがらせブーイングをするキラに、思わず言葉を詰まらせる。


「あ、あれとこれはまた話が別だ」 


 我ながら苦しい言い訳ではある。

 実を言うと、王城での出来事はこれでも結構反省しているのだ。いくら御しがたい激情に駆られたからといって、さすがにあれはやりすぎた。


 この時代で平穏に暮らす自分の計画は未だ継続中である。あの程度のことは、今後広い心で許容していかないとこの先が思いやられる。

まあ、あの件についてはもうやってしまったことなので、仕方ない。あの二人に対しては、既にいろいろと見せてしまっているので、精々今後のストレス発散要員になってもらおう。


 いずれにせよ、現代で生きる覚悟を決めたからには、やはりなんでもかんでも力で解決するのは良くないだろう。

 実力行使は最後の手段。そう、これからはまっとうな一般市民を目指すのだ。


「そうよ、まずは穏便にいきましょう、穏便に! あんまり派手にやると学校にばれちゃうし!」


 常識人のミアが賛成してくれたおかげで、不承不承といった感じながらもキラも魔法を解く。……ひとまず、ミアの最後のセリフは聞かなかったことにしよう。


 だが、いくらこちらが対話での解決を試みようとしても、相手にそのつもりがなければ話は進まない。案の定、痺れを切らした男たちが、額に青筋を立てながら噛みついてきた。


「てめえらさっきから何をごちゃごちゃ話しとんじゃい!」


「お嬢さんよお、悪いが俺たちも暇じゃないんだよ。さっさとケリつけようや」


「へへ、まずはさっきから生意気言ってるそこの坊主をかわいがってやるよ!」


 最後の男はキラの方を向きながら鼻息荒く宣言してくる。

 若干その視線におかしなものを感じるのはなぜだろう。


(いや、“かわいがる”?…………もしかして)


 一度その思考に嵌るとそこからは早かった。脳裏でここまでの状況と過去の出来事が蘇る。

 そして、パッと閃いてしまったのだ。さっきの少年といい、キラといい。私たちと少年組に対する対応の違いといい。

 もしそういうことなら、なんとなくこの状況も納得もできる。


 だが、そう考えると急に同士のようなつながりを感じてしまうのだから不思議である。

 「ふっ」と薄っすら笑みを浮かべて男たちを眺めると、まるで照れ隠しのような反応がかえってくる。


「ああん、何がおかしいんだ!?」


 こんな人間を形容する言葉を、以前親友に教えてもらったのだ。いつかいつかと思っていたが、ついに使える時がきた。




 ――なにがおかしいのか生ぬるい視線と微笑みを送ってくる少女の姿に、ただでさえ強面の男たちはより一層不機嫌になる。

 それでも少女は益々笑みを深くして、満足気に目を細める。

 見つめられたものを石に変えてしまうような完璧な流し目が決まっていた。


 それまで組んでいた腕を解いて、犯人に引導を叩きつける探偵さながらビシッと彼らを指さす。

 そして、自信に満ちたドヤ顔でこう言い放った。


「お前ら、さては“しょたこん”だな!」


 夏も近づき蒸し暑くなって来た今日この頃。

 王都のとある路地裏にて、局地的に真冬の如き極寒の風が通りすぎた。


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